販路開拓専門家の伊藤です。
ゴールデンウィークや年末年始。
多くの人にとっては「ゆっくりできる時期」かもしれません。
ですが、食品メーカーの社長にとっては、むしろ“戦場”のような時期です。
「連休中だから落ち着いてるでしょ?」と言われるたびに、
「いや、ウチはむしろここからが本番だよ」と思ったことが多いのではないでしょうか。
■ 食品メーカーにとって“連休=繁忙期”である理由
この時期、小売・量販店は一気に商品を発注してきます。
しかも、通常より前倒し。連休中に商品が切れないように、
数日分をまとめて出荷するため、物流のピークが一気にやってくるのです。
たとえば冷凍食品を扱っている会社であれば、
工場の冷凍庫はすぐに限界になります。
配送手配も、通常より早めに押さえないとトラックが取れない。
どこも同じ時期に混み合うため、少しでもズレると納品遅延=信用損失につながる。
そして、連休明けの分まで作り置き・在庫確保も求められます。
つまり、連休前後に生産・出荷・在庫対応が重なり、現場は常にギリギリ。
この時期は、ちょっとした判断ミスがクレームやロスにつながるため、
ピリピリした空気が工場にも事務所にも広がります。
■ 中小企業の社長が感じている“現場の現実”
現場の社員やパートだけでなく、社長自身もトラックの荷積みに駆り出される。
出荷伝票をチェックしながら、配送業者とスケジュールをにらめっこ。
「営業」として得意先を回るより、「指揮官として現場にいる時間」の方が長いという方も多いはずです。
しかも、年々短納期や細かい納品希望が増えており、
「こんな日付で言われても対応できないよ…」という現場の悲鳴が飛び交う。
それでも、対応せざるを得ないのが中小企業の現実。
ある社長は「3日連続で深夜2時に工場を出た」と話していました。
それでも遅れたら終わり。「やるしかない」と。
■ 外からは見えない“ズレたアプローチ”にモヤモヤすることも
そんな中、「この連休、少し落ち着かれましたか?ご提案したい企画がありまして…」
――まったく空気を読まない営業マンからの連絡。
それが食品工場を知り尽くした食品加工機械メーカーとは。
心の中で「今それかよ」とつぶやいたこと、ありませんか?
連休=休みだろう、という発想は、現場を知らない人間の典型パターン。
食品メーカーの実情を理解せず、提案タイミングを間違える人は、どれだけ内容が良くても敬遠されがちです。
支援する側の人間としては、“何を言うか”より“いつ言うか”のほうが重要。
信頼される相手は、ここを外しません。
■ 本当に動くべきタイミングはどこか?
連休中に食品メーカーの社長がやるべきことは、外部の情報に振り回されることではありません。
むしろ、「次に仕掛ける準備」をじっくり整えること。
・次の商品ラインの提案資料を練る
・得意先との関係整理、優先順位の見直し
・次の展示会やキャンペーンへの仕込み
外が動かない時こそ、社長が静かに動けるタイミングです。
そして、仕掛けのタイミングは「連休明け2~3日後」。
初日は得意先も現場対応でパニックですから、ちょっと落ち着いたころがベストです。
■ 食品業界のカレンダーは、世間とは違う
食品メーカーにとって、カレンダーは“世間の都合”ではありません。
現場の都合、得意先の都合、流通の都合――
それらが複雑に絡み合って、自分たちのスケジュールは決まっていく。
だからこそ、「今このタイミングでしかできない動き」がある。
連休中に社長が休めないのは、“未来の仕込み”をしているからです。
「休みだからこそ動かない」のではない。
「休みだからこそ、備える。」
それが、現場を知る社長の、静かな戦い方です。
派手な営業ではなく、地に足のついた準備が、次の成果につながっていく。
誰にも見られていなくても、黙って仕込む社長の背中を、私は信じています。
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