食品会社の社長にとって、販路開拓は会社の未来を左右する重要な課題です。展示会や商談の場でバイヤーと向き合い、
自社の商品をどう魅力的に伝えるか。その一言一言が契約に直結します。
ところが、多くの社長が見落としている営業のコツがあります。それは「競合相手を悪く言わず、むしろほめる」という姿勢です。
意外に思うかもしれませんが、この小さな工夫が商談を成功に導き、売上アップにつながるのです。
この記事では、なぜ競合をほめることが大切なのか、食品会社の社長が実践すべき営業術について具体的に解説します。
商談で必ず出てくる「競合の話題」
バイヤーとの商談では、必ずといっていいほど競合の名前が出てきます。
- 「御社の商品と〇〇社の違いは?」
- 「あの会社についてはどう思いますか?」
- 「〇〇の製品と比べると、どちらが良いですか?」
こうした質問は、バイヤーがあなたを試している場面でもあります。単純に比較を知りたいこともあれば、
「この人は競合についてどう話すか」を通じて人柄を見極めていることもあります。
ここで競合を批判してしまうと、バイヤーは心の中でこう感じます。
- 「自分の会社の商品を売りたいだけで、冷静な比較ができないのではないか」
- 「相手を悪く言う人は、いずれ自分のことも悪く言うのではないか」
食品という信頼で成り立つ業界において、これは大きなマイナスになります。
なぜ競合をほめるべきなのか
競合をほめることには、大きく3つのメリットがあります。
1. バイヤーからの信頼を得られる
バイヤーは日々多くの出展者や営業担当と接しています。その中で「競合を悪く言わない人」は強く印象に残ります。
批判ではなく評価ができる人は「冷静で誠実な社長」として信頼されるのです。
2. 自社の強みを際立たせられる
競合をほめることで「うちの製品も負けないように工夫しています」と自然に自社の特徴を伝える流れが作れます。
批判ではなく差別化の形で説明できるため、押し売り感がなくなり、相手に好印象を与えます。
3. 長期的な取引につながる
食品の取引は一度きりではなく、長期的な関係が前提です。人柄や誠実さを重視するバイヤーにとって、
「他社を悪く言わない」社長は長く付き合いたいパートナーとして選ばれます。
競合をほめるときの具体的な言い方
では実際の商談で「競合についてどう思いますか?」と聞かれたとき、どのように答えるのがよいのでしょうか。
ケース1:味や品質を評価する
「〇〇社さんのジャムは、とても完成度が高く勉強になります。うちも負けないように素材の鮮度で差別化しています。」
ケース2:販売方法を評価する
「△△社さんは販売促進が非常にうまいですね。私どもはその点、地元の生産者と一緒に提案するのが強みです。」
ケース3:ブランド力を認める
「大手の□□社さんは、ブランド力がすごいと思います。ただ、私どものような小規模メーカーだからこそ、
柔軟な対応でお役立ちできます。」
このように「ほめたうえで自社の強みを添える」と、自然に差別化につながります。
批判は逆効果になる理由
なぜ競合を批判してはいけないのか。理由は明確です。
- バイヤーは複数のメーカーと取引しています。競合を批判すると「自分の判断を否定された」と感じることがある。
- 批判する姿勢は「余裕のなさ」を印象づける。
- その場では笑顔でも、内心で「この人とは長く付き合いたくない」と思われてしまう。
食品業界は狭い世界です。展示会や商談会で何度も顔を合わせることも多いため、ネガティブな発言は必ず自分に返ってきます。
社長が心がけるべき「営業マナー」
営業マンを抱えていない食品会社では、社長がすべてを担います。だからこそ、商談での一言一言が会社の評価に直結します。
社長が意識すべき営業マナーは以下の通りです。
- 相手の話をさえぎらない
まずは最後まで聞く姿勢を見せましょう。 - 競合の批判はしない
むしろ「勉強になる点が多い」と肯定しましょう。 - 自社の強みを短く端的に伝える
「安心・安全」「小ロット対応」「地域特産品の強み」などを具体的に。 - 次につながる提案をする
「次回サンプルをお持ちします」「御社の季節催事に合わせて企画を考えます」と、次のアクションを提示しましょう。
競合をほめる姿勢が「紹介」につながる
バイヤーは常に「安心して付き合える会社」を探しています。誠実な姿勢を示す社長は、
取引先の紹介を受けることもあります。
「この社長は信頼できるから、別の担当者にも紹介しよう」
「催事担当の部署にもつないでおこう」
こうした“つながり”が広がるのは、競合を批判しない人柄のおかげです。
競合をほめることで信頼と売上が生まれる
食品会社の社長が営業で成果を出す秘訣は、決して難しいテクニックではありません。
競合を批判せず、むしろほめること。
それだけで、バイヤーから「冷静で誠実な人」という評価を得られます。結果として信頼が積み重なり、
販路開拓やリピート注文につながります。
営業の場で社長が意識すべきは、自社の商品を売り込むこと以上に「自分の姿勢で信頼を勝ち取ること」です。
競合をほめ、自社の強みを語り、長く付き合える相手だと感じてもらう。それこそが売上アップの最短ルートです。
●顧問契約をご検討中の企業さまへ
御社の商品に合った販路開拓戦略をご提案し、首都圏を中心に
百貨店・高級スーパーなどのバイヤーへ営業活動を行います。
●セミナーを企画中の支援機関・団体さまへ
展示会営業や販路づくりをテーマに、全国各地で講演・研修実績があります。
実践的な事例を交えながらお話しいたします。
●メディア・取材ご担当者さまへ
中小食品メーカーの営業現場を、豊富な具体事例とともにご紹介できます。
専門的な解説や取材対応もお気軽にご相談ください。
▶ ご相談・お問い合わせはこちら
●社長が読むべき販路開拓PDF教材の販売
いまならオンライン無料相談30分サービス。
詳細は下記ページからご覧いただけます。
▶食品会社の販路開拓PDFシリーズはこちら
