売上至上主義という言葉を聞くと、もう古くて、時代遅れの考えだと感じるかもしれません。 以前の企業経営や営業の世界では、売上至上主義が当たり前のように使われていました。その意味は「とにかく売れ!売れ!」というような、ひたすら売上を追い求める考え方でした。
その結果、無理な営業手法が問題となり、消費者保護の動きが高まり、法律も整備されました。 売上至上主義のもとでは、理屈や理論は不要で、とにかく売ることに重点が置かれました。 営業マンは朝から深夜まで電話をかけ続けたり、アポなしで飛び込み営業をしたり、どんな手段もいとわないという風潮もありました。
今では、そんなやり方をする企業は「ブラック企業」というレッテルを貼られ、顧客から見放され、従業員からも愛想を尽かされ、やがて市場から退場していくのが現実です。 そう考えると、売上至上主義は悪いものだと、誰もが思うかもしれません。
売上至上主義は本当に間違っているのか?
社長によく考えてほしいことがあります。 経営者、営業担当者にとって、売上を一番に考えることは、本当に間違っているのでしょうか。
結論から言えば、間違いではありません。むしろ、それは当たり前のことなのです。
売上がなければ、会社は一日たりとも続けていくことはできません。
売上を上げて、そこから利益を出さなければ、御社を存続させることはできません。 従業員の生活を守ることも、新しい商品開発に投資することも、すべては売上という土台があって初めて可能になります。
だからこそ、企業は売上を一番に考える「売上至上主義」であるべきなのです。
重要なのは、その言葉が持つ本当の意味を理解することです。 従来の売上至上主義がうまくいかなかったのは、それが「自分の都合」だけを優先したものだったからです。 お客様の気持ちや利益を考えず、ただひたすら商品を売りつけようとするやり方では、長続きするはずがありません。
では、どうすれば良いのでしょうか。
顧客からの信頼が「正しい売上」を創る
正しい「売上至上主義」とは、ただ無理に売るのではなく、顧客から愛され、信頼されて初めて成り立つものです。 無理な押し売り、価格競争に勝つための原価割れの大幅値引き、強引な契約など、コンプライアンスを無視したやり方では、一時的に売上が上がったとしても、何の意味もありません。 それは、御社のブランド価値を大きく損ない、将来の成長を阻害することになります。
本当に目指すべき「売上至上主義」は、お客様に心から喜んでもらい、その結果として売上がついてくる、という考え方です。 御社の商品やサービスに価値を感じてもらい、お客様が「また買いたい」「他の人にも勧めたい」と感じてくれたときに、持続的な売上は生まれます。
この「売上至上主義=顧客からの信頼で成り立つ」という黄金律を忘れてはいけません。 この大前提さえ忘れなければ、細かい営業手法にとらわれる必要はありません。
信頼を築くための3つの行動
では、具体的にどのように行動すれば、お客様からの信頼を得て、正しい売上を築くことができるのでしょうか。
1. お客様の声に耳を傾ける
御社の商品について、お客様はどんな感想を持っているでしょうか。 どんなことに困っていて、どんな商品があれば喜んでくれるでしょうか。 アンケートやSNS、直接の対話など、あらゆる方法で顧客の声を集め、真摯に受け止めることが大切です。 お客様の声を商品開発やサービス改善に活かすことで、お客様は「自分の意見を尊重してくれている」と感じ、御社への信頼を深めてくれます。
2. 誠実な情報発信を続ける
嘘や誇大な表現で商品をアピールするのはやめましょう。 御社の商品がどのようなこだわりを持って作られているのか、どんな素材を使い、どんな人が関わっているのか、正直に伝えることが重要です。 商品の良い面だけでなく、注意点や、解決できる課題も正直に伝えましょう。 消費者は誠実な情報を求めています。 透明性のある情報発信は、御社とお客様の間に強固な信頼関係を築いてくれます。
3. 約束を必ず守る
これは当たり前のことですが、非常に重要なことです。 注文された商品を納期通りに届けること、お問い合わせに迅速かつ丁寧に対応すること、契約内容をきちんと守ること。 どんな小さな約束でも、必ず守り抜くことで、お客様からの信頼は少しずつ積み重なっていきます。 信頼は、一日にして成らずです。日々の小さな積み重ねが、大きな信頼の山を築いてくれます。
売上と信頼のバランス
正しい「売上至上主義」は、決して残酷な物語ではありません。 それは、売上を上げるという目標にまっすぐ向き合いながらも、同時に顧客との信頼関係を何よりも大切にする、という経営の哲学です。
一時の利益を追うのではなく、お客様との長期的な関係を築くことを第一に考える。 そうすることで、御社のブランドは強くなり、固定客が増え、安定した売上につながっていきます。
この黄金律を心に留めておけば、御社はこれからも成長し続け、お客様からも従業員からも愛される、素晴らしい企業になっていくはずです。 ぜひ、今日からこの考え方を経営に活かしてみてください。
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