春の訪れとともに、新年度の動きも本格化してきました。
新入社員の受け入れや、春商戦の準備で慌ただしい時期かもしれません。
そんななか、先日1年前に訪問したある大手企業から、突然の問い合わせが入りました。
じつは、その企業には初回訪問以来、特にフォローらしいフォローをしていなかったのです。
定期的なメール配信もせず、展示会の案内も出していませんでした。
それにもかかわらず、相手のほうから連絡をくれたのです。
たった1回の訪問でも、相手は覚えている
このような「久しぶりの反応」があると、あらためて営業という仕事の奥深さを感じます。
営業活動において、私たちはしばしば「反応がない=興味がない」と判断してしまいがちです。
初回の商談で食いつきが悪ければ、「この企業は見込みがない」と片づけてしまうこともあるでしょう。
しかし、企業側がすぐに動かないからといって、関心がゼロとは限らないのです。
販路開拓は「相手のタイミング」も大きく影響する
食品業界、とくに法人向け営業では「売りたいとき」と「買いたいとき」の
タイミングがズレていることが珍しくありません。
たとえば、商談時には棚が埋まっていた。
他社製品が先に入っていて、検討余地がなかった。
あるいは、当時のバイヤーが退職間際で、新しい仕入れに慎重だった。
そんなタイミングのズレが、1年後、ふとしたときに噛み合うこともあります。
大切なのは、「すぐに反応がない=無駄だった」と切り捨てないことです。
フォローの有無が“思い出してもらえる確率”を左右する
もちろん、今回のようにまったくフォローせずに相手から連絡が来るケースは稀です。
これは偶然のようなものです。
だからこそ、せめてたまに思い出してもらえる仕掛けを用意しておくことが重要です。
たとえば:
- 季節ごとの挨拶メール(展示会やフェアの案内など)
- 年1回の製品カタログ送付
- SNSや業界ニュースでの情報発信
これらを定期的に行うことで、相手の記憶に自社をとどめておくことができます。
「そういえば、あのとき来てくれた会社があったな」
という思い出される確率が、粘りある販路開拓につながっていくのです。
粘り強い営業とは「しつこい営業」ではない
注意したいのは、「粘ること」と「しつこく売り込むこと」はまったく違うという点です。
営業メールを毎週送る、電話でしつこく追いかける──これでは逆効果になります。
粘る営業とは、相手のペースに合わせつつ、忘れられない存在になることです。
こちらの都合で売り込むのではなく、
「いつでも相談できる」「安心して声をかけられる」
そんなポジションに立つことが、粘り強さの本当の意味です。
1回訪問して反応がなくても、切らずに残す
中小企業の営業は、どうしてもリソースが限られています。
フォローを優先するべき相手、しばらく放っておいてもいい相手を仕分けする必要もあります。
それでも、1回訪問しただけで見込みなしと切り捨ててしまうのはもったいないのです。
とくに、商品力には自信があるが販路が狭いとお悩みの中小食品会社ほど、
1件1件のご縁を細く長くでも維持していく工夫が成果につながります。
メール一通、年賀状一枚でもいい。
数か月に一度でも構いません。
相手の記憶にとどまり続けるような関係性の積み重ねが、やがて大きな成果に変わります。
営業の勝負は「記憶の中」にある
食品の法人営業では、最初の訪問ですべてが決まることはありません。
むしろ勝負は、相手が自社をどう覚えているかどう評価しているかにかかっています。
この記憶の棚に自社を置いてもらえるように、
日々の一手間、心のこもったアプローチを大切にしたいものです。
粘り強く、あわてず、相手の変化を待ちながら、次の一歩につなげていきましょう。
ご覧いただきありがとうございました。
販路開拓でお困りの方は、いつでもご相談ください。
社長、まずは無料でご相談ください。
セミナー研修・マスコミ関連のご相談もこちらから。
▶ 【ご相談・お問い合わせフォームはこちら】