新規顧客開拓と既存顧客深耕、食品会社の社長はどちらを優先すべきか

経営相談を受ける中で、食品会社の社長からよくいただく質問があります。
「売上が減ってきたので新規顧客を増やしたい」
「新しい販路を見つけて売上を伸ばしたい」

売上を増やす=新規顧客開拓、と考えるのは自然な発想です。
確かに新しい取引先を獲得すれば売上は伸びます。
ただ、実際の現場で数多くの経営者を支援してきた経験から申し上げると、最優先すべきは既存顧客の深耕です。

なぜ新規顧客開拓より既存顧客フォローが大切なのか

信頼関係はすでに築かれている

既存顧客はすでに御社の商品を購入し、継続して取引を行っています。社長や会社の姿勢を理解し、
安心して発注しているわけです。新規顧客をゼロから開拓する場合、この信頼関係を一から積み上げる必要があります。
時間も労力も多くかかります。

売上アップの効率が高い

新規顧客を獲得するためには、展示会や商談会への参加、サンプル提供、提案書作成など多大なコストが発生します。
一方で、既存顧客に対して「追加提案」や「新商品の案内」をする方が成約率は圧倒的に高いです。
マーケティングの世界でも、新規獲得コストは既存維持コストの5倍以上といわれています。いや10倍と感じてます。

顧客離れを防ぐことができる

売上が下がったとき、多くの社長は「新規顧客を探そう」と動きます。ただ本当に確認すべきは、
既存顧客のフォロー不足ではないかという点です。担当者の訪問回数が減っていないか、連絡が遅れていないか、
細かな改善を積み重ねるだけで失注を防げるケースは少なくありません。

食品会社の成功事例:既存顧客深耕から安定経営へ

東北の水産加工メーカーのケース

ある東北地方の水産加工メーカーは、社長自身が営業マンとして取引先を回っていました。
新規顧客の獲得を狙って展示会にも参加していましたが、コストに見合う成果はなかなか得られませんでした。

そこで社長は方針を切り替え、既存顧客の深耕に集中しました。毎月の訪問を徹底し、売場担当者の声を直接聞き、
改善提案を重ねました。例えば、仕入れロットを柔軟に調整したり、季節ごとの販促用に小規格商品を開発したりと、
取引先が求める具体的な解決策を提示しました。

結果として、既存顧客からの発注が安定し、年間売上のベースが確保できるようになりました。
そこで余力を活かして新規顧客開拓にシフトしたところ、首都圏の百貨店や高級スーパーとの取引が実現し、
経営全体が安定軌道に乗りました。

社長は次のように語っています。
「以前は新規顧客ばかり追いかけて疲れていました。既存顧客を大切にしたことで売上の土台が固まり、
その後の新規開拓もスムーズに進められました」

この事例は、食品会社が限られた経営資源をどこに集中すべきかを示す好例です。

既存顧客深耕の具体策

定期フォローを徹底する

定期的な電話や訪問で状況を確認することが基本です。商品の売れ行きや店頭での反応を聞くことで、
改善点や新しい提案の糸口が見つかります。

新商品の提案を積極的に行う

既存顧客は御社の商品に信頼を寄せています。新商品やリニューアル品をいち早く案内すれば、
競合よりも優先的に取り扱ってもらえる可能性が高まります。

取引履歴を分析する

どの商品が売れているのか、どの季節に発注が集中しているのかを数字で把握すると、次の提案の精度が上がります。
食品会社にとってデータの活用は販路開拓の大きな武器になります。

顧客の課題を一緒に解決する

例えば「売場で回転が遅い」という声があれば、試食販売や販促ツールの提供を提案できます。
顧客の課題を自社の力で解決する姿勢が信頼をさらに厚くします。

新規顧客開拓の落とし穴

食品業界では「展示会に出れば新規顧客が取れる」と考える社長も多いです。確かに名刺は集まりますが、
そこから実際の取引につながる割合は一部にすぎません。商談の労力に比べ、成果が出るまで時間がかかります。
既存顧客への提案を後回しにして展示会ばかりに力を注ぐと、結果的に売上が安定しないケースが目立ちます。

まとめ

新規顧客開拓と既存顧客深耕、どちらが大切かと問われれば、結論は既存顧客深耕です。
食品会社の社長にとって、安定した売上を確保するためには、まず既存顧客との関係を強化し、
取引を継続的に発展させることが最優先です。そのうえで新規開拓に挑戦すれば、
販路拡大の成果がより確実に積み上がります。

販路開拓の現場では、汗をかき、地道に信頼を重ねることが成功の近道です。
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