展示会で成果を逃す社長の共通点──食品会社がやりがちな営業の落とし穴


展示会は食品会社にとって、販路を広げる大きなチャンスです。
新しいバイヤーや仕入担当者と直接話ができる貴重な場。
けれども現場に立っていると「もったいない営業」をしている社長が驚くほど多いのです。

商談会でも展示会でも、結果を出す社長には共通点があります。
そして成果が出ない会社にもまた共通点があります。
今回は「展示会出展で避けたい営業の落とし穴」を実例をまじえて整理します。

【1】展示会の現場でよくある“逆営業”とは

数年前、東京ビッグサイトで開催された展示会を視察したときのことです。
ブースで来場者の対応をしている説明員に、突然名刺を差し出し「うちの商品を扱ってください」と
話しかける人がいました。
それも、説明員が接客中なのに割り込むように。

このような行為を「逆営業」と言います。
出展者に対して営業を仕掛ける行為のことです。
展示会は本来、バイヤーや仕入担当者が商品を探しに来る場です。
出展者に営業をかけるのは、目的を取り違えた行動です。

逆営業をする人の多くは、「きっかけを作りたい」「せっかくだからアピールしたい」と思っています。
気持ちは理解できますが、これは完全に逆効果です。
出展している側からすれば「自分たちの時間を奪われた」と感じてしまいます。

【2】“売り込まない営業”こそ展示会の基本

展示会で成果を出す社長ほど、売り込みません。
自社を語るよりも、相手の話を聞くことに徹しています。

ブースでの会話の理想は、
「相手の課題を引き出す」→「自社の提案をあてはめる」
この順番です。

多くの失敗は逆になっています。
最初から「うちの商品はこうで、これが特徴です」と語りすぎてしまう。
結果、相手のニーズがわからないまま終わってしまいます。

展示会での成功パターンはシンプルです。
・来場者の目的を最初に聞く
・名刺をもらったら、後日フォローを前提にする
・当日は会話のきっかけづくりに徹する

これを徹底している会社は、商談会後のアポイント率が高くなります。
展示会は「成約の場」ではなく、「関係づくりのスタート地点」です。

【3】展示会出展の前にやるべき準備

成果を出している食品会社の社長は、出展前の準備で勝負を決めています。
具体的には次のような準備をしています。

・来場者の業種や職種を想定してトークを組み立てる
・配布資料を1種類に絞り、伝えたいメッセージを明確にする
・サンプル提供の流れを事前に決めておく
・名刺管理の方法をスタッフと共有しておく
・商談後のフォロー体制を準備しておく

展示会では、事前準備の量が結果のすべてを左右します。
何となく出展しても、名刺だけが増え、受注につながりません。

特に名刺管理は「いつ」「誰が」「どうフォローするか」を明確に決めておくことが重要です。
1週間以内に連絡できる体制がある会社ほど、商談化率が高くなります。

【4】展示会で嫌われる営業パターン

展示会でよく見る“残念な営業”には、共通の特徴があります。

・相手の話を聞かずに一方的に話す
・サンプルを配りすぎて説明が薄い
・ブース内で社内同士が雑談している
・他社ブースに資料を配り歩く
・来場者への声かけが単調

これらの行動をしている会社は、どんなに良い商品でも印象が悪くなります。
展示会の目的は、来場者に「この会社は感じがいい」と思ってもらうこと。
商品よりも人の印象が残る場だからこそ、言葉づかいや立ち振る舞いが評価につながります。

【5】展示会後のフォローで成果が変わる

展示会の成功を決めるのは「終わってから」です。
多くの会社が展示会を終えると「終わった」と安心してしまいます。
けれども、ここからが本当の営業活動のスタートです。

展示会後の1週間以内にフォローメールを送る。
その際、相手が思い出せるように「展示会名」「自社ブース位置」「話した内容」を具体的に書く。
この一手間で返信率が大きく変わります。

フォローが遅れると、相手の記憶からあなたの会社が消えてしまいます。
展示会後の初動スピードが速い会社ほど、受注につながりやすい。

【6】成功する社長の行動習慣

展示会で成果を出す社長は、どの現場でも一貫した姿勢を持っています。

・立ち姿が自然で感じがいい
・名刺交換後の会話がスムーズ
・現場スタッフへの声かけが温かい
・「今日の目的」をチームで共有している
・一度会った相手の顔を覚えている

このような社長は、展示会の場だけでなく、その後の取引でも信頼されます。
営業力よりも「誠実さ」と「準備力」が結果を分けます。

展示会は商品を並べる場所ではなく、“信頼を見せる場所”です。
その意識を持つだけで、次の商談の流れが変わります。

【7】まとめ

展示会は、会社の顔を見せる貴重なチャンスです。
営業の成果は、話す力よりも準備と姿勢で決まります。
一方的に話す営業は相手を遠ざけ、聞く姿勢のある営業は信頼を生みます。

展示会のたびに「どうすれば来場者に喜ばれるか」を考える。
それが積み重なれば、展示会が単なる出展ではなく、販路拡大の場に変わります。

展示会は売り込みの場ではなく、出会いの場。
その意識で動ける社長ほど、次の商談につながる展示会を実現しています。


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