「マーケティング」と聞くと、なんとなく大企業が専門部署を持って取り組むものだと感じる方も多いかもしれません。
中小規模の食品会社でもマーケティングの基本を押さえるだけで、売上を大きく伸ばすことができます。複雑な理論や最新のデジタル施策や横文字を考える必要はありません。
この記事では、食品会社の社長が実践すべき「シンプルだけれど売上に直結する3つのマーケティングの基本」を解説します。ターゲットの設定、商品の強み(差別化)、販路戦略。この3つを体系的に押さえれば、御社の商品がより多くの消費者の手に届くようになります。
①ターゲット設定|「誰に売るか」を明確にする
最初に考えるべきは「誰に売るか」です。食品会社に限らず、マーケティングの出発点は常にターゲット設定から始まります。
ペルソナを具体化する
例えば「健康志向の30代女性」「共働きで忙しい子育て世代」「地元の特産品に価値を感じる50代男性」など、具体的な人物像を想像してください。
- 年齢や性別
- 職業や年収
- 家族構成
- 平日の過ごし方や休日の趣味
- よく利用するSNSやメディア
これらを明確にすることで、広告の文言やパッケージデザイン、販売チャネルまで自然と方向性が決まります。
例えば「仕事や育児で忙しい30代女性」をターゲットにするなら、調理時間の短縮や健康を意識したキャッチコピーが響きます。一方、「贈答需要がある50代男性」であれば、高級感のあるデザインや地域性を打ち出した商品説明が効果的です。
「誰にでも売れる」は危険
「幅広い層に届けたい」という考えは一見良さそうですが、結果的に「誰の心にも刺さらない」商品になる危険性があります。
むしろ、ターゲットを狭めることで商品価値は高まり、ニッチ市場での強みが生まれます。
例
- アレルギー対応お菓子 → 小さな子どもを持つ家庭に特化
- 高級オリーブオイル → 本物志向の富裕層やギフト需要
- 無添加総菜 → 健康意識の高い働く母親層
このように、顧客像を具体化することで、訴求力のあるメッセージが生まれます。
②強みと差別化|「何を売るか」を明確にする
次に考えるのは「御社の商品が持つ他にはない強み」です。
競合商品が数多く並ぶ中で、自社の商品を選んでもらう理由を明確にすることが必要です。
商品背景から強みを見つける
強みは商品の裏側に隠れています。
- 製法:昔ながらの手作り、職人の技術、独自の製造工程
- 原材料:地元農家と提携した新鮮食材、無添加、安全志向
- 物語:創業者の理念、地域貢献、家族経営の温かみ
例えば「無添加で安心・安全」という特徴は、子育て世代にとって大きな価値です。「地元農家の野菜を使用している」なら地域密着型の販路に強く響きます。「創業100年の伝統製法」なら、百貨店や贈答市場で信頼を得やすくなります。
ブランドストーリーでファンを作る
消費者は「物語」に共感します。単なる商品の説明だけでなく、背景にある思いや地域性、作り手の人柄を発信することで、リピーターが増えます。
たとえば、公式サイトやSNSで製造現場の写真を見せたり、職人や社員のコメントを載せると「顔が見える商品」として信頼感が増します。
③販路戦略|「どうやって売るか」で広げる
良い商品でも、消費者に届かなければ意味がありません。ターゲットや商品の特性に応じて販路を設計することが、売上拡大の決め手です。
SNSやECを活用した販路拡大
若い世代にはInstagramやTikTokなどのSNS発信が有効です。
- Instagram:商品の写真映えを重視し、レシピや使用例を投稿
- TikTok:製造工程の動画や食べ方提案で臨場感を演出
また、共働き家庭や子育て世代に向けては、ECサイトや宅配サービスが便利です。「自宅に届く」「手軽に買える」という利便性は強い武器になります。
催事・百貨店・クラウドファンディング
リアル店舗での露出も依然として有効です。
- 百貨店催事:高価格帯商品やギフト向けに効果的
- 地域物産展:観光客や地元ファンにアプローチ
- クラウドファンディング:新商品開発と同時にPR・資金調達が可能
オンラインとオフラインを組み合わせることで、販路はさらに広がります。
コトラーが提唱する「誰に」「何を」「どうやって」
この考え方は、マーケティングの第一人者フィリップ・コトラーが提唱する基本フレームワークでもあります。
要するに次の3点だけを意識すればよいのです。
- 誰に売るか(ターゲット)
- 何を売るか(強み・差別化)
- どうやって売るか(販路・販売方法)
シンプルですが、これらを徹底することで中小食品会社でも実践的なマーケティング戦略が組み立てられます。
今日からできる実践ワーク
- 自社商品(他社商品でも)の中から1つ選ぶ
- その商品について、誰に・何を・どうやって売るかを紙に書き出す
- ペルソナの具体化、商品の強みの言語化、最適な販路の検討を行う
この簡単な作業を繰り返すことで、御社のマーケティング精度は確実に高まります。
まとめ
マーケティングは決して難しいものではありません。食品会社の社長が意識すべきは、ターゲット設定、強みの差別化、販路戦略という基本だけです。
この3つを明確にすることで、御社の商品は確実に売れやすくなり、結果として売上アップと販路拡大につながります。
販路開拓や商品PRでお困りの際は、専門家に相談しながら進めるのが有効です。御社の商品がより多くの消費者に届き、地域や市場で愛される存在になることを願っています。
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