食品会社の社長として営業や販路開拓を続けていると、「商談まで行けない」「営業しているのに成果が出ない」という
壁に直面することがあります。多くの場合、その原因は営業力不足ではなく、商品の強みが明確になっていないことです。
バイヤーは常に限られた棚に何を並べるかを考えています。選ばれるためには、まず商品の価値を一言で
説明できる状態にしなければなりません。強みが見えない商品は、どれだけ情熱を込めても扱ってもらえません。
販路開拓の出発点は、商品の強みを見つけて言語化することです。
強みのない商品は売れない
営業で成果を出すためには、商品そのものに選ばれる理由が必要です。バイヤーが求めているのは
「なぜこの商品を扱うべきなのか」という明確な答えです。
例えば、
- 味や食感が他社と明確に差別化できている
- 原材料や製法に一貫したこだわりがある
- 地域性や物語があり、消費者が語りたくなる要素がある
- 供給が安定しており、大きなトラブルの心配が少ない
これらの要素が整理されていなければ、熱心に説明しても相手に響きません。強みの言語化は営業活動より
先に取り組むべき経営課題です。
自社の当たり前が強みになる
多くの社長は「特別な新技術や珍しい原料がないと強みにならない」と考えがちです。
実際には、自社では当たり前と思っていることが、外部から見れば十分な差別化になります。
例として、
- 毎日ロットごとに試食をして品質を確認している
- 地元農家と長年の契約を結び、安定供給を実現している
- 小ロットでも柔軟に対応できる生産体制がある
- 添加物を使わずに日持ちを実現している
こうした事実は、他社が簡単に真似できない価値です。現場に足を運び、社員の作業を観察して
「当たり前」を書き出すことから始めましょう。意外な発見が多く出てきます。
視点を変えて価値に変換する
特徴をそのまま並べるだけでは伝わりません。強みは相手にとってのメリットに変換して語る必要があります。
「うちは創業百年の味噌屋です」と言うだけでは歴史紹介です。「創業百年の製法で味が安定し、クレームがほとんど出ない」と
言い換えれば、売場を管理するバイヤーにとって大きな安心材料になります。
視点を変えるコツは「この特徴が相手にどんな利益をもたらすか」を考えることです。
手間がかかる工程は「品質が安定する理由」に、地域密着は「地元ファンが買い支えてくれる安心材料」に変わります。
難しく考えず、整理から始める
強み探しは複雑なマーケティング理論を使う必要はありません。まずは次の3ステップから始めます。
- 自社の特徴をすべて書き出す
- 競合と比べて違う部分に印をつける
- その違いが顧客やバイヤーにどんな利益をもたらすか言葉にする
この作業は一度きりではなく、半年ごとに見直すと効果的です。市場のニーズは変化するため、
強みも更新していく必要があります。
ターゲットから見た強みを意識する
強みは誰にとって価値があるかで意味が変わります。健康志向の高い層には「無添加」は魅力ですが、
価格重視の層には響かないこともあります。
- 誰に買ってほしいのか
- どんな悩みを解決したいのか
- どんな場面で使ってもらいたいのか
これらを明確にしたうえで、自社の商品と強みを重ね合わせます。具体的なペルソナを設定して考えると、
伝え方がぐっと具体的になります。
現場でできる実践ステップ
- 工場や製造ラインを見学し、「他社と違う点」をメモする
- 社員に「うちの会社の誇りは何か」を聞き取りする
- バイヤーに直接「他社と比べてどこが良いと感じるか」を質問する
- 商談資料やPOPに強みを一行で書く練習をする
こうした具体的な行動を繰り返すことで、強みは磨かれ、言葉として伝わりやすくなります。
よくある失敗と回避策
強み探しでは次のような落とし穴に注意が必要です。
- 競合と同じことを強みとしてしまう
- 社内だけで決めてしまい、市場の声を確認しない
- 強みを価格に寄せすぎて利益を圧迫する
この3つを避けるために、必ず現場とバイヤーの声を聞き、収益性も同時にチェックしましょう。
チェックリストで仕上げる
- 他社と比べて違いが明確か
- バイヤーにとって利益があるか
- 消費者にとって選ぶ理由になるか
- 利益率を下げずに提供できるか
このチェックを通過した強みだけを商談で使うと、説得力が増し、自信を持って提案できます。
強みは足元にある
商品の強みは遠くに探しに行く必要はありません。会社の中、社員の行動、日常業務の中にすでに存在しています。
社長が自ら言葉にして相手視点で伝えることで、商談の成功確率は大きく高まります。
今日からできる第一歩として、自社の当たり前を三つ書き出し、社員と共有してみましょう。
それが次の販路開拓につながる確かな一歩になります。
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