食品の販路開拓専門家 伊藤晴敏です。
今日は、多くの食品メーカーの社長が直面しているテーマを取り上げます。
原価高騰です。原料、資材、輸送費、人件費まであらゆる費用が上昇し、中小の食品会社ほど影響が大きくなっています。
売上は横ばいでも利益がどんどん削られていく。気づいたときには体力が落ち、攻めの一手が打てなくなる。
全国を回る中で、こうした声を数えきれないほど聞いてきました。
値上げをしたい気持ちはあっても、取引先にどう伝えるかが悩ましいところです。関係がぎくしゃくするのが怖い。
長年の取引があると、強く言えない気持ちもわかります。展示会や新規の商談にも影響が出やすく、
営業の動きにもブレーキがかかる。原価高騰は一つの問題に見えて、実は会社のあらゆる判断に影響していきます。
今日は、食品メーカーの社長が今日から取り組める現実的な対策だけをまとめました。難しい分析は不要です。
外注や専門部署がなくてもできる内容だけに絞ってあります。読みながら一つだけ行動してみてください。
必ず会社の体力が戻ります。
最初にやるべきことは、商品ごとの利益の棚卸しです。細かい数字は不要です。
よく売れている三つの商品を選び、材料費、資材費、製造コスト、販売単価の四つだけを書き出す。
この作業をやるだけで、どの商品が本当に利益を生んでいるかが見えてきます。
経験上、看板商品ほど原価上昇の影響が大きいケースが多いです。
売れ筋だからこそ、少しの原価上昇が積み重なりやすいからです。
利益の棚卸しができたら、次は値上げすべき商品を明確にします。全部を一律に上げると取引先の反発が出やすいです。
厳しい商品だけをピンポイントで整理するほうが、担当者も理由を理解しやすいです。
値上げの幅は必要最低限で構いません。数パーセントだけでも年間の利益が変わります。
食品メーカーは薄利で積み重ねる商売なので、小さな修正を丁寧に積んでいく姿勢がとても大切です。
次に取り組みたいのは、取引先への伝え方です。値上げの相談はタイミングがすべてです。
忙しい時期や繁忙期にぶつけると受け入れられにくいです。社長が直接話したほうが伝わります。
大切なのは、値上げの理由を原価の数字だけで説明しないことです。
数字は大切ですが、担当者が上司に説明するときに必要なのは数字だけではありません。
例えば、材料費が何パーセント上がったかよりも、現場の負担がどれだけ増えているかを伝えるほうが理解されやすいです。
届け出や表示の変更、仕入れ管理の手間、新しい製造工程が必要になるなど、現場の話は説得力があります。
担当者は社内で承認を通す役割を持っています。現場の声があると上申しやすいのです。
値上げ以外の対策も多くあります。原価高騰は値上げだけで解決できません。利益を守るためにやるべきことは多数あります。
たとえば仕入れ条件の見直しです。同じ原料でも業者によって価格帯が大きく変わることがあります。
数量が少なくても、まとめ買いの相談や長期契約を提案すると改善する場合があります。
値引き交渉が苦手なら、見積もりを二社揃えるだけで会話が変わります。
歩留まりも見直したいポイントです。食品製造では小さな歩留まり差が利益に直結します。
製造スタッフから聞き取りをして、無駄が出やすい工程がないか確認するだけでも効果があります。
新しい機械を導入するのではなく、工程の順番や手順を少し変えるだけで歩留まりが改善する事例も多いです。
全国の企業で、こうした地味な改善で利益が戻った事例を数多く見てきました。
資材の見直しも重要です。段ボール、ラベル、台紙、トレイ、乾燥剤など、一つひとつを見直すだけで年間のコストが変わります。
資材は価格改定が頻繁な分野です。知らないうちに上がっていることがあるので、
半年に一度は見積もりの取り直しをおすすめします。資材会社も競争が激しいので、
新しい会社を探すと意外に条件が良い案件も出てきます。
製造工程の時間もコストです。中小の食品メーカーでは、製造ラインを細かく計測している会社は少ないです。
けれども、時間を短縮できれば人件費が下がり、生産性が上がります。特別な分析は不要です。
現場スタッフに十人分の意見を聞くだけで改善点が見えます。現場は日々の作業の中で無駄をよく知っています。
ここまでの対策を整理すると、社長がやるべき優先順位は三つに絞られます。
一つ目は、利益の棚卸し。
二つ目は、値上げの判断と取引先への伝え方。
三つ目は、現場の無駄の見直し。
この三つさえしっかりやれば、原価高騰の圧力はかなり和らぎます。どれも社長が今日から着手できる内容です。
原価高騰はいずれ落ち着く流れだと言われています。けれども、その時期を待っているだけでは会社の体力が減ります。
社長が一つ一つ丁寧に判断し、動いていけば利益は戻ります。食品メーカーは積み上げの商売です。
派手な施策は要りません。現場を理解し、数字を整理し、取引先と正面から向き合う会社が強くなります。
最後に、社長へ伝えたいことがあります。原価高騰の局面は、会社の本当の力が問われる時期です。
丁寧に向き合える社長は強いです。今日から何か一つ、すぐに動いてください。必ず成果が出ます。
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