最近、社長からこんな相談を受けます。
「展示会に出ても商談が続かない」
「営業担当が頑張っているのに成果が出ない」
「うちは味も品質もいいのに、なぜ売れないのか」
営業が不調になると、多くの社長は「うちの営業マンに気合いが足りない」と感じます。
けれど本当の原因は、そこではありません。
営業不振の裏には、必ず数字で見えていない構造的な問題があります。
気合いでは売上は変わりません。
数字で分析することが唯一の改善の道です。
営業不振の会社に共通するのは、営業の流れが曖昧なことです。
たとえば食品会社であれば、販路拡大といっても、相手はスーパー、百貨店、ホテル、通販バイヤーなど多様です。
それぞれの商談プロセスは違い、比較して初めて改善ポイントが見えてきます。
営業を「工程」で分けてみましょう。
見込みリスト:100社
アポイント取得:15社
商談・試食:5社
受注:1社
この流れを数字で整理すると、どこにボトルネックがあるのかがわかります。
アポイントが取れないのか。試食までは進むが成約しないのか。
それぞれの段階で数字を追えば、改善すべきポイントが明確になります。
営業不振の食品会社では、多くの場合「アポ率」が低いか「成約率」が低いです。
アポ率が低い場合は、まずリストの質を見直す必要があります。
全国のバイヤーや問屋に片っ端から電話しても、反応は薄くなります。
むしろ、自社商品に関心を持ちそうなターゲットを絞ることが重要です。
たとえば「国産原料にこだわる高級スーパー」「地産地消を掲げるホテル」など、ターゲットの絞り込みが先です。
リストが整理できたら、アプローチ方法を見直します。
電話で売り込みをするよりも、メールやSNSを使って「商品の背景」を伝えた方が反応が高い場合もあります。
食品バイヤーは「味」だけでなく「つくり手の想い」にも関心を持つからです。
次に、商談から成約までの数字を見ます。
提案が通らない理由の多くは「資料」か「順番」にあります。
試食や見積もりを出す前に、先方がどんな棚を持ち、どんな価格帯を扱っているかを調べておくこと。
この事前準備の有無が、成約率を大きく左右します。
たとえば、1,000円のジャムを扱う会社が、300円の商品ばかりの量販店に提案しても通りません。
反対に、同じ1,000円でも「原料が限定農園産」「地域ブランド認定」など明確な差別化があれば、百貨店では即決されることもあります。
営業不振とは、商談相手のミスマッチから起こるケースが非常に多いのです。
営業を数字で見える化すると、次のような気づきが得られます。
・アプローチ件数が足りない
・提案数が偏っている
・価格帯が合っていない
・販促資料が弱い
・フォローが遅い
数字の裏には必ず原因があります。
たとえば、フォローが遅いのは担当者のせいではなく、社内の承認フローに時間がかかる場合もあります。
それを「営業力不足」と決めつけると、本質を見誤ります。
営業不振を立て直す第一歩は、「感覚営業」をやめること。
行っている、頑張っている、提案しているではなく、どの段階で止まっているかを数値で把握します。
営業を数字で管理すると、社員も冷静に改善できます。
「成約率10%を12%に上げよう」という目標なら、具体的な行動が考えられます。
・提案先の優先順位を決める
・フォローを翌日に行う
・試食会の実施頻度を増やす
これらはすぐに行動できる内容です。
食品会社の営業には「季節」と「在庫」がつきものです。
数字管理のもう一つの利点は、繁忙期と閑散期の差を見える化できる点です。
「夏に落ちる」「年末に集中する」などの傾向を把握できれば、営業の山谷を平準化できます。
たとえば、6月と10月に新規提案が落ちるなら、その時期に合わせた販促やイベントを組む。
逆に、年末受注が多いなら、夏に仕込みを済ませて営業時間を確保する。
数字を見れば、行動のタイミングがわかります。
営業不振を脱するには、次の三つのステップを実行してください。
一、営業の工程を数値化する
二、ボトルネックを特定する
三、改善策を一つずつ実行する
この三つを続けるだけで、営業の成果は確実に上がります。
営業不振は社長の責任でもあります。
営業の数字を把握できていない経営者は、方向を誤るリスクが高い。
営業は「行動」よりも「構造」で動きます。
構造を理解してから動くことが、結果を出す最短ルートです。
食品会社の営業は、品質を磨く努力と同じくらい、数字を磨く努力が求められます。
味は評価されているのに売れない。そんなときこそ、数字を見てください。
営業は科学です。感情ではなく、営業の流れの改善で売上は戻ります。
営業不振を解く鍵は、気合いでも根性でもなく、「分析」です。
でも根性も大切ですからね。
売上を上げる前に、営業の流れを見直す。
それができれば、どんな時代でも売れる会社になります。
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