食品の販路開拓専門家・伊藤晴敏です。
せっかく準備した商談で、バイヤーに「今回は見送りで」と言われる。これほどきつい瞬間はありません。
移動時間をかけ、サンプルを運び、気合を入れて臨んだ結果が「NG」。ガックリくるのは痛いほどわかります。
多くの会社は、ここで動きが止まります。「縁がなかった」と諦めて終わりです。
それでは一生、新しい販路は開けません。断られてからが本当の商談です。あきらめない会社だけが、生き残ります。
断られて終わる会社の現実
商談で断られたあと、御社の営業マンはどうしていますか。「ダメでした」という報告だけで終わっていませんか。
これが「終わる会社」の共通点です。バイヤーは毎日、たくさんの営業マンと会っています。
一度断った相手のことなど、1分後には忘れています。連絡が来なくなれば、存在しないのと同じです。
連絡をしない限りチャンスは二度とめぐってきません。
バイヤーが断る理由は、商品の味だけではありません。価格が見合わない。ロットが大きすぎる。
供給体制に不安がある。売場のコンセプトに合わない。こうした具体的な理由があるはずです。
それを聞き出さず、ただ引き下がるのは、商機を捨てる行為です。
バイヤーが「うちは今、似たようなのが入ってるから」と言ったとき、
その商品にどんな不満があるかまで食い下がって聞くのが営業です。
なぜ断られたままになるのか
なぜ、多くの会社は断られたまま、何もしないのでしょうか。「断られた=嫌われた」と勘違いしているからです。
バイヤーは仕事で判断しているだけです。単純に「今の条件では、うちの店で売るイメージが湧かない」と
言っているに過ぎません。
もう一つの理由は、次の提案を持っていないことです。
「新商品が出たらまた来ます」という挨拶は、一番いらない言葉です。
今の課題を解決する提案がないなら、次に来ても同じ結果になります。
バイヤーは常に「売場の欠品」や「在庫リスク」を恐れています。
そこを埋める提案がない限り、何度通っても門前払いです。断られた理由を深掘りしないまま、次のチャンスを待つ。
これでは、商談が復活しないです。
動く会社がやっている具体的な行動
採用を勝ち取る会社は、断られた瞬間に次の準備を始めます。
まず、断られた理由を事実で確認します。「どの価格帯なら、御社の客層が手に取りやすいですか」
「ロットがネックなら、何ケースなら回せますか」と、数字と条件をその場で引き出します。
次に、バイヤーが他社を採用した理由を分析します。「あっちの会社は、物流が1ケースから購入できるからな」
「販促物のサイズがうちの売場にぴったりなんだ」こうした一言を逃しません。これが、再提案のヒントになります。
具体的な行動として、断られた翌週にバイヤーの店舗へ行きます。
採用が決まった他社の商品を自分で買って食べ、売場での並び方を確認します。
そして、一週間以内にバイヤーへ連絡を入れます。「他社さんの商品、確認しました。うちが負けていたのは個包装でした。
そこを改良する試作を始めます」この報告があるだけで、バイヤーに「本気で売場を作ろうとしている」と認識されます。
現場での数字の話も重要です。原価率が高いから価格が下がらない、という言い訳は通用しません。
バイヤーが見ているのは値入と回転です。10円高いなら、その分をどうやって売場で回収させるか。
例えば、精肉コーナーの横に置く関連販売で客単価を上げる。
そうした売場全体での利益の視点を持って動ける会社は、すぐにバイヤーから呼ばれます。
再度採用につながる流れ
一度NGになった商談を復活させるには、3つのステップが必要です。
1つ目は、宿題を勝手に作ることです。「価格が高すぎる」と言われたなら、
その価格でも売場で利益が出るセット販売の提案を持っていくのです。頼まれていなくても、
勝手に資料を作って送る、ねばりが必要です。
2つ目は、情報の提供を止めないことです。「今、首都圏の催事でこのカテゴリーが動いています」
「原料の相場が変わったので、今のうちに確保の相談に乗れます」バイヤーが得をする情報を定期的にお届けし、
関係を維持します。自分をただのメーカーから情報の提供者に格上げするのです。
3つ目は、不測の事態を待つことです。採用された他社が、欠品を出すかもしれません。
急に値上げを言ってくるかもしれません。バイヤーが困ったとき、真っ先に顔が浮かぶのが、
断られても動いていた御社です。「あの時のあの条件、今なら飲めるか?」バイヤーから電話が来るのは、
こういうタイミングです。
事例を紹介します。ある地方の珍味メーカーは、商談で「価格が10円高い」と落ちました。
社長はバイヤーが不満に思っていた賞味期限の短さに着目しました。
製造工程を見直し、味を落とさず期限を15日延ばす改良をしました。
6ヶ月後、「期限が延びたなら、ロスが減るから10円高くても買う」と採用が決まりました。
断られた理由を、違う内容を提案し採用されたのです。
社長がまずやるべき1手
社長、今すぐ直近3ヶ月で見送りになった商談のリストを出してください。そのバイヤーへ1通だけ連絡を入れてください。
内容は新商品の紹介ではありません。あの時の商談で教えていただいた課題について、今のうちの状況の報告です。
「価格の件、物流ルートの見直しで数円単位の調整の目処が立ちつつあります」
「供給体制を整えるため、地元の協力工場と新しいラインの確保について話し合いを始めました」
「教えていただいた売場のトレンド、他店でも確認しました。大変勉強になりました」
これだけでいいです。自分勝手な「買ってくれ」と言わない連絡が、一番効きます。
バイヤーの警戒心を解き、プロとしての姿勢を見せるのです。
販路開拓は、一発勝負のギャンブルではありません。断られたあとの泥臭い追撃の積み重ねです。
バイヤーが見ているのは、商品の完璧さだけではありません。「この会社と一緒に、長く商売ができるか」を見ています。
課題を持ち帰って、改善して持ってくる。その繰り返しが、最終的に大きな売場を勝ち取ります。
真似するのは簡単です。いますぐ、断られた相手にその後を伝える。そこから新しい商売が始まります。
御社の営業マンに指示を出してください。
「断られた理由は何か。それを解決するために、うちはいま何をしているか、伝えてこい」と。
食品の販路開拓で、お困りのことがあればいつでもご連絡ください。
現場で、御社の営業マンと一緒に汗をかく準備はできています。
まずは、断られたリストの整理から始めましょう。
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