食品業界の社長からよくいただく悩みの一つが、
「営業マンがもっと売上アップの意識を持ってくれたら…」という声です。
「売上を上げろ!」と号令をかけても結果が出ない。
「営業マンのやる気が足りないのでは?」と感じる社長も多いのではないでしょうか。
しかし、実際には営業マンの意識改革だけでは売上は伸びません。
会社全体で売上アップを考える仕組みと環境づくりが必要です。
この記事では、食品会社の社長が現場に落とし込める「売上アップの意識づけ」のコツを解説します。
1. 社長自らが「売上アップの象徴」になる
食品会社の規模が小さいほど、社長自身が現場で動く姿は営業マンへの最大の刺激になります。
展示会に一緒に行く、得意先のバイヤーと直接話す、営業日報を読んでフィードバックする。
社長が「売上アップを本気で考えている」と示すだけで、営業マンの意識は確実に変わります。
チェックポイント
- 社長自身が営業同行しているか
- 成果が出たら現場で直接褒めているか
- 売上目標を自ら口に出しているか
社長が動く姿を見せることは、営業マンにとって最高の「行動指示書」です。
2. 個人別の売上目標と実績を明確にする
営業マンが「自分はどれだけ売上に貢献しているか」を理解できないと、
目標達成意欲は生まれません。
- 個人別に売上予算を設定する
- 月次で進捗を見える化する
- 達成度をチーム全体で共有する
食品会社では「エリア別・得意先別」で数字を管理しているケースが多いですが、
これを営業マン別に落とし込むことが意識改革の第一歩です。
数字が見えると、営業マン同士の自然な競争も生まれます。
社長が毎月進捗を発表するだけでも、現場の空気は変わります。
3. 売上アップの「目的」を共有する
単に「売上を上げろ」と言われても、営業マンは疲弊してしまいます。
重要なのは、売上を上げる目的を理解させること。
- 新商品開発のための原資をつくる
- 設備投資や人員増強で働きやすい職場をつくる
- 取引先から信頼される会社に成長する
営業マンが「売上=自分たちの未来」と理解すれば、数字を追う意味が生まれます。
会議では数字だけでなく、会社のビジョンを語る時間を作ると効果的です。
4. 社内全体を巻き込んで「売上アップ文化」を作る
営業だけが頑張っても限界があります。
製造、品質管理、事務担当、物流も一緒になって「どうやったらもっと売れるか」を考えることが重要です。
- 製造現場からアイデアを吸い上げる
- クレーム対応を全社で共有し改善する
- 事務担当が得意先データを整理して営業を支援する
こうした全員参加型の動きが、営業マンのやる気をさらに引き上げます。
会社全体で「売れる仕組み」を作れば、営業マンは自然と攻めの姿勢になります。
5. 現場での具体的な行動ステップ
営業マンの意識を変えるためには、行動のサイクルを明確にすることが重要です。
- 営業同行を計画:社長が月1回、主要取引先へ同行
- 行動目標を設定:訪問件数・提案数など数字以外のKPIも決める
- 社内共有:成功事例をミーティングで発表
- フィードバック:社長から直接コメントし次の行動につなげる
このサイクルを繰り返すと、営業マンは「やらされ感」ではなく「挑戦している感覚」を持てます。
6. 成功事例:地方漬物メーカーの取り組み
私が支援したある地方の漬物メーカーでは、社長が毎月1回必ず営業同行するルールを作りました。
最初は営業マンも緊張していましたが、同行の中で
「この商品は百貨店よりも量販店向きだね」「次はこんな売り方を試そう」と具体的なアイデアが生まれ、
半年で新規取引先が5社増えました。
社長が現場を見ることで、営業の改善ポイントがすぐわかり、
スピード感のある意思決定が可能になったのです。
7. 特効薬は「社長が売上を作る」こと
結局のところ、社長自身が売上を作るのが一番の特効薬です。
例えば、
- 大口取引先のトップと社長同士で会う
- 展示会でバイヤーに直接プレゼンする
- 新規取引の最初の商談は社長が行く
こうした動きが、営業マンの背中を押し、
「うちの社長も本気で売上アップに取り組んでいる」と感じさせます。
売上アップは「意識」ではなく「仕組み」でつくる
食品会社の売上アップは、営業マン個人のやる気に頼るものではありません。
社長が動き、数字を見える化し、目的を共有し、全社で仕組みを回す。
このサイクルを回すことで、営業マンは自然と「もっと売ろう」という意識を持つようになります。
今日からできる3ステップ:
- 来週、社長が営業同行する日を決める
- 個人別の売上目標を作成する
- 営業会議で「売上アップの目的」を伝える
この積み重ねが、結果として安定した売上と強い営業組織をつくります。
食品会社の販路開拓は、待っていても始まりません。
売上アップの意識を浸透させ、現場を動かし、社長自らが先頭に立つ。
これこそが、地方食品メーカーが大手に負けないための最大の戦略です。
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