食品会社の経営において「商品の強み」とは何でしょうか。
多くの社長は「味が良いから」「品質に自信があるから」と答えます。
ただ、その表現だけでは市場で選ばれる理由として弱いのです。どの会社も同じように「おいしい」「安心・安全」と
伝えているため、バイヤーや消費者から見れば、どの商品も似たように映ります。
では、どうやって自社の強みを掘り起こし、他社と差別化できる「選ばれる理由」を明確にするのか。
この記事では、食品会社の社長が実践すべき具体的な方法を紹介します。
強みとは「なぜあなたの会社の商品を買うのか」という答え
強みを考えるとき、社長や社員だけで会議をしても、なかなか突破口が見つかりません。
理由は簡単で、社内の人間にとっては「当たり前すぎること」が実は強みである場合が多いからです。
たとえば、ある漬物メーカーでは「原料の大根は毎朝契約農家から直送される」という仕組みがありました。
社長にとっては当然のことだったため、特に強みと意識していなかったのです。
一方で、バイヤーから見れば「毎日収穫した新鮮な大根を使う」という点は他社との差別化要素になり、
商談で大きな評価につながりました。
つまり、強みとは社長が頭で考えるものではなく、「なぜあなたの商品を選んだのか」という
購入者やバイヤーの答えの中に隠されています。
購入者に直接聞くことが強み発見の第一歩
強みを見つける最も確実な方法は、実際に商品を買ってくれたお客様に
「なぜうちの商品を選んでいただけたのですか」と聞くことです。
ある和菓子メーカーでは、経営陣が「昔ながらの製法こそが強みだ」と思い込んでいました。
ところが、購入者アンケートを取ってみると、最も多かった回答は
「手提げ袋がしっかりしていて贈答に使いやすいから」でした。
社長にとっては意識すらしていなかった点が、実際には購入の決め手になっていたのです。
お客様の視点で語られる理由こそが「選ばれる理由」、つまり商品力の本質です。
自社の「当たり前」を書き出してみる
もう一つの方法は、社内で「自社にとって当たり前のこと」を洗い出すことです。
- 毎日、職人が目で確認してから出荷している
- 原材料はすべて国産で統一している
- 保存料を使わずに流通できる工夫をしている
これらは社員にとっては日常業務に過ぎません。ところが、他社では実現できていないケースが多く、
バイヤーにとっては大きな魅力となります。
たとえば「国産100%」という言葉一つでも、裏付けがあるかないかで説得力は変わります。
「青森県産のりんごを契約農家から直接仕入れている」と具体的に伝えられることが強みに変わるのです。
強みは「ターゲットによって変わる」
同じ商品でも、誰に売るかによって強みの伝え方は変わります。
- 百貨店のバイヤー向け
→「地域性」「ストーリー」「ギフト対応」などが評価されやすい - スーパーのバイヤー向け
→「売れ筋実績」「回転率」「パッケージの目立ちやすさ」が重要 - 消費者向け直販
→「安心・安全」「家族が喜ぶ」「毎日の食卓に合う」が響く
ターゲットごとに「なぜ買うのか」の答えは違います。そのため、自社の強みを一つに決めつけず、
相手に合わせて伝え方を切り替えることが大切です。
強みを伝えるには「物語」にする
強みを発見したら、次に必要なのは伝え方です。単に「国産原料です」「無添加です」と言っても埋もれてしまいます。
そこに物語を加えることで、商品の魅力が相手に届きやすくなります。
例:
「この醤油は、創業以来60年、同じ井戸から汲み上げた地下水を使っています。
地域の人々から“まろやかな味わいの秘密”と呼ばれてきました」
こうした背景を加えると、単なる「無添加醤油」ではなく「地域と共に歩んできた唯一無二の商品」として
差別化できます。
バイヤーは「自分が説明しやすい商品」を選ぶ
商談現場で多くのバイヤーが口にするのは「お客様に説明しやすいかどうか」です。
どれだけ品質が高くても、販売員や売場担当者が説明できなければ売上は伸びません。
だからこそ、強みを一言で説明できる「キャッチコピー化」が重要です。
- 「農家直送、毎朝届くフレッシュサラダ」
- 「創業80年、三代続く伝統の味噌」
- 「添加物ゼロ、子どもにも安心のアイス」
短い言葉で伝えられる強みは、そのまま営業の武器となります。
強みは進化させ続けるもの
強みは一度見つかれば終わりではありません。市場は常に変化し、競合も新しい取り組みを仕掛けてきます。
数年前まで強みだったものが、今では当たり前になっていることも多いのです。
だからこそ、定期的にお客様の声を聞き直し、自社の「当たり前」を更新する必要があります。
これを繰り返すことで、強みは磨かれ続け、常に選ばれる理由を持ち続けることができます。
まとめ:強みを掘り起こす3つのステップ
- 購入者に聞く
「なぜこの商品を買ったのか」を直接聞く。 - 自社の当たり前を書き出す
社員にとって普通のことが、実は差別化ポイントになる。 - ターゲットごとに伝え方を変える
バイヤー、消費者、それぞれに響く表現を用意する。
食品会社の社長にとって、強みとは「他社と比べて優れていること」ではありません。
「お客様がうちの商品を選ぶ理由」こそが真の強みです。その答えは社長の頭の中ではなく、
常に現場とお客様の中にあります。
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