食品会社の社長にとって、「販路を広げたい」「取引先を見つけたい」というのは永遠のテーマです。
いまは展示会だけでなく、信用金庫、自治体、商工会議所などが主催するビジネスマッチングも
販路拡大の有効な手段となっています。
このマッチングを上手に活用すれば、営業コストを抑えながら新しい取引先に出会うことができます。
今回は、食品会社がマッチングを活用する際のポイントをわかりやすく紹介します。
- マッチングを活用する3つのメリット
第一に、営業コストが下がります。
展示会や飛び込み営業のように広範囲で動く必要がなく、主催者側がマッチング相手をあらかじめ選定してくれます。
このため、効率よく「買いたい企業」と出会うことができます。
第二に、信頼度の高い相手と出会える点です。
信用金庫や自治体が主催しているマッチングの場合、参加企業は一定の審査や登録を通過しているケースが多く、
信頼性の高い企業が集まります。
新規営業でいちばん難しい「相手の信頼を得る」という壁を、最初からクリアしやすいのです。
第三に、地元から都市圏へ販路を広げる足がかりになります。
東京や大阪のバイヤーが地方企業を探すケースも増えており、マッチングに参加していたことが
新しい取引のきっかけになることがあります。
地方の食品会社にとっては、都市部との接点をつくる絶好の機会です。
- 成果を出すための3つの準備
マッチングで結果を出すためには、準備がすべてです。
一つ目は、「提案商品を一言で説明できるようにする」こと。
自社の特徴や強みを2〜3行で伝えられるかどうかが勝負です。
バイヤーは多くの企業と面談するため、短い時間で印象を残すことが必要です。
二つ目は、FCPシートを整えること。
これは、農林水産省が推奨している食品商談用のフォーマットです。
商品情報・製造背景・差別化ポイントなどを整理することで、信頼度が一気に上がります。
バイヤーはこの書類を見ただけで、「この会社は準備ができている」と感じます。
三つ目は、当日と事後のフォローを最短で行うこと。
マッチング当日は面談で終わりではなく、翌日にはお礼メールとサンプルの発送準備を進めてください。
スピード対応は「この会社は動ける」と評価され、結果的に受注につながりやすくなります。
- 実際に提案できるマッチング先
食品会社が提案できる分野は幅広くあります。
・百貨店(催事・通販)
・高級スーパー(紀ノ国屋・明治屋など)
・量販スーパー
・ご当地専門店
・全国名産通販サイト
・飲食店・ホテル・旅館
・鉄道関連(駅ナカ催事・沿線イベント)
特に百貨店の催事や駅ナカ催事は、地方の特産品を求めるバイヤーが多く、参加企業の実績が次の常設取引に
つながるケースもあります。
一度きりの商談で終わらせず、2回・3回と継続的に関係を深めていく姿勢が大切です。
- 成功する企業に共通するポイント
マッチングで成果を出している食品会社には、いくつかの共通点があります。
まず、「紹介」ではなく「再提案」を意識していること。
初回の商談で終わらせず、「季節限定商品」「新パッケージ」などを切り口に再提案を行い、関係を深めています。
次に、「地元の金融機関や商工会との連携を続けている」こと。
一度取引が成立したあとも、次の展示会やマッチング情報を紹介してもらえるよう関係を保っています。
紹介ルートが増えると、販路は自然に広がります。
最後に、「社長自身が現場を動いている」ことです。
営業担当任せにせず、トップが顔を出すことでバイヤーの信頼を得ています。
地方企業はこの“社長の顔が見える営業”こそ最大の武器です。
- 支援機関との連携で販路を広げる
マッチングを成功させる企業の多くは、支援機関との関係を長期的に築いています。
たとえば、地元の信用金庫を中心に、商工会議所や自治体の産業振興課などが主催するマッチングに継続的に参加しています。
初回で成果が出なくても、3回・4回と顔を出すうちに「この会社は継続して取り組んでいる」という印象が生まれ、
バイヤーや支援担当者の記憶に残るようになります。
実際、マッチングを通じて新しい取引先を獲得した会社の多くは、初回ではなく2回目以降の参加で結果を出しています。
また、支援機関側も「継続して頑張る企業」を応援したいと考えています。
たとえば、信用金庫ならバイヤー紹介だけでなく、販促物の改善や展示会同行をサポートしてくれる場合もあります。
商工会議所や自治体のマッチングでは、地元メディアへの露出支援や広報掲載などのチャンスもあります。
これらを活かすには、受け身ではなく「次にどんな場があるか」をこちらから聞く姿勢が大切です。
- 失敗する企業に共通する落とし穴
一方で、マッチングに参加しても成果が出ない企業にも共通点があります。
それは、「名刺交換で満足してしまう」こと。
面談を終えたら仕事が終わったと考える会社は多く、結果としてフォローが途切れ、印象が薄れてしまいます。
もう一つの失敗パターンは、「誰でも提案する」こと。
相手の業態や売場構成を考えず、同じ資料を配るだけでは響きません。
提案先を明確に絞り込み、「この商品ならこの店のこの棚に合う」という形で伝えることが重要です。
たとえ商談がその場で成立しなくても、バイヤーに「次のタイミングで提案してみよう」と思わせることができます。
- 次の行動で販路を定着させる
マッチングは一度の出会いで終わりではありません。
受注につなげるためには、
・フォローアップのスピード
・再提案のタイミング
・関係維持の工夫
この3点を継続することが大切です。
フォローは早いほど効果があります。
面談から24時間以内にお礼メールを送り、3日以内にサンプルや資料を届けると印象が残ります。
さらに1か月後に新情報や改善案を送ると、「この会社は動いている」と確実に伝わります。
地味な作業に見えますが、この積み重ねが信頼を築き、最終的には長期取引につながります。
まとめ
マッチングは、出会いの場で終わらせるか、継続提案の場に変えるかで結果が大きく変わります。
食品会社にとって、効率よく販路を広げるための有力な手段であり、準備と対応の速さが成功を分けます。
社長自身が主体となって動けば、必ず次の販路が見えてきます。
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