販路開拓専門家の伊藤です。
東京都内で洋菓子を製造するメーカーの支援事例です。
従業員20名。長年、百貨店催事を主力販路としてきました。季節ごとの催事に出店すればまとまった売上が立つ。
年商の約50%を催事が占めていました。
ところが状況は一変します。催事の回数が減り、声もかからなくなりました。
出店コストは上昇し、人手も不足。催事売上は全体の10%まで落ち込みました。
「味には自信がある。でも売る場所がない」
社長の第一声でした。
私は商品評価より先に売上構成を確認しました。催事依存50%。これは経営リスクです。
味の問題ではありません。販路の偏りです。
狙いを首都圏の高級スーパーに定めました。素材やストーリーを重視し、価格より価値で選ぶ客層を持つ店舗です。
催事で評価されてきた品質なら通用する可能性があります。ただしやり方は変える必要がありました。
最初の商談で言われたのはこうです。
「数量が多すぎます。このロットでは扱いにくい」
「パッケージが催事向けですね。日常販売では少し弱いです」
従来は短期集中型の大量生産。常設取引では少量で安定供給が求められます。
また、対面販売前提のパッケージは、無人の売場では力を発揮しません。
そこで三つ変えました。
第一に、出荷ロットを半分に縮小。少量で回せる生産体制へ変更しました。
第二に、パッケージを刷新。高級感を意識した素材と色使いに変更し、価格を上げても違和感のない外観に整えました。
第三に、商品数を3品から6品へ拡充。選択肢を増やし、売場での訴求力を高めました。
再商談ではこう伝えました。
「小ロットで対応できます。売れ行きに合わせて納品頻度を調整します。単価は上がりますが、売上総額は伸ばせます」
まず1店舗でテスト導入。3か月後に他2店舗へ拡大。現在は高級スーパー2社との継続取引が定着しています。
催事も1週間ではなく土日の2日間でお願いしました。
数字は明確です。
催事依存50%から10%へ。
高級スーパー売上が全体の約40%に拡大。
平均単価は約1.2倍。
粗利率は約8%改善しました。
催事は波があります。売場定番の取引は積み上げです。売上の安定度が変わりました。
社内の空気も変わりました。これまでは「催事が決まるかどうか」で一年が左右されていました。
今は「どうすれば取引を増やせるか」を議論しています。
味は変えていません。変えたのは売り方です。
「声がかからない」「催事が減った」と嘆くだけでは前に進みません。販路がないのではなく、偏っているだけです。
売る場所が変われば、やり方も変わります。
販路は待つものではありません。自社の強みが活きる取引先を見つけ、相手に合わせて変えることです。
その一歩が経営を安定させます。
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