営業日記は営業力アップの第一歩食品メーカーの社長が始める習慣術


多くのの食品メーカーでは営業部門を専任で持たず、
社長ご自身が販路開拓を兼務されているケースが少なくありません。
私がご相談を受ける企業の多くも、社長が自ら動いて営業の第一線に立っています。

そのような皆さまにぜひお伝えしたいことがあります。
それは、営業日記をつけてみませんかという提案です。

営業は記憶より記録で強くなる。

日記なんて学生じゃあるまいし。
そう感じる方もいるかもしれません。
ですが、営業活動は情報の洪水です。

誰に何を提案したか。
そのときの反応はどうだったか。
価格や納期の感触はどうだったか。
相手はどの程度仕入れに関心を持っていたか。

これらを記憶だけに頼ってしまうと、振り返りも改善もできません。
とくに同時並行で複数のバイヤーとやり取りしている場合、
誰に何を話したかがぼやけてしまうのは避けられません。

だからこそ、記録する習慣が営業力を支えるのです。

1日5分の営業日記が、社長自身の経営資源になる。

営業日記といっても、難しく考える必要はありません。
たとえば、次のようなことを書くだけでも十分です。

商談相手の反応や一言。
価格交渉の手応え。
今日の気づきや失敗。
次回商談の布石にしたいこと。

これらは日報とは違い、自分のためにだけ書くものです。
他人に見せる必要はなく、社長の脳の外に営業資産を残す作業です。

食品営業はタイミング商売である。

食品の提案は、必ずしも商品力だけで決まりません。

バイヤーの仕入れサイクル。
棚替えや特集企画の有無。
他社との競合状況。
卸や問屋の事情。

これらの外部要因によって、タイミングが合うかどうかが決まることが多いのです。

前回は見送られたが、数か月後に通った。
価格は通ったが、納期が合わず再検討となった。

こうしたケースは日常茶飯事ですが、営業日記があれば、
その再検討のタイミングを見逃さずに対応できるようになります。

営業日記は、社長のメンタル整理にも役立つ。

営業活動には浮き沈みがあります。
うまくいかない日、断られた日も当然あります。

そんなときに、自分の言葉で書き留めておくと、
なぜ失敗したのか、次にどう活かせるかと考えるきっかけになります。

また、過去の日記を読み返すと、
あのとき悩んでいたけれど、今はちゃんと前に進んでいる。
という自信にもつながります。

営業日記は、社長自身の成長の記録でもあるのです。

人に任せる前に、まず自分が言語化できるか。

将来的に営業を他のスタッフに任せたいと考えている社長ほど、
日記による振り返りが役立ちます。

なぜなら、自分がどう営業してきたかを言語化できないと、
他人に任せることも、教えることもできないからです。

営業日記は、自社の営業スタイルを言葉で残す、マニュアルの原石にもなります。

具体的にどう始めればいいか。

まずは、今日の商談メモとして1行から始めてください。

スーパー商談でPB商品に関心あり。
バイヤーから次回は試食希望との声。
納品トラブルが発生し、信頼が不安定に。

このようなメモを、毎日でなくても週に1回5分でいいので続けてみてください。
続けることで営業視点が磨かれ、蓄積が自信につながります。

書いて残すことが営業の幅を広げていく。

食品の営業では、信頼がすべてです。
そしてその信頼は、日々の商談の積み重ねからしか生まれません。

その積み重ねを記録するということは、
自分自身の思考と行動を棚卸しするということでもあります。

小さな習慣が、大きな差を生みます。
忙しい社長こそ、1日5分の営業日記をはじめてみてはいかがでしょうか。

ご覧いただきありがとうございました。
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