台風接近時に食品の商談をどうするか 社長が自分から延期しない理由と判断基準


食品会社を経営していると、台風や大雨など自然災害の影響で「この商談を予定通り行うべきか、延期すべきか」と悩む場面が必ずあります。安全への配慮はもちろん重要ですが、取引先との信頼関係をどう守るかも社長として避けて通れない判断です。

結論から言えば、自分から「延期してください」と言わない方がよいのです。延期を自ら持ちかけると、「この会社は自分の都合で動く」と見られる可能性があります。逆に、予定通り訪問しようとする姿勢は「約束を守る経営者」「信頼できる会社」という印象につながります。食品業界は信用第一。だからこそ、社長自身の判断が会社の評価を大きく左右するのです。

延期すべき場面とそうでない場面の見極め

社長として大切なのは「状況をどう判断するか」です。

延期しない方が良いのは、交通機関が動いており、相手も特に不安を示していない場合です。たとえば、ある地方の味噌メーカーの社長は、台風が近づいていた日も予定通り首都圏の百貨店バイヤーを訪問しました。結果として「悪天候の中でも約束を守った」と高く評価され、その後の取引拡大につながりました。

一方で、延期した方が良いのは、公共交通機関が全面的に運休している場合や、相手が明らかに延期を希望している場合です。冷蔵・冷凍品を持参する際に配送が止まっているケースも同様です。こうした時に無理をして訪問すると、「安全や品質を軽視する会社」と思われかねず、かえって信頼を失います。

台風時に社長が取るべき対応ステップ

第一に、天候情報の把握です。経営者自身が気象庁や交通機関の公式発表を確認し、動ける状況かどうかを判断しましょう。早めの判断が社員や顧客の安心感につながります。

第二に、顧客への連絡です。「今日は無理なので延期します」と伝えるのではなく、あくまで相談ベースで確認するのが望ましいです。

件名:台風接近による本日のご商談について
本文:
○○様
いつもお世話になっております。△△食品の□□です。
本日予定どおり△時に伺う予定ですが、台風の影響が心配されます。もしご不安やご都合が悪ければ遠慮なくお知らせください。

このように伝えると、訪問する意思を示しつつも相手の判断を尊重していることが伝わります。経営者としての誠意が表れるやり取りです。

第三に、移動の工夫です。台風時は遅延や混乱がつきものです。普段より早く出発し、代替ルートも確認しておく。社員に任せるのではなく、社長自身が判断・指示を出すことで「リーダーとしての覚悟」が伝わります。

食品会社ならではの注意点

食品会社の商談には、他業種とは異なるリスクがあります。

ひとつは配送です。冷蔵・冷凍品は遅れれば品質に直結します。事前に「別日に納品します」「冷凍サンプルを先に郵送します」といった代案を提示できるかどうかで評価が変わります。

もうひとつは催事や展示会です。百貨店の催事が台風で中止になるのは珍しくありません。ある洋菓子メーカーの社長は、催事中止の際にすぐバイヤーへオンライン商談を提案し、結果的に定番棚への導入が決まりました。非常時に「別の手」を即座に打てるかが、経営者の手腕として試されます。

さらに、試食サンプルの管理も重要です。持参予定だったチルド商品が配送不能になったとき、ただ「できません」で終わるか、「別日に改めて伺います」と対応できるか。その差が信頼を左右します。

社長の姿勢がブランドをつくる

食品業界は信頼で成り立つ世界です。台風という非常時にどう動くかで、その会社の本質が試されます。社長が「相手の都合を尊重しつつ、約束を守る姿勢」を見せれば、顧客は「この会社は安心できる」と感じます。

逆に、自分から延期を申し出れば「大事な時に動けない会社」と思われかねません。非常時に見せた姿勢は長く記憶に残り、次の取引に影響します。

また、こうした経験を重ねて危機管理マニュアルを整備しておけば、社員にも「いざという時の行動基準」が浸透します。社長の判断力はそのまま会社全体の文化になります。

まとめ

台風接近時に食品会社の社長が意識すべきことは三つです。
第一に、自分から延期を申し出ないこと。
第二に、顧客の判断を尊重しつつ誠意を示すこと。
第三に、安全を最優先にしながら代替案を準備しておくこと。

この三つを守れば、取引先から「信頼できる会社」と評価されます。非常時の行動こそが、食品会社のブランドを形づくるのです。


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