食品業界では、多くの小さい会社が営業の人手不足に悩んでいます。厳しい市場の中で、優秀な営業をどうやって見つけ、
育てていくか。これは、会社を成長させるうえでとても大切なことですよね。でも、「求人を出しても人が集まらない」
「せっかく入ってくれても、すぐに辞めてしまう」「人を雇うと固定費が増える」といった声もよく聞きます。
今回は、この営業の人手不足をどう解決したら良いか、わかりやすくお話しします。
中小企業では難しいと思われがちな部分も、工夫次第で解決できる方法まで、いろんな角度から見ていきましょう。
どうして営業の人手不足が起きるの?
人手不足を解決するには、まず「なぜ人が足りないのか」を知ることが大切です。食品会社の営業には、
少し特別な事情があります。
原因1:仕事の負担が大きい
食品会社の営業は、スーパーやレストランなど、たくさんのお客さんと向き合います。商品を提案するだけでなく、
お店での陳列方法を考えたり、キャンペーンの企画を立てたり、仕事の範囲が広いのが特徴です。
新商品の試食会や展示会に出ることも多く、どうしても仕事時間が長くなりがちです。
また、値段の交渉やクレーム対応など、精神的に大変な場面も少なくありません。
原因2:専門的な知識が必要
食品の営業には、商品を売る力だけでなく、食品衛生法や法律のこと、栄養の知識、流通の仕組みなど、
色々な知識が求められます。新しく入った人がこれらをすぐに覚えるのは難しく、一人前になるまでに時間がかかります。
そのため、「すぐに活躍できる人」を見つけるのが難しいのです。
原因3:待遇の課題
大企業と比べて、給与や昇進のスピードが物足りないと感じられることもあります。特に若い世代は、
将来のキャリアや待遇を重視する傾向が強く、中小企業では大手と同じような待遇を提示するのは難しいのが現状です。
そのため、優秀な人が大企業へ行ってしまうという課題があります。
営業の人手不足を解決する3つの方法
人手不足は、単に人をたくさん雇えば良いという問題ではありません。会社全体で工夫することが大切です。
これからお伝えする3つの方法を試して、長く続く強い営業チームをつくっていきましょう。
方法1:今いる社員の力を伸ばす(一番重要)
新しい人を雇うのが難しい今だからこそ、今いる社員の力を最大限に引き出すことが一番の近道です。
仕事の進め方を見直す 毎日の仕事の中で、無駄な作業や、二度手間になっていることはないでしょうか。
たとえば、日報を書くことや、必要な資料を探すのに時間がかかっているなら、そのやり方自体を見直してみましょう。
報告を簡潔にしたり、よく使う資料を共有フォルダにまとめたりするだけでも、仕事がスムーズに進むことがあります。
情報共有のやり方を変える 営業の持つ情報を会社全体で共有する仕組みを作りましょう。
個人の経験や知識をチームで共有できれば、新人でも早く成長できますし、ベテランの経験が会社の財産になります。
朝礼やミーティングで成功事例を共有したり、週に一度の情報交換会を開いたりするのも良い方法です。
頑張りをしっかり評価する 中小企業では給与面での大幅なアップは難しくても、頑張りが正しく評価される仕組みは
作れます。売上の目標達成だけでなく、新しいお客さんをどれだけ見つけたか、お客さんの満足度はどうか、
チームにどんな貢献をしたかなど、いろんな視点から評価する制度を取り入れましょう。ボーナスや特別手当などで、
頑張りを形にすることも大切です。売上ノルマだけを評価するのはやめましょう。
方法2:採用のやり方を見直す
人がなかなか集まらない時代だからこそ、これまでの採用方法を改めて見直しましょう。
採用したい人の幅を広げる 経験者だけを求めるのではなく、やる気のある未経験者や、違う業界から来た人にも
目を向けてみませんか。食品の知識はなくても、コミュニケーション能力や問題解決能力に長けた人はたくさんいます。
そうした人たちのスキルを活かせるよう、丁寧に教える体制を整えましょう。
会社の良いところを伝える 求人情報に書かれていることだけでは、会社の魅力はなかなか伝わりません。
会社のブログやSNSで社員がどんな風に働いているかを紹介したり、採用サイトで社長や先輩社員のインタビューを
のせたりして、会社の雰囲気をありのままに伝えていきましょう。社長が先頭にたち会社説明をすることが効果的です。
働きやすい環境を作る 中小企業でも取り入れられる働き方として、フレックスタイム制やリモートワーク制度の一部導入、
子育てや介護をサポートする制度などがあります。こうした環境を整えることも、良い人材を呼び込むうえでとても
重要です。
方法3:営業の新しいやり方を導入する
これまでの訪問営業に加えて、新しいやり方を取り入れることで、少ない人数でも効率良く成果を上げることができます。
電話やメールを上手に活用する 「インサイドセールス」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、
電話やメール、ウェブ会議を上手に使って、オフィスにいながら営業活動を行うことです。移動時間や費用を
抑えられるので、効率的に仕事が進みます。特に、最初のアポイントメントを取ったり、既存のお客さんを
フォローしたりするのに効果的です。
見込み客を育てる仕組みを作る これも難しく聞こえるかもしれませんが、シンプルに「お客さんになりそうな人に、
役立つ情報を伝える仕組み」を作ることです。会社のウェブサイトやSNSでレシピを紹介したり、
商品のこだわりを伝えたり、メールマガジンでキャンペーン情報やイベント案内を送ったり。そうすることで、
営業が実際に会う前から、お客さんの興味を引きつけておくことができます。
販売の窓口を増やす ECサイトを作ったり、オンラインでの展示会に出展したりして、商品を売る場所を増やしましょう。
そうすることで、営業の負担を減らしつつ、売上を伸ばすことができます。
まとめ
食品会社の営業における人手不足は、すぐに解決できる問題ではありません。給与や待遇面で大企業と肩を並べるのは
難しい中小企業だからこそ、今いる社員の力を引き出す工夫や、採用のやり方を見直すこと、
新しい営業方法を取り入れることなど、いろんな方法を組み合わせることで、きっと解決の糸口が見つかります。
まずは、小さなことから始めてみませんか。日々の仕事を見直すことから、大きな変化が生まれるかもしれません。
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