展示会に出ても売れない会社 社長が間違えている準備


食品の販路開拓専門家・伊藤晴敏です。

展示会後の売上はどうでしたか。
出展料150万円。
交通費と人件費でさらに80万円。
3日間立ち続けて集まった名刺は300枚。
1ヶ月経っても導入は0件。
これが、多くの食品会社が直面している現実です。

社長は、多額の経費を投じて展示会に挑みます。
新しい販路を広げ、スーパーのバイヤーとつながり、売上アップを実現したい。
そう願って身体を動かし、準備を進めてきたはずです。

展示会が終わった後の事務所には、重い沈黙が流れます。
バイヤーからは検討しますと言われたきり連絡が途絶えている。

結局、サンプルを無料で送っただけで終わってしまった。
こうした悩みを持つ社長は少なくありません。

高い経費を払って出展したのに、結果が出ないのは本当に辛いことです。
なぜ、良い製品を持っているのに売れないのでしょうか。

展示会で売れない会社は、会場で負けているのではありません。
出展を決めた時点で負けています。

社長が展示会に向けて行っている準備の方向が、根本から間違っているからです。
気合や製品の味だけで売れる時代は終わりました。
展示会を成功させるためには、見栄えの良いブースを作ることよりも大切なことがあります。

多くの会社がやっている間違った準備

展示会が近づくと、社長はまずパンフレットの作成やブースの装飾に力を入れます。
きれいな写真を載せたカタログを作り、目を引くパネルを用意します。

当日は試食をどんどん出し、足を止めてくれた人に一生懸命に味の良さを伝えます。
名刺を1枚でも多く集めることが成功の証だと信じて疑いません。
これらはすべて、大きな間違いです。

バイヤーは味を確かめに来ているのではありません。
商売として成り立つかどうかを確認しに来ています。

パンフレットが豪華でも、ブースが派手でも、中身の設計が伴わなければ意味がありません。
試食を配って美味しいねと言われることに満足しているうちは、販路開拓は進みません。

名刺の数は、単なる訪問者の記録に過ぎません。
1000枚の名刺よりも、1件の具体的な導入計画の方が価値があります。
間違った準備に時間と資金を投じるのは、今すぐ止めるべきです。

本当に準備すべき3つのポイント

展示会に出る前に、社長が設計しておくべき具体的な要素が3つあります。

1つ目は、誰に会うのかを明確にすることです。
大手スーパーのバイヤーなのか、高級志向の専門店なのか、あるいは通販の担当者なのか。
会いたい相手を絞り込まなければ、製品の提案内容はぼやけてしまいます。
誰でもいいから買ってほしいという姿勢は、誰にも刺さらないという結果を招きます。

2つ目は、導入後の売り方を設計することです。
バイヤーが最も嫌がるのは、商品を納入した後に売れ残ることです。
店頭に並んだ後、誰が、いつ、どのようにしてその商品を手にとるのか。

そこまで社長が考えて提案しなければ、バイヤーは首を縦に振りません。
店側がどのような販促を行えばいいのか、具体的な出口戦略を用意しておく必要があります。

3つ目は、自社の出荷条件と売れ残りリスクへの対応です。
想定販売価格に対して、自社の出荷条件がどうなっているのか。
もし売れ残った場合に、どのようなフォローができるのか。

こうした具体的な商売の条件を、事実に基づいて提示できる準備をしておかなければなりません。
美味しいから売れるはずだ、という精神論ではプロのバイヤーは動きません。

実際の支援事例と劇的な変化

私が支援した、ある水産加工品メーカーの事例を紹介します。
その会社は、毎年東京の大規模展示会に出展していましたが、成約はほぼ0でした。
出展料やサンプル代で毎回300万円近い赤字を出していました。

社長はうちの営業は押しが弱いと嘆いていましたが、原因は営業の腕ではありませんでした。
バイヤーに渡していた資料に、具体的な売り方のイメージが全く無かったのです。

私は展示会の準備内容をすべて変えてもらいました。
具体的には、集客用の派手なパネルを廃止し、A4用紙1枚の提案書を作成しました。
そこには、導入した際のターゲット層の動線と、自社の出荷条件を明記しました。

