固定客をがっちり囲い込む 食品メーカーが安定成長を続けるための営業戦略

食品メーカーの社長にとって、「新しい販路をどう開くか」は永遠のテーマです。
展示会や商談会、マッチングイベント、SNSなど、新規顧客を増やす機会は増えています。

とはいえ、現場で成果を上げている経営者ほど口をそろえて言います。
「結局、うちを支えてくれているのは固定客だ」と。

この固定客づくりこそ、営業を安定させる最重要の戦略です。
新規顧客を獲得するためには、固定客を維持する場合の7倍の時間と費用がかかると言われています。
*わたしは10倍違うと感じています。
つまり、いかにして既存の顧客を手放さず、ファン化していくかが、会社の利益構造を左右します。

新規顧客だけを追う営業は続かない

多くの食品会社では、展示会の成果や新規商談件数を営業成果の指標にしています。
新しいバイヤーと名刺交換をし、見積書を送り、サンプルを送付する。
一見すると前向きな活動ですが、実際にはその後の成約率が低く、
追いかけるほど疲弊するケースが少なくありません。

新規営業は時間もコストもかかるうえに、相手の判断軸や商習慣がわからないため、信頼を築くまでに時間が必要です。
さらに、価格や納期で比較されることが多く、値下げ競争に巻き込まれる危険もあります。
一方、固定客との取引は信頼をベースにしているため、提案の自由度が高く、安定したリピート受注につながります。

新規開拓は重要ですが、「新規三割・固定七割」くらいのバランスで営業活動を設計すると、
会社の営業効率は格段に上がります。

ファン化の第一歩は継続的な接触

一度取引をしただけで満足してはいけません。
商品を納品した後こそが、固定客化のスタートラインです。
訪問、電話、メール、ニュースレター、SNSなど、方法は問わず継続的な接触を意識しましょう。

たとえば、納品後に「その後の売れ行きはいかがでしょうか」と一言添えるだけでも、印象は大きく変わります。
相手に「気にかけてくれている」と思ってもらうことが、信頼関係を深める第一歩です。

食品業界は季節商材が多く、販売時期に合わせた情報提供が有効です。
春の新商品、夏のギフト提案、秋の催事向けラインナップなど、タイミングを意識して提案を継続することで、
自然とファンが増えていきます。

顧客リストは営業の資産

固定客を囲い込むためには、顧客管理が欠かせません。
営業担当者の頭の中だけに情報がある状態では、必ず漏れが発生します。
顧客ごとに商談履歴、担当者の性格、過去の購入商品、次回提案時期などを
整理したリストをつくることが重要です。

このリストは単なる住所録ではなく営業資産です。
訪問予定やフォロー漏れをチェックする仕組みを整えることで、安定した営業活動が可能になります。
食品メーカーの場合、営業担当が少ないことも多いため、リストの整備は会社を強くする仕組み化でもあります。

固定客を囲い込む仕組み化と見える化

固定客づくりは、営業個人の熱意だけに頼ると継続できません。
担当者が変わった瞬間に関係が途切れることもあります。
だからこそ、会社としての仕組み化が必要です。

たとえば、半年ごとの定期訪問スケジュールをカレンダーに登録する、新商品情報を定期的にメールで配信する、
顧客満足度アンケートを実施する、年一回の「取引先感謝便り」を送付するなど。

こうした取り組みを仕組みとして組み込めば、誰が担当しても一定の品質で顧客対応ができます。
加えて、リスト管理をExcelやクラウドツールで見える化すれば、全社で営業状況を共有でき、
フォロー漏れを防ぐことができます。

価値のある接触で信頼を積み重ねる

固定客を囲い込む最大のコツは、相手にとって意味のある接触をすることです。
単に連絡頻度を増やすだけでは、相手の負担になる場合もあります。

たとえば、他社で売れ筋になった事例を共有する、バイヤーが知りたい販促アイデアを提供する、
売場提案や試食イベントの提案を行うといった情報提供型の接触が効果的です。

バイヤーが「この会社はいつも役に立つ提案をしてくれる」と感じれば、競合が入り込む余地はありません。
信頼を積み重ねる営業は、短期的な売上以上に、長期的なブランド価値を生みます。

固定客を育てる営業は社員教育にもつながる

固定客を大切にする文化が根づくと、営業だけでなく社内全体の意識が変わります。
売って終わりではなく、売ってからが始まりという姿勢が生まれ、商品開発や品質管理にも良い影響が出ます。

たとえば、顧客の声を開発会議で共有する、リピート注文が増える理由を分析する、
取引先からの評価を社内表彰につなげるなどの取り組みが考えられます。

社員のモチベーションが上がり、組織全体が顧客満足の向上を意識するようになります。
結果として、固定客がさらに増える好循環が生まれます。

中小食品会社こそ固定客戦略で成長できる

地方発の中小食品メーカーは、大手と比べると広告宣伝費も営業人員も限られています。
だからこそ、固定客を育てる戦略が最も効果を発揮します。
固定客が安定していれば、急な原材料高騰や市場変化にも対応できます。

また、固定客は次の販路開拓の紹介者にもなってくれます。
「この会社は信頼できる」と評価してもらえれば、別の仕入先やバイヤーを紹介してくれることもあります。
これは広告では得られない、最強の営業効果です。

信頼の連鎖が広がれば、あなたの会社は選ばれる食品メーカーとしての地位を確立できます。

固定客をがっちり囲い込むことが販路拡大の最短ルート

食品メーカーの経営は、固定客の数と質で決まります。
一度つながった顧客をファンとして育てることで、安定した売上と信頼が生まれます。
営業活動を点ではなく線でつなぎ、関係を深めることが、次の販路を開く力になります。

固定客をがっちり囲い込み、御社の営業を続く仕組みへと進化させてください。
それこそが、地域食品メーカーが長く愛されるための最強の販路開拓戦略です。

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