なぜ「売れない商品」が生まれるのか?食品会社の社長が陥りがちな思考の落とし穴


「うちの商品は本当に良いものなのに、なぜか売れない」

そう感じていませんか?

「売れない商品」という言葉を聞くと、商品の品質や価格、デザインといった商品そのものに原因があると考えがちです。
実は商品自体に問題があるケースはほとんどありません。なぜなら、御社がこだわりを持って生み出した商品だからです。
では、なぜ売れないのでしょうか?

その答えは、「お客様の視点」が抜けているからです。

お客様は、商品を買うのではなく、商品がもたらす「解決策」を買います。
たとえば、食品の場合、「お腹を満たす」という解決策だけでなく、
「忙しい日の夕食準備を楽にする」「特別な日の食卓を彩る」「健康を維持する」など、さまざまな「解決策」が求められています。

この「お客様の視点」を意識するだけで、売れない商品が売れる商品に変わります。

「売れない」の本当の理由

多くの食品会社が、「売れない」と感じる本当の理由は、以下の3つの落とし穴に陥っているからです。

  1. 「良いものを作れば売れる」という思い込み
    良いものを作ることに全力を注ぎ、品質や製法に自信があるからこそ、「お客様もこの良さをわかってくれるはず」と思い込んでしまいます。
    しかし、お客様は商品の良さを知る機会がなければ、その良さを理解できません。
  2. ターゲットが不明確
    「誰にでも売れる」と考えていませんか?ターゲットを絞らずに広範囲にアピールしようとすると、
    誰の心にも響かない曖昧なメッセージになってしまいます。
  3. お客様の「なぜ買うのか」がわからない
    お客様がなぜその商品を買うのか、その理由を深く掘り下げて考えていますか?「美味しいから」「安全だから」といった
    表面的な理由だけでなく、その裏にあるお客様の感情や欲求まで理解する必要があります。

「売れる」に変える3つのステップ

では、どうすれば「売れる」に変えられるのでしょうか。私の師匠である松下幸之助は、「商売は、お客様の心に沿うことである」と説きました。この言葉をヒントに、「お客様の視点」を取り入れるための具体的な3つのステップをご紹介します。

ステップ1:お客様の「悩み」を徹底的に探る

御社の商品が解決できるお客様の悩みは何でしょうか?お客様が抱える悩みや不満を深く知ることが、すべての出発点です。

思考のヒント

  • お客様は、どんな時に御社の商品を手に取りますか?
    忙しい朝、疲れて帰宅した夜、特別な日のプレゼントなど、具体的なシーンを想像してみましょう。
  • 商品を買う前、お客様はどんなことに困っていますか?
    「献立を考えるのが面倒」「健康的な食事がしたいけど時間がない」など、具体的な悩みを書き出してみましょう。
  • 商品を買った後、お客様はどんな気持ちになりますか?
    「こんなに簡単で美味しいなんて!」「家族が喜んでくれて嬉しい」といった感情を想像してみましょう。

このステップで、お客様が商品に求めている「本当の価値」が見えてきます。たとえば、「無添加のドレッシング」を売る場合、
お客様が本当に求めているのは「健康」かもしれません。その場合、商品の良さだけでなく、
「健康的な食生活をサポートする」というメッセージを強く打ち出すことが重要です。

ステップ2:ターゲットを絞り、具体的なメッセージを作る

お客様の悩みがわかったら、次に、その悩みを抱えている特定のターゲットに絞って、メッセージを作ります。

思考のヒント

  • 誰のための商品か?
    ターゲットの年齢、性別、ライフスタイル、家族構成などを具体的に設定します。
    たとえば、「30代共働きの夫婦」「子育て中のママ」「健康志向のシニア層」などです。
  • ターゲットに響く言葉は?
    ターゲットの言葉遣いや価値観に合わせて、商品のメリットを伝えます。「時短」や「手軽さ」を求めるターゲットには「調理時間5分!」と
    アピールし、「健康」を重視するターゲットには「国産野菜100%使用!」とアピールするなど、メッセージを使い分けます。
  • どんな悩みをどう解決するのか?
    「〇〇という悩みを、この商品が解決します」という形で、具体的な解決策を提示します。

ターゲットを絞ることで、メッセージに具体性が生まれ、お客様の心に深く刺さります。たとえば、「お腹を満たすお弁当」ではなく、
「子どもの成長を応援する栄養満点のお弁当」とすることで、ターゲットである子育て中の親に強くアピールできます。

ステップ3:「お客様」に寄り添った販売方法を見つける

商品とメッセージが準備できたら、いよいよお客様に商品を届けます。この時も、「お客様の視点」が不可欠です。

思考のヒント

  • お客様はどこで情報を集めていますか?
    インターネット、SNS、雑誌、テレビなど、ターゲットが普段利用しているメディアを特定します。
  • どこで購入したいと思っていますか?
    スーパー、百貨店、オンラインストア、直売所など、ターゲットが購入しやすい場所を考えます。
  • どんな情報があれば買いたくなりますか?
    口コミ、体験談、レシピ、商品のストーリーなど、お客様が安心して購入できる情報を提供します。

お客様の行動パターンを理解することで、最適な販売方法が見つかります。たとえば、オンラインで商品を販売する場合、
商品の美味しさを伝えるための写真や動画、お客様の声、レシピなどを充実させることで、購入へのハードルを下げることができます。
また、SNSで商品の魅力や使い方を発信することも有効です。

「売れる」は、誰でも再現できる

「売れる営業マンはどんな商品でも売る」とよく言われますが、これは特殊な才能やセンスがあるわけではありません。
彼らは無意識のうちに、この「お客様の視点」を徹底的に追求しています。

中村天風は、「人間が生きるということは、無限の可能性と向き合うことである」と説きました。
食品の販売も同じです。「売れない」と諦めるのではなく、お客様の心に寄り添い、行動することで、必ず道は開けます。

品質にこだわった商品を、もっと多くの人に届けたいという想いは、必ずお客様に伝わります。
売れない商品は存在しません。あるのは、まだお客様にその価値が伝わっていない商品だけです。
御社の商品が持つ無限の可能性を、今こそ引き出してみませんか。


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