展示会での出会いを商談につなげられる会社は、出展前からフォロー戦略をきちんと決めています。
展示会そのものが目的ではなく、「展示会後にどう動くか」を重視している点が共通しています。
名刺交換をして終わりでは、バイヤーから注文はきません。展示会で成果を出している社長は、
名刺交換の瞬間からすでに次のステップを見据えています。
たとえば、展示会が終わった翌週には、お礼のメールを送る。その際、ただ「ありがとうございました」だけで終わらせず、
「今後こういう展開を考えています」「ご意見をうかがいたい」といった一言を添える。これだけで相手の印象は大きく変わります。
そして、その後の3ヶ月、6ヶ月でのフォローが成果を左右します。多くのバイヤーは、展示会後すぐに取引を決めません。
新規取引の検討は、社内会議や販売計画との兼ね合いで、数ヶ月かかることも珍しくありません。
だからこそ、3ヶ月後、6ヶ月後の定期的な情報発信が重要になります。
内容は「新商品の案内」「季節限定商品の情報」「自社商品の導入事例」「最近の業界動向」「展示会での反響」などが効果的です。
こうした情報をメールやニュースレター、SNSなどで継続的に発信することで、相手の記憶の中で「忘れられない存在」になります。
展示会で出会ったバイヤーは、平均すると1日に100社以上と名刺交換をしています。その中で自社を思い出してもらうには、
「印象の積み重ね」が欠かせません。初回のあいさつ、お礼、数ヶ月後のフォロー。
これを計画的に行っている会社ほど、展示会の成果を着実に出しています。
一方で、展示会後に何もフォローをしていない会社は、せっかくの出会いを自ら手放しています。
「名刺交換したのに反応がない」「メールを送ったけど返信がない」と嘆く前に、
自社の発信が相手の関心を維持できているかを考える必要があります。
フォローの目的は、すぐに受注を取ることではありません。信頼を積み重ね、
相手の購買タイミングに合わせて提案できるようにすることです。展示会は出会いのきっかけにすぎず、関係づくりのスタートラインです。
たとえば、A社は展示会終了後、3日以内にお礼メールを送り、その後1ヶ月おきにニュースレターを発信しています。
内容は「新商品情報」「業界ニュース」「社長のひとことコラム」。メールの冒頭には必ず展示会での会話内容を一文添える。
「○○の試食をしてくださった際に○○とおっしゃっていましたが、その後いかがでしょうか?」。
この一文があるだけで、バイヤーの記憶がよみがえります。
また、B社は半年ごとにDMを発送しています。カタログや資料だけでなく、社長の手書きメッセージを添えることで、
返信率が高まったと言います。「いつも拝見しています」「そろそろ新しい提案を」などの反応が戻り、
展示会の出会いが長期的な取引に発展しました。
このように成果を出している会社には共通点があります。
- 展示会前からフォロー計画を決めている
- お礼メールを形式的にしない
- 3ヶ月後、6ヶ月後の定期発信を欠かさない
- 情報発信の内容が相手にとって価値あるものになっている
多くの会社は展示会の「前準備」や「当日の演出」には力を入れますが、「後のフォロー」には手を抜きがちです。
実際の成果を左右するのはこのフォロー部分であり、ここに時間を使える会社が次の取引をつかみます。
食品業界では特に、バイヤー側の検討期間が長く、試作や商談のタイミングが年度ごとに変わることもあります。
そのため、半年以上かけて関係を温めていくことが現実的です。焦らず、忘れられないように継続して関心を持ってもらう。
その姿勢が信頼をつくります。
展示会後のフォローをルーチン化するには、スケジュール表をつくるのがおすすめです。
・1週目:お礼メール
・1ヶ月後:展示会での反響報告
・3ヶ月後:新商品の情報
・6ヶ月後:業界ニュース+一言メッセージ
これを自動的に回すだけでも、印象はぐっと変わります。
展示会の出会いは、すぐに結果が出るものではありません。
ただ、何も発信しなければ「存在しない会社」として忘れられます。フォローを続ける会社は、時間を味方につけています。
展示会で成果を出している社長ほど、フォローを「仕事の一部」として仕組み化しています。
名刺交換をした瞬間に、相手との関係づくりが始まっている。そこに気づいた会社だけが、展示会のコストを投資に変えています。
ただ、展示会前にしっかり準備をしている会社は、実際には多くありません。
ほとんどが「出てから考える」タイプで、フォロー内容も曖昧なまま。
どんな情報を出すのか、どのタイミングで送るのかを決めずに出展してしまうケースが目立ちます。
名刺交換はしても、お礼メールの文面が決まっていない。写真素材や新商品の紹介資料も準備していない。
これでは、展示会後に発信しようとしても、何も出せません。
展示会出展には、東京ビッグサイトであればブース費用、装飾、交通、宿泊、パンフレットなどを合わせると
最低でも50万円以上かかることが一般的です。その費用を投じて「出ただけ」で終わるなら、経費ではなく浪費です。
成果を出している社長ほど、展示会前に必ず「出展目的」と「フォロー設計」を書面で整理しています。
お礼メールのテンプレート、新商品の案内文、SNS投稿の内容をすでに用意している。
準備がある会社ほど、展示会後のスピード対応ができ、結果につながっています。
展示会の本当の勝負は、出展前の準備と出展後のフォロー。この二つを両輪で動かせる会社が、商談を確実にものにしています。
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