食品業界において、店舗視察は単なる現場確認ではなく、売上アップに直結するマーケティング戦略の一環です。
特に社長自らが店舗を訪れることで、現場の空気を肌で感じ、競合の動向や消費者のニーズを直接把握することができます。
「忙しいのに店舗視察なんて意味あるの?」と思う経営者もいるかもしれません。視察のやり方次第で、
新商品開発や営業提案のヒントが得られ、会社全体の方向性を左右する重要な情報源となります。
自社商品のターゲットに合った店舗を選ぶ
まず重要なのは、視察する店舗の選定です。自社商品のターゲット層に合った店舗を選ばなければ、
いくら時間をかけても成果にはつながりません。
例えば、量販向けのスナック菓子を製造している企業が、高級スーパーの紀ノ国屋や明治屋を視察しても、
実際の売場の現実とはズレが生じます。これらの店舗は品質やこだわりを重視しており、
値引き競争や大量陳列の参考にはなりにくいのです。
一方で、百貨店ギフト用の高級菓子を扱っている企業であれば、デパ地下や高級スーパーの視察は必須です。
自社商品の購買層が実際に訪れる店舗を選ぶことで、よりリアルな競合調査が可能になります。
また、最近ではドラッグストアやコンビニの食品売場も注目すべき視察対象です。健康志向や時短ニーズが高まる中、
これらのチャネルでの売れ筋商品や陳列方法は、今後の商品企画に大きなヒントを与えてくれます。
視察の目的を明確にする
店舗視察を成功させるには、事前に目的を明確にすることが欠かせません。目的が曖昧なまま現場に行ってしまうと、
何も得られず時間だけが過ぎてしまいます。
視察の目的としては、以下のような項目が挙げられます:
- 競合商品の価格やパッケージデザイン
- セールや特売日の情報
- 棚割りや売場スペースの変化
- 来店客の年齢層や買い物カゴの中身
- 陳列方法やPOPの工夫
- 価格政策(定価・値引き・ポイント付与など)の傾向
これらをチェックリストとして事前に準備しておくことで、視察がより具体的かつ効率的になります。
特に競合調査の視点を持つことで、自社商品のポジショニングや価格戦略の見直しにもつながります。
写真とメモで情報を可視化する
視察中に得た情報は、写真とメモでしっかり記録しておくことが重要です。現場での気づきは時間が経つと忘れてしまうため、
スマートフォンで棚の写真を撮影し、店舗名と日付を記録しておきましょう。
記録すべきポイントは以下の通りです:
- 値札の写真で価格を把握
- 自社商品の陳列位置と隣接商品の比較
- 目立つPOPやキャンペーンのアップ写真
こうした情報は、社内会議や営業提案の際に視覚的な説得力を持ちます。言葉だけで説明するよりも、
写真を見せることで現場の状況が一目で伝わります。
さらに、メモには気づきや感想も残しておくことが重要です。「この棚は季節感が強い」「このPOPは視認性が高い」など、
主観的な印象も後の企画会議で役立ちます。
バイヤー提案のネタに活用する
店舗視察は、ただ見るだけではなく、次の提案につなげるための情報収集でもあります。
競合が新しい味やパッケージを展開していたら、次の季節限定商品やリニューアルのヒントになります。
例えば:
- 競合が新フレーバーを出していた → 自社も季節限定を検討
- 棚が縮小されていた → 販促強化で売場スペースを守る
- 客層が高齢化していた → 小分けや健康志向の商品を前面に出す
こうした現場での気づきは、営業戦略や商品開発に直結する貴重な情報です。特にバイヤーとの商談では、
現場の写真やデータをもとにした提案は説得力があり、売場改善や新規導入の可能性を高めることができます。
定期的な視察で売場の変化をつかむ
店舗の売場は、毎月のように変化しています。棚割り、販促内容、競合商品のラインナップなどは常に入れ替わっており、
定期的に視察することでその変化をつかむことができます。
理想的には月1回の視察、最低でも四半期ごとの巡回を行うことで、売場の傾向や競合の動きが予測できるようになります。
これにより、営業戦略や発売計画の精度が格段に向上します。
また、季節ごとの売場演出やイベント企画も見逃せません。春の新生活、夏の冷菓、秋の収穫祭、冬のギフト商戦など、
季節感を活かした商品展開は、売上アップの鍵となります。
社長が現場を見る意味
社長が自ら店舗を視察することで、社員の意識が大きく変わります。現場を見た社長の一言が、
商品改善や販促強化のきっかけとなり、スピード感のある意思決定が可能になります。
「このパッケージは目立たないから変えよう」「この棚にもっと置いてもらえるよう交渉しよう」など、
現場に根ざした判断ができるのは、社長ならではの強みです。
さらに、社長が現場を見ているという事実は、営業部門や開発部門の士気向上にもつながります。
トップが現場に関心を持っていることで、社員もより現実的な視点で業務に取り組むようになります。
まとめ:店舗視察を成果につなげる6つのポイント
- 自社商品のターゲットに合った店舗を選ぶ
- 視察の目的を明確にし、チェックリストを作成
- 写真とメモで現場情報を記録する
- 競合調査を営業提案や商品開発に活かす
- 定期的な視察で売場の変化を把握する
- 社長の視察が社内の意識とスピードを変える
店舗視察は、社長だからこそできる現場マーケティングの最前線です。移動や出張のついでに1店舗だけでも寄ってみることで、
思わぬ気づきが得られ、会社の成長につながるヒントが見つかるかもしれません。
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