社長が営業を率いる“トップセールス”は効果あり?


はじめに:なぜ「社長トップセールス」が注目されるのか

中小食品会社では、社長自らが営業に立つケースが少なくありません。
「売上を伸ばしたい」「商談をまとめたい」という想いから、社長が前線に立ち、お客様と直接向き合う姿勢は頼もしく映ることでしょう。

しかし一方で、「社長が営業することで本当に成果は出るのか?」という疑問を感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、実際の現場で見えてきた“社長トップセールス”のメリットと落とし穴について、食品業界に特化した視点からお伝えします。

 

社長の営業で売上は倍増するのか?

確かに、社長の熱意や人間的な魅力は強力な営業ツールになり得ます。
バイヤーや商談相手に与えるインパクトも大きく、「社長自ら来てくれた」と歓迎される場面も少なくありません。

ただ、実際には「売上が急増した」という結果につながるケースは、それほど多くはありません。
むしろ、社長が営業に時間を割くことで、他の業務に支障が出たり、社員との連携が難しくなったりする場面が見受けられます。

 

トップセールスにひそむ3つの落とし穴

1.社員にとってのプレッシャーが強すぎる
社長が常に前線に立つと、社員が遠慮してしまい、自主性やチャレンジ精神が薄れてしまいます。
「どうせ社長がやってくれる」といった空気が社内に広がるリスクもあります。

 

2.営業の再現性がない
社長個人の営業スキルや人脈に依存していると、そのやり方を他の社員に引き継ぐことが難しくなります。
一時的に成果が出たとしても、チーム全体の営業力は上がっていない状態が続きます。

 

3.経営全体の停滞を招く可能性
営業に集中するあまり、経営判断や社内の仕組みづくり、人材育成といった本来の業務が後回しになってしまうことがあります。
特に中小企業では、社長の役割が多岐にわたるため、営業偏重はリスクにもなり得ます。

 

成功する「社長営業」の条件とは

社長の営業がすべて悪いわけではありません。
むしろ、うまく活用すれば会社全体を活性化させる原動力になります。

そのためには、次の3点が重要です。

 

1.社員を前に出す“支援型”の姿勢
社長が前に立つのではなく、社員を後ろから支えるスタンスが理想的です。
社長の商談同行も、「売ってくる」ではなく「様子を見る・後押しする」という役割で臨むことがポイントです。

 

2.営業チームとの対話を増やす
日々の会話や営業ミーティングで、社長がチームと直接コミュニケーションを取ることが、現場の意欲を引き出します。
たとえば朝礼で一言、商談の振り返りでひと言かけるだけでも、現場は変わっていきます。

 

3.社員の成果を認める文化をつくる
社長自身が営業成果を誇るのではなく、社員の努力と結果を称えることが、チーム全体の営業力を底上げします。
数字や結果が出たら、そのプロセスを全体で共有し、再現できる仕組みに落とし込むことが大切です。

 

まとめ:トップセールスは“支える営業”へ

中小企業の社長が営業に出ることは、大きなパワーとなります。
ただし、その効果を長続きさせるには、社長が「売る人」ではなく「支える人」として関わることが鍵になります。

社員が育ち、営業力が社内に根づく環境ができてこそ、持続的な販路拡大が可能になります。
「トップセールス=自分が動くこと」から、「トップセールス=社員を動かすこと」へ。
この意識の転換が、これからの経営には欠かせません。


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