味の説明は3行に絞り、残りはすべて店側が受けるメリットと売り方に割きました。
さらに、1日の販売目標数20個を達成するための具体的な手法も算出しました。

結果として、集まった名刺の数は前年の半分以下になりました。
そのうちの5社と具体的な商談が始まり、最終的に3社での導入が決まりました。

売上は展示会後3ヶ月で1200万円上積みされました。
社長が行ったのは、派手な準備ではなく、バイヤーが納得するための具体的な売り方の設計です。

社長が出展前に確認すべきチェックポイント

次の展示会を無駄にしないために、社長は以下の5つの項目を確認してください。

第1に、想定販売価格と自社の出荷条件が整理されているか。
バイヤーが即座に商売のシミュレーションができる準備ができていることが前提です。

第2に、物流の仕組みを整えているか。
導入が決まっても、配送の体制が整っていなければ、売るほどに身体を壊すことになります。
運賃高騰の今、効率的な物流体制の準備ができているかが鍵となります。

第3に、賞味期限とロット数が相手の販売力に見合っているか。
1回の納品数量が多すぎれば、店側は廃棄リスクを恐れて導入を見送ります。
相手が扱いやすいロット調整の準備ができているかを確認してください。

第4に、導入後に売れ残った場合の対応策があるか。
売り場での陳列方法や、消費者に手に取ってもらうための施策を社長自身が語れるようにしてください。

第5に、展示会終了後24時間以内にフォローする体制があるか。
商談の熱量は時間が経つほど冷めていきます。
会場で話した内容を即座に整理し、翌日には提案書を届けるスピード感が成約率を左右します。

行動を促すための決断

展示会は、自社の製品を自慢する場所ではありません。
バイヤーの悩みを解決するための手段を提示する場所です。

多くの会社が、味やパッケージの良さだけで勝負しようとして敗れています。
社長がやるべきことは、職人のこだわりを語ることではなく、商売の設計図を完成させることです。

準備の順番を変えるだけで、展示会から得られる成果は数倍に膨らみます。
今までと同じ準備を繰り返していても、昨日と同じ結果しか得られません。

新しい販路を本気で開拓したいのであれば、まずは足元の計画を見直してください。
御社の製品には、もっと多くの人に届く力があるはずです。
その力を最大限に引き出すのは、社長の正しい準備と決断です。

次の展示会に出る前に、
想定販売価格、自社の出荷条件、導入後の売り方。
この3つを紙に書き出してください。

書けないなら、出展はやめた方がいい。
それほど展示会の現場は甘くありません。

もし、自社の設計図に少しでも不安があるなら、専門家の視点を取り入れることを検討してください。
私はこれまで数多くの現場で、設計を変えるだけで成約率を上げてきました。
展示会を単なるイベントで終わらせるのか、売上アップの転換点にするのか。

それは今この瞬間の準備で決まります。
自社の提案書を1枚、見直してみてください。
売れるイメージが具体的に書けていますか。
書けていないなら、展示会の前にやるべきことがあります。

—————————————————————————
「良い商品なのに、なかなか新しい売り先が見つからない」
「営業のことで、誰かに相談したいけれど相手がいない」
そんなときは、まずはお気軽にお話を聞かせてください。
泥臭く、現場で一緒に汗をかいて、御社の商品の良さを広めるお手伝いをします。

● お悩み相談・お問い合わせはこちら(無料です)
 → お問い合わせフォームへリンク

● セミナーや取材のお声がけも、喜んでお引き受けします
→ ご依頼はこちらから

● 「なぜうちの商品が売れないのか?」がパッとわかる、
社長さんのための「おまとめ資料(PDF)」も作りました。お役に立てれば嬉しいです。
→ 社長向けPDFはこちら(STORESへ)