社長の皆様、こんにちは。
販路開拓支援の専門家として、今回は厳しい現状を打開し、新たな活路を見出した素晴らしい成功事例をご紹介します。
近年、漁獲量の減少は多くの水産会社にとって喫緊の課題であり、事業継続を左右する重要な問題です。
しかし、そんな逆境の中でも、柔軟な発想で事業を多角化し、成長を遂げている企業があります。
今回ご紹介するのは、愛知県にある従業員10名の水産加工会社です。
この会社は、漁港でセリ落とした新鮮な海産物を自社で加工し、おもに地元のスーパーに卸販売してきました。
長年にわたり培ってきた目利きと加工技術には定評があり、地域になくてはならない存在として事業を続けてきました。
漁獲量減少の課題を「新たな価値」に変える
この水産加工会社は、近年深刻化する漁獲量の減少に直面していました。
食用としての安定供給が難しくなる中で、経営の多角化は緊急の課題だったのです。
そこで同社が着目したのが、海産物を使ったペットフードの製造販売でした。
この新たな挑戦が、今、大きな成功を収めています。
「なぜペットフードなのか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
この決断の背景には、いくつかの戦略的な視点がありました。
第一に、漁獲量減少という課題への対応です。食用として流通させるには量が足りない、
あるいはサイズが不揃いといった理由でこれまで活用しきれていなかった海産物を、
高品質なペットフードの原料として有効活用する道を選びました。
これにより、資源を無駄なく使い切り、収益へと繋げることが可能になりました。
第二に、ペットフード市場の成長性です。日本ではペットを家族の一員としてとらえる文化が浸透し、
ペットに対する支出は年々増加傾向にあります。
特に、健康志向の高まりから、高品質で安心安全なペットフードへのニーズが急速に高まっています。
人間用食品市場が成熟し、価格競争が激化する中で、
ペットフード市場は新たな成長ドライバーとして魅力的な選択肢となったのです。
そして第三に、利益率と品質基準の柔軟性です。一般的に、人が食べる食品は非常に厳しい品質基準が設けられ、
コストもかさみます。しかし、ペットフードは人間用食品に比べて品質基準がやや緩やかであり、
さらに、高品質なものは人間用食品よりも高価で取引される傾向があります。
この「人間用よりも高価で利益率が良い」という点が、事業の多角化を検討する上で大きな魅力となりました。
未利用魚・低利用魚に新たな命を吹き込む
この水産加工会社では、長年培ってきた高い加工技術を活かし、
これまで食用としては利用しきれなかった海産物にも着目しました。
例えば、漁獲量が少ないがゆえに流通に乗りにくい魚種や、サイズが小さかったり、
わずかな傷があったりするために人間用としては商品価値が低いとされてきた「未利用魚」「低利用魚」です。
こうした海産物も、品質そのものに問題があるわけではありません。
この会社は、それらを高品質なペットフードの原料として活用することで、新たな価値を創造しています。
もちろん、人間用食品とは異なる安全基準や製造工程を導入していますが、基本的な素材の選定においては妥協がありません。
新鮮な海産物を丁寧に加工することで、栄養価が高く、ペットの健康維持に貢献する製品を生み出しているのです。
「人が食べるものより高価で利益率が良い」という点は、多くの食品会社にとって魅力的な響きではないでしょうか。
人間用食品では、どうしても価格競争に巻き込まれがちです。
しかし、ペットフード市場では「愛するペットのために良いものを与えたい」という飼い主の強い思いが、
価格よりも品質を重視する傾向を生み出しています。
この会社は、あえて「人間が食べても問題ないレベルの品質」をアピールすることで、
他社のペットフードとの差別化を図りました。これにより、これまで有効活用できなかった資源を収益源に変え、
漁獲量減少の厳しい状況下でも安定した経営基盤を築くことに成功しています。
マーケティング戦略:オンラインでの成功と信頼構築
この会社のペットフード事業の成功には、優れたマーケティング戦略も欠かせません。
地元スーパーへの卸販売で培った流通網はもちろんのこと、特に力を入れているのがオンラインでの販売です。
ターゲットとなるペットの飼い主は、インターネットでの情報収集や購買に積極的な世代が多いのが特徴です。
そこで、自社のオンラインショップを立ち上げ、商品の魅力を丁寧に伝えることに注力しました。具体的には、
- 海産物の鮮度や加工工程の透明性をアピールする動画や写真の掲載
- ペットフードに使用される海産物の栄養価や効能に関する専門家監修の記事
- 実際にペットが美味しそうに食べる様子を投稿してもらうキャンペーン
- SNSを活用した積極的な情報発信と顧客との交流
など、多角的なアプローチでブランドイメージを確立していきました。
特に、ペットの健康を願う飼い主にとって、どのような素材で、どのように作られているかという情報は非常に重要です。
この会社は、その点を丁寧に説明することで、顧客からの信頼を獲得していきました。
オンライン販売は、地域に限定されず全国の顧客にアプローチできるという大きなメリットがあります。
これにより、漁獲量減少による供給量への懸念を払拭しつつ、全国のニッチなニーズを捉え、
事業のさらなる成長を後押ししています。
まとめ:逆境をチャンスに変える多角化戦略
愛知県の水産加工会社の事例は、漁獲量減少という避けられない課題に対し、既存の強みを活かしつつ、
新たな市場に目を向けることの重要性を示しています。これまで価値を見出しにくかった資源を、
ペットフード事業という新たなビジネスチャンスに変えることで、会社は持続的な成長を実現しました。
この事例から、食品会社の社長の皆様に伝えたいメッセージは、以下の3点です。
- 既存の資源を新たな視点で見つめ直す: 漁獲量の減少や未利用資源など、一見課題に見えるものが、
新たな価値創造のヒントになるかもしれません。 - 成長市場への参入を検討する: ペットフード市場のように、ニーズが高まっている分野に積極的に挑戦することで、
新たな収益の柱を確立できます。 - オンラインとオフラインの融合: 従来の販売チャネルに加え、ECサイトやSNSを活用することで、
販路を大幅に拡大し、全国規模での顧客獲得を目指せます。
私たち販路開拓支援の専門家は、食品会社の皆様が持つ素晴らしい技術や素材を最大限に活かし、
新たな市場での成功をサポートいたします。今回の事例が、皆様の事業戦略を考える上での一助となれば幸いです。
皆様の会社が持つ可能性を一緒に見つけ出し、売上アップに繋がる具体的な戦略を立てていきませんか?
ご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。
