「営業担当は動いているはずなのに、なかなか結果が出ない…」
「うちの商品は良いのに、なぜか商談につながらない…」
こうした悩みを持つ中小企業の社長は少なくありません。特に食品業界などでは、
製品力に自信はあっても営業面で思うように販路が広がらず、頭を抱えているケースをよく見かけます。
実は、営業成果が上がらない会社の多くは「営業担当者の力量不足」ではなく
「社内に営業の型が整っていないこと」が原因です。
その中でも最も基本でありながら成果に直結するのが「アポ取り」です。
今回は、私が数多くの中小企業支援で見てきた現場経験をもとに、
社長が押さえておくべきアポ取りの最終必勝法を解説します。
まず理解しておきたいのは、アポ取りが単なる営業のテクニックではなく「営業力を仕組み化する第一歩」だということです。
営業担当者に任せきりにすると、成果はその人の経験や感覚に依存し、担当が変わるたびに結果がリセットされてしまいます。
社長として「アポ取りの流れを標準化し、社内で誰でも実践できる状態」に整えることで、
営業の再現性を高めることができるのです。
具体的なアポ取りの流れは、次の4ステップが最も効率的です。
まず最初に行うのは電話でのニーズ確認です。ここではいきなり売り込むのではなく、
相手の現状や課題を引き出すことを目的とします。例えば、「御社の新商品の販路拡大について、
いまどんな取り組みをされていますか?」といった質問から入ることで、自然な会話が生まれやすくなります。
この段階では、リストアップされたターゲット企業に対して短時間で複数件アプローチすることが重要であり、
社長は営業担当者が使う「電話トークの台本」を整備し、誰が電話しても同じ品質の会話ができる状態にしておくべきです。
次に、電話での会話を通してニーズがあるかどうかを見極めます。多くの企業に電話しても、
即座に興味を示してくれる相手は全体の2~3割程度です。ニーズの薄い先に執着して時間を使うよりも、
反応の良い先を優先的に深掘りするほうが成果につながります。
そのためにも、営業リストは定期的に精査が必要です。「どの業種が反応しやすいか」
「どの地域から成約が出やすいか」といったデータを記録し、社長が営業会議で共有することが大切です。
ニーズを確認したら、資料をFAXやメールで送付します。ここで重要なのは、資料が「一目で分かる」ことです。
よくある失敗は、詳細すぎる説明資料を送ってしまい、相手に読まれずに終わるパターンです。
社長は、営業資料が外部の人間にも分かりやすいかどうかを必ずチェックし、
必要ならデザインやキャッチコピーをプロに依頼して整えるべきです。この資料の質がアポ率を左右します。
資料を送付したら、1〜2日後に再度電話を入れます。「資料をご覧いただけましたでしょうか?」という切り口で話し、
そこで改めて「詳しいお話を直接させていただきたい」とアポイントを打診します。
この一連の流れをマニュアルとして固定化すれば、担当者ごとの差が減り、安定した成果が見込めるようになります。
一方で、アポ取りがうまくいかない会社には共通点があります。多くの場合、トークスクリプトや資料が整備されておらず、
担当者ごとのやり方に任せてしまっているのです。その結果、成果が出る人と出ない人の差が大きくなり、
営業が属人化してしまいます。さらに、見込み客リストの管理がずさんで、古い情報を使い続けている会社も少なくありません。
これらの問題は、社長が営業に関与しないまま「担当者任せ」にしていることが原因です。
営業の成果を安定させるには、社長が営業フローを把握し、
トーク内容・資料・リストの三つを管理する体制を作る必要があります。
こうした型が整えば、担当者が変わっても成果を再現でき、採用や教育にも時間をかけずに済むようになります。
最近では、Web集客やSNS活用による「売り込まない営業」も注目されています。
理想は、問い合わせが自然に集まる仕組みを作ることですが、これには時間がかかります。
特に販路を拡大したい成長期の中小企業にとっては、まず「攻めの営業」としてアポ取りを実践し、
短期的な成果を作ることが先決です。その上で、中長期的にプル型の仕組みを整えることで、
営業コストは大幅に削減されていきます。
社長としての役割は、こうした営業活動を「個人戦から組織戦」に変えることです。
営業のやり方が属人的であれば、会社は担当者が抜けた途端に売上が揺らぎます。
逆に、アポ取りをはじめとする営業プロセスを仕組み化できれば、会社は安定した受注基盤を築けるのです。
アポ取りは決して難しいものではありません。しかし、準備を怠れば成果は出ず、精神的な負担ばかりが大きくなります。
だからこそ、社長が主導して「営業の型」を整えることが、売上を伸ばす最短ルートになるのです。
まずは、社内に標準的なアポ取りフローを導入し、営業担当者が迷わず動ける環境を作ることから始めてみてください。
これが中小企業の販路拡大における最終必勝法です。
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