売上につながらない「ブランディング」をやっていませんか?

最近、食品会社の社長から「うちもブランディングを始めようと思う」と聞くことが増えました。
けれど、実際に取り組んでみても成果が見えず、思うように売上につながらないという声も多くあります。

原因の多くは、ブランディングの本質を誤解していることにあります。
見た目を整えることだけを目的にしてしまい、自社の中身を整理していないケースです。
この記事では、中小食品会社が本当に売上につながるブランディングを行うための考え方を紹介します。

ブランディングとは何か

ブランディングとは、ロゴやパッケージを作ることではありません。
自社がどんな価値を持ち、何を大切にしている会社なのかを、相手に正しく伝えるための整理作業です。
言い換えれば「会社としての自己紹介を整えること」です。

商談や営業の現場では、味や価格だけで勝負することが難しくなっています。
取引先やバイヤーは、商品の品質だけでなく、その会社の姿勢や考え方を重視しています。
「この会社は信頼できる」「共感できる」と感じてもらえなければ、採用には結びつきません。

ブランディングが販路開拓に欠かせない理由

商談会や展示会では、似たような商品が並んでいます。
その中で、バイヤーが立ち止まるのは「言葉で印象に残る会社」です。
たとえば同じ味噌でも、「江戸時代から続く木桶仕込みの味噌」と「昔ながらの味噌」では印象がまったく違います。
前者には歴史と背景が感じられ、会社の想いが伝わります。

ブランディングとは、商品そのものを飾るのではなく、選ばれる理由を明確にすることです。
どんな人にどんな価値を届けたいのかを整理すれば、商品の見せ方や価格設定にも一貫性が生まれます。
この一貫性がある会社ほど、営業も商談も強くなります。

ロゴやパッケージは手段にすぎない

デザインを変えれば売れると思ってしまう会社は少なくありません。
実際、パッケージを刷新しても売上が変わらない例は多くあります。
見た目を整えても、伝える内容が整理されていなければ効果は出ません。

デザインはあくまでメッセージを伝えるための器です。
中身である「会社の理念」や「社長の想い」が明確でなければ、器だけを磨いても成果は出ません。
順序を間違えず、まず中身を整理し、そのあとで表現方法を考えることが大切です。

自社の自己紹介を言葉でまとめる

ブランディングの出発点は、自社を一言で説明できることです。
「地元の契約農家と一緒に漬物を作っている会社」
「祖母の味を守る、無添加惣菜の専門メーカー」
このように、誰が聞いても情景が浮かぶ言葉で表現できれば、それがすでにブランドの芯になります。

営業資料やホームページ、商談の場で同じ表現を使えるようにしておくと、会社の印象が統一されます。
社員が同じ言葉で話せる会社は、取引先からの信頼も厚くなります。
ブランドとはデザインではなく、共通の言葉です。

販路開拓におけるブランディングの実践

営業や販路開拓でブランディングを活かすためには、次の三つのステップが効果的です。

一 会社の方向性を明確にする
どんな取引先と関係を築きたいか、どんなお客様に選ばれたいかを具体的に書き出します。
この段階で目指す方向が定まっていないと、後の施策がすべてずれてしまいます。

二 社長の言葉で語る
ブランディングの核は、社長の言葉です。
なぜその商品をつくったのか、どんな人に食べてほしいのか。
その想いが伝わる会社は強いです。
専門家が作るキャッチコピーより、社長の本音が伝わる一言のほうが相手の心を動かします。

三 全社員で共有する
営業担当や製造担当が同じ言葉で説明できる状態をつくると、会社全体の発信力が高まります。
展示会や商談会でも、全員が同じトーンで話す会社は印象に残ります。
ブランディングとはチーム全体で作るものです。

成功事例に学ぶ

ある惣菜メーカーは、商工会の展示会で「母の味を再現した煮物です」と語りました。
その一言に共感したバイヤーが立ち止まり、後日、棚取りが決まりました。
味の説明よりも、想いの言葉が心に響いた例です。

別の中小メーカーでは、デザインを変える前に理念を整理し、
社員全員が「私たちは家庭の食卓を明るくする会社です」と言えるようにしました。

その結果、営業での成約率が二倍に上がりました。
見た目を変えるより先に、言葉を整えたことが成功の要因でした。

行政や金融機関との関係にも強くなる

ブランディングを整えると、取引先だけでなく行政や支援機関との連携にも効果があります。
行政や金融機関は、補助金や連携事業の対象を選ぶ際に「この会社は自分の価値を理解し、発信できているか」を重視します。
自社の方向性が明確で、発信の軸がある会社は支援対象として選ばれやすくなります。

金融機関の担当者にとっても、理念が明確な会社は融資判断がしやすく、安心感があります。
ブランディングは営業や販路開拓だけでなく、経営全体の信頼を高める効果があるのです。

中身が整っていないと、施策はすべて空回りする

ECサイトを立ち上げても、営業代行を頼んでも、会社の中身が整理されていなければ成果は出ません。
「何を」「誰に」「どんな理由で」届けたいのかを明確にしない限り、伝わらないのです。
ブランディングとは、すべての活動の基礎になります。

まとめ

ブランディングは売上を直接生み出す魔法ではありません。
けれど、それが整っていなければ、営業も販促もどんな施策も結果を出せません。

ロゴやパッケージを変えることより、自社の姿勢や考え方を、言葉で、行動で、一貫して伝えること。
それこそが「本物のブランド」をつくる道です。

中小食品会社の社長の皆さまには、まず自社の自己紹介を整えるところから始めてほしいと思います。
ブランディングを見直すことが、販路開拓の第一歩になります。
今日から、会社の言葉を一つずつ見直してみてください。


●顧問契約・セミナー・取材のご相談
食品会社の販路開拓支援、講演・研修のご依頼、マスコミ取材のご相談
👉 [ご相談・お問い合わせフォーム]
●食品会社の社長向けPDF教材の販売
販路開拓成功シリーズを販売中。オンライン無料相談30分付き。
👉 [教材購入はこちら(STORES)]