創業事業が赤字になったとき社長が決める3つの基準|銀行から撤退を示唆されたら


食品の販路開拓専門家、伊藤晴敏です。

今、静まりかえった工場や倉庫の気配を感じながら、一人で資金繰り表を眺めている社長へ向けて書いています。

目の前にあるのは、創業以来支えてきた「主力商品」の赤字という現実です。
父上が苦労して作り上げ、地元のスーパーに並び、地域の食卓に溶け込んできたあの商品。
しかし銀行の担当者は試算表を指差し、「この商品は縮小か撤退を検討せざるを得ませんね」と淡々と言う。

味も歴史も知らない人間に数字だけで切られる悔しさは当然です。

「父が残した味を終わらせていいのか」
「やめたら、うちは何屋なのか」

その迷いは真っ当です。ただ、販路開拓の現場で多くの会社を見てきた立場から踏み込みます。

銀行が見ているのは、お金をもってるか、お金をかせげるか。
銀行員の仕事は金を守ることです。主力商品の赤字は、会社の寿命を削っている状態に見えています。

原材料、包材、光熱費、物流費の高騰は、もはや努力で吸収できる段階ではありません。
原価率30%だった商品が50%を超え、販管費を含めると売るほど現金が減る構造になっていないでしょうか。

「いつか戻る」という期待では経営は持ちません。銀行が見るのは思いではなく構造です。

父の思いと会社の存続は別

先代が守りたかったのは商品でしょうか。それとも会社でしょうか。
時代は変わりました。嗜好も流通もコストも別物です。
もし先代が今の数字を見たら、「形を変えろ」と言うのではないでしょうか。

誇りは必要です。ただ執着に変わった瞬間、経営を狂わせます。

製造現場の現実

赤字商品の裏には必ず非効率があります。

少量注文を断れずラインを動かす。
廃棄ロスを前提に生産する。
値上げを恐れ、1パックごとに赤字を積み上げる。

粗利率20%を切る状態では、販路を広げても資金繰りは楽になりません。

構造的赤字のサイン

次の三つに当てはまるなら、それは構造的です。

原価率60%超で値上げ交渉権がない。
工程改善ができず人件費が上昇する。
市場そのものが縮小している。

この場合、販路拡大は解決策になりません。

撤退は再配分

主力を縮小することは敗北ではありません。経営資源を次の柱に振り向ける決断です。

地元依存から価値を認める都市部チャネルへ。
価格競争のないギフトへ。
計画生産可能な業務用へ。
利益率の高い直販へ。

実際に看板商品を廃止し、高単価商品へ集中した会社は、売上は一時減少しても利益率と銀行評価を回復させました。
守るとは、戦略を固定することではありません。商品を残すことです。

最後に

「もし今日ゼロから始めるなら、この商品をこの原価で作るか」
答えがノーなら、方向は見えています。
まず算出してください。

商品別の完全原価
取引先別の貢献利益
廃止時に浮く固定費

利益の出ない商品は、どんなバイヤーに提案してもきびしい。決めるのは社長だけです。
もし数字整理と次の販路転換が必要なら、具体的に一緒に詰めましょう。


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売上が伸びない。人がいない。
営業をどうすればいいのか、わからない。
一度、整理しませんか。

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