銀座シックスとは?
2017年4月、銀座にオープンした大型商業施設「GINZA SIX」。
国内外の高級ブランドを含む約240の店舗が集まり、日本だけでなく世界に向けて情報発信を行う拠点として誕生しました。
開店当初から注目を集め、アジアの富裕層を意識した品揃えや、洗練された空間デザインで話題になっています。
私が初めて訪れたのは、オープンから3か月後の平日。
人の入りは落ち着いていましたが、それでも館内には独特の高級感と非日常感が漂っていました。
実際に歩いてみると、買い物というより“見に来ている”お客様のほうが多い印象でした。
理由は明白。取り扱う商品の多くが高価格帯で、衝動買いではなく「吟味して買う」ものばかりだからです。
高価格帯商品が放つ「空気感」
食品会社の社長として、この空間から学べることは多いです。
銀座シックスの店舗は、単にモノを並べているのではなく、「空気」を売っています。
空気とは、ブランドが発する世界観やストーリーのこと。
これにより、高価格商品が“値段以上の価値”を感じさせるのです。
高級チョコレート店を例にとってみましょう。
同じカカオを使っていても、店舗デザインやパッケージ、販売員の接客、香りの演出まで徹底されていると、
一粒500円でも納得感が生まれます。
これは地方の食品メーカーが百貨店や高級ホテルに販路を広げるときにも必須の視点です。
視察で得られるマーケティングのヒント
銀座シックスを歩くと、いくつものマーケティング要素が散りばめられています。
食品会社の社長が視察で注目すべきは、以下のようなポイントです。
(1) 商品の見せ方
棚の高さや照明の角度、商品間の間隔まで計算されています。
特に高価格帯ほど、あえて“余白”を大きく取る傾向があります。
(2) 色と素材の使い方
ナチュラル系なら木目、ラグジュアリー系ならガラスや金属光沢など、
ターゲット層に合わせた素材選びが徹底されています。
(3) 接客の質
声のトーンや立ち位置、提案のタイミング。
商品知識だけでなく、お客様の会話を引き出す技術が見られます。
(4) ストーリーテリング
商品説明の中に「産地の物語」や「作り手の想い」が組み込まれており、
単なる商品説明を超えてブランド体験を提供しています。
食品会社が応用するには
地方発の食品ブランドでも、この考え方は十分応用可能です。
例えば、地元食材を使ったジャムを銀座シックスに置くと想定します。
その場合は、
- パッケージに“地元の風景写真”を採用
- 店頭では実物の果物や香りを演出
- 試食と同時に作り手の顔写真やコメントを見せる
これらを組み合わせることで、単なるジャムから「旅の思い出を持ち帰る商品」に変わります。
視察は「観光」ではなく「情報収集」
銀座シックスを訪れるときは、単なる観光客として歩くのではなく、
「この陳列はなぜこうなっているのか?」
「なぜこの価格設定で売れているのか?」
といった視点を持つことが大切です。
おすすめは、事前にチェックリストを作ってから訪問すること。
たとえば、
- 価格帯とターゲット層は?
- ディスプレイの特徴は?
- 接客の第一声は?
- 商品説明のキーワードは?
- 自社商品に置き換えるとしたら何を変える?
この5つをメモするだけでも、視察後の気づきが大きく変わります。
さらに、写真や短い動画を撮っておくと、後日スタッフに共有して社内で検討しやすくなります。
ただし撮影禁止エリアもあるため、ルールを守ることが大前提です。
事例:視察から生まれた新商品
ある中小食品メーカーの社長は、銀座シックスの洋菓子店視察をきっかけに、
既存のクッキーを高級路線にリニューアルしました。
ギフト向けのパッケージデザインに変え、産地説明カードを添付。
結果、デパート催事での単価が1.8倍にアップしました。
視察は単なる勉強ではなく、売上向上の実践的なヒントになるのです。
もう一つの事例では、地方の水産加工会社が館内の高級惣菜売り場を視察。
その陳列方法を自社商品の試食販売に取り入れたところ、催事1日あたりの売上が約1.5倍になりました。
ポイントは「見せ方と説明文」。小さなカードに産地地図と食べ方提案を入れたことで、購入率が大幅に上がったのです。
視察前後の準備と振り返り
効果的な視察のためには、次の流れをおすすめします。
- 訪問前:目的を決める(例:パッケージ改善のヒント探し)
- 訪問中:気づきをメモ、可能なら写真も記録
- 訪問後:スタッフと共有し、自社に取り入れるアイデアを3つ選定
こうして視察を「やって終わり」ではなく、「改善につなげる行動」に変えることが大切です。
まとめ
銀座シックスは、食品会社の社長にとって最高のマーケティング教材です。
最先端のディスプレイ、上質な接客、ブランドストーリーの作り方――。
これらを直接体感できる場はそう多くありません。
ぜひ一度足を運び、五感で感じた学びを自社の商品づくりや販売戦略に活かしてください。
その一歩が、販路拡大やブランド価値向上のきっかけになるはずです。
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