食品会社の社長へ 売り込まないマーケティングの本当の意味


売上を伸ばしたい。
取引先を増やしたい。
その思いで、営業先に何度も電話をかけたり、展示会でパンフレットを配りまくったり、
試食販売を繰り返したりしてきた食品会社の社長も多いと思います。

それでも成果が出ないとしたら、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。
いま行っているその活動は、本当に「マーケティング」になっているでしょうか?

今回は、「売り込まないマーケティング」の意味と、食品業界におけるその実践方法をお伝えします。

「マーケティング=売り込み」ではない
まず最初に、マーケティングとは何かを確認しておきましょう。
日本では「営業」と「マーケティング」がごちゃまぜにされがちです。

たとえば、新商品のチラシを配る、商談先に試食品を送る、展示会で声を張り上げて来場者に呼びかける
これらは「営業活動」です。間違いではありません。ですが、「マーケティング」とは少し違います。

マーケティングとは、「売れる仕組みをつくること」。
その仕組みがあるからこそ、営業は楽になるし、売り込みをしなくてもお客さまのほうから来てくれるようになるのです。

「売り込まない」ことが信頼につながる時代
今の時代、売り込みは嫌われます。
それはBtoCでもBtoBでも変わりません。

ある地方の総菜会社の社長は、営業先に「ぜひ一度食べてください!」と熱心に電話をかけていました。
相手の反応はいまいち。逆に、ホームページをしっかり整えて、ブログで現場の想いを発信するようになってから、
「ぜひ一度話を聞かせてください」とバイヤーから連絡が入るようになりました。

売り込むことをやめた途端、信頼が生まれたのです。
売り込むほど相手は離れていきます。
これは偶然ではありません。いまは「情報を受け取る側が主体」の時代です。

では、何をすればいいのか?
「売り込まないなら、何をすればいいのか?」
そう思った社長も多いでしょう。答えはシンプルです。

自社の魅力を、わかりやすく、伝わりやすく整えること
相手にとって「役に立つ情報」を発信すること

それが、現代のマーケティングの基本です。
たとえば、以下のような取り組みがそれにあたります。

・商品が生まれた背景やこだわりを、写真と一緒に伝えるブログを書く
・加工現場の衛生管理の様子を動画で紹介する
・ホームページに導入実績や取扱店舗を明記する

こうした情報は、バイヤーが「この会社はちゃんとしていそうだな」と思えるきっかけになります。
「信頼」が生まれるからこそ、問い合わせにつながります。

SNSよりまず「ホームページ」と「ブログ」
「じゃあ、うちもInstagramを始めようかな」という声も聞こえてきそうですが、ちょっと待ってください。
SNSはあくまで入り口です。食品業界のBtoBでは、最終的に見られるのはホームページです。

特に商談を検討するバイヤーは、公式サイトで以下のような点をチェックしています。

商品一覧と価格帯はわかるか?
会社の所在地や代表者が明記されているか?
取引先はある程度あるか?(安心材料)
信頼できそうな製造体制か?

そしてそのうえで、ブログがしっかり書かれている会社は評価が高くなります。
なぜなら「考え方」が伝わるから。単なる商品カタログではなく、「人となり」が見えるからです。

食品会社こそ、物語を伝える力が必要
食品というのは、商品の差別化が難しい業界です。
どんなに味に自信があっても、見た目だけでは違いが伝わりません。

だからこそ、「物語=ストーリー」が必要です。
どんなきっかけでその商品をつくったのか、どんな想いがあるのか。
誰のために届けたいのか。どんな苦労をして、どんな工夫を重ねてきたのか。

この「物語」があれば、価格で比較されにくくなります。
逆に、商品写真とスペックだけでは、他社との違いがまったく伝わりません。

事例:あるお漬物メーカーの変化
ある地方の漬物メーカーは、長らく地元スーパーの卸先しかありませんでした。
展示会に出ても反応が悪く、営業に行ってもバイヤーから「もう間に合ってます」と断られてばかり。

そこで社長は、ブログを中心に「職人の想い」「素材へのこだわり」「昔ながらの製法」を毎月発信するようにしました。

数カ月後、百貨店のバイヤーから問い合わせが入り、「一度見に行っていいですか?」と見学依頼が来たのです。
何が変わったか?営業方法ではなく、「情報の出し方」を変えただけです。
まさに「売り込まないマーケティング」の成果でした。

マーケティングを広告代理店に任せきりにした結果、よくある表現ばかりで、どこかで見たようなホームページになっていませんか?
ホームページの原稿は社長が必ず書いてください。

本当のマーケティングは、社長自身の言葉、想い、背景から始まります。
現場で語ってきたエピソードを文章に起こすだけで、強力な発信になります。

いまの時代、売り込まないからこそ、売れる。
食品会社の社長こそ、「伝える力」を味方につけてください。

まとめ
マーケティング=売り込みではない
現代は「売り込まない」方が信頼を得られる
SNSよりもまず、ホームページとブログを整える
商品より「想い」や「物語」を発信する

社長自身の言葉が、最大のマーケティング資産になる

この記事が、あなたの販路開拓のヒントになれば幸いです。
売らずに売る。それが、次の時代の食品マーケティングです。


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