1. ご質問
「営業担当から『お客さんの要望にゼロ回答だった』と報告が続いているが、
どうすればいいか?」「ゼロ回答をなくす根本的な方法はないか?」 こうした相談を、食品会社の社長からよく受けます。
2. 「ゼロ回答」とは何か?
営業活動における「ゼロ回答」とは、お客様からの要望や提案に対し、何も進展がない、
あるいは明確な断りの返答がくることを指します。商談が次のステップに進まず、文字通り「ゼロ」で終わってしまう状態です。
社長がご認識の通り、お客様の要望に対して「できません」の一点張りで終わらせることは、信頼関係を築く上で厳禁です。
現場では「できません」と言わざるを得ない状況が多発しています。
それは、個人の能力の問題ではなく、社長が作る「仕組み」の問題である可能性が高いのです。
3. 現場の「ゼロ回答」を誘発する、食品会社の経営的問題点
現場の営業担当者が顧客に断られ続ける「ゼロ回答」は、現場の努力不足ではなく、
社長が作った「仕組み」の欠陥から生まれています。食品業界特有の、以下の経営課題を放置していませんか?
- 問題点1:商品ありきで戦略なし:まずは商品開発があり、その後に「誰に売るか」を考える順番になっていないか。
ターゲットバイヤーや販路の選定が曖昧だと、提案は必ずゼロ回答で終わります。
お客様の真のニーズを把握しないまま「良い商品だから」という理由だけで提案しても、バイヤーは動きません。 - 問題点2:データに基づかない営業:POSデータや競合分析といった客観的なデータを現場に提供せず、
「熱意と根性」だけで訪問させていないか。バイヤーは「売れる根拠」を裏付ける数字を求めています。
データなしの提案は、バイヤーにとってリスク以外の何物でもなく、即座にゼロ回答になります。
社長は、データ分析を仕組み化し、現場の「足」ではなく「頭」を使わせる必要があります。 - 問題点3:社長と現場の意識のズレ:「お客様の要望にゼロ回答は厳禁」という精神論は重要です。
社長の理想論と、現場で直面する厳しい現実(価格、納品ロット、品質管理など)とのギャップが、担当者を疲弊させています。
このギャップこそが、かえって非効率な行動や、思考停止状態でのゼロ回答を誘発しています。
社長は精神論ではなく仕組みで現場をサポートする責任があります。
4. ゼロ回答から脱却するための「営業の仕組み化」戦略
ゼロ回答を減らすためには、営業のプロセスを「仕組み」として再構築し、社長の指揮下でPDCAを回すことが不可欠です。
- ターゲットの明確化と絞り込み:自社商品が最も必要とされる販路とバイヤーを特定します。
「どこでもいい」という姿勢を捨て、最適な販路だけに注力することで、提案の確度が高まり、ゼロ回答を大幅に減らします。
具体的には、自社の商品力と規模に合った「理想の顧客像(ペルソナ)」を設定し、
それに合致しない商談は潔く見送る勇気が必要です。 - 提案資料の「顧客視点」化:自社商品の強みではなく、「この商品を導入することで、
バイヤーの売場にどのようなメリットがあるか」を数字で示します。提案資料を全て統一し、
誰が提案しても一定の品質を保てる仕組みを作ります。提案資料には、「導入後の売上予測」「競合との差別化ポイント」を
必ず盛り込み、バイヤーが社内で稟議を通しやすい材料を提供します。 - 提案後の「検証と修正」の仕組み:提案後のフィードバック(たとえ断られても)を必ず記録し、
なぜゼロ回答になったのかを徹底的に分析します。この検証結果を次回の提案に活かすことで、
ゼロ回答の確率を段階的に下げていきます。この仕組みがなければ、営業担当者は同じ失敗を繰り返すことになります。
5. 仕組み化を加速させる「営業代行」の戦略的活用法
限られた人員とリソースの中で、上記の仕組みを構築し、実行するのは容易ではありません。
そこで、営業代行を「仕組みの一部」として戦略的に活用します。
- 役割の明確化:営業代行には、「新規アポイントの獲得」「初期の資料送付」「競合の売場調査」といった、
時間のかかる定型的な作業を仕組みとして実行してもらいます。これにより、御社の社員はより高度な提案準備や顧客との
関係構築に集中できます。 - 社長の役割への集中:社長は、最終的な経営判断や、重要な契約の締結といった、「社長にしかできない仕事」に集中できます。
ムダな訪問や資料作りに時間を奪われることなく、仕組みの構築と検証にリソースを集中させることが、
売上倍増への最短ルートです。代行会社を「社長の分身」として動かし、効率的に販路を広げてください。
6. 中村天風・松下幸之助の教えから学ぶ「ゼロ回答への心構え」
「ゼロ回答」を単なる失敗と捉えてはいけません。
- 中村天風の教え「積極的な心の力」:断られたときこそ、「ここからが始まりだ」と積極的な態度で臨む心が重要です。
その積極性を「なぜ断られたか」の冷静な分析と「仕組みの修正」という行動に活かさなければ、
単なる根性論で終わってしまいます。 - 松下幸之助の教え「水道哲学」:良い商品は、誰もが利用できるように仕組みで届けるべきです。
ゼロ回答が続くのは、商品が「水道」のように、必要な人に必要な形で届く仕組みになっていないからです。
仕組み化こそが、お客様の要望にゼロ回答を出さないという哲学の実践に繋がるのです。哲学と仕組みの両輪が揃ってこそ、
営業は機能するのです。
7. 売上アップに直結する実践例
- 事例1:地方メーカーの脱却 地方の小規模メーカーが、自力での訪問営業を止め、
営業代行にターゲットを絞ったアポ取りを依頼。社長は提案資料のブラッシュアップに集中し、提案回数は減ったものの、
契約率は3倍に向上し、ゼロ回答が激減しました。 - 事例2:冷凍食品会社の戦略転換 業務用冷凍食品会社が、既存顧客の要望に「ロットが多すぎる」とゼロ回答していた問題を、
「小ロット専門の新しい販路」を設けるという経営判断で解決。営業代行を活用して新規販路を開拓し、
結果的にトータルの売上が伸長しました。
8. 社長へのメッセージ
食品会社の社長にとって、「ゼロ回答」は現場の頑張りを評価する材料ではなく、
「戦略のどこかに穴がある」という重要な警告サインです。
営業の「魂(心構え)」を大切にしつつ、「仕組み(戦略)」でゼロ回答を減らすことが、持続的な販路開拓の鍵です。
まとめ
お客様の要望にゼロ回答を出さないためにも、社長の覚悟と仕組み作りが不可欠です。
「ゼロ回答」は社長の戦略の欠陥を示すサイン。
仕組み化こそが、ゼロ回答から脱却し、売上を伸ばす最短ルート。
営業代行は仕組みの一部として、社長の戦略実行を加速させます。
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