地方の食品会社で新商品を開発するとき、「誰にも話さないでおこう」と考える社長が多いです。
理由は、「アイデアを盗まれるかもしれない」「他社に先を越されるのでは」という不安。
けれども実際には、その考えこそが“売れない理由”になっていることが少なくありません。
今日は、「相談したほうが早く売れる」新商品づくりの考え方をお話しします。
新しいアイデアほど、相談を恐れる社長が多い
新商品づくりは、社長の想いがこもる大切な仕事です。
だからこそ慎重になるのも当然です。
ただ、実際の現場ではこうしたケースがよく見られます。
・試作品が完成しても、誰にも見せず時間だけが過ぎる
・展示会に出る前に、バイヤーや支援機関の意見を聞かない
・社内だけで「これでいける」と決めてしまう
このような状況では、どんなに良い商品でも市場とのズレが生まれます。
社内で高評価でも、実際の売場では動かない。
そうした商品が毎年のように生まれては消えているのです。
アイデアは“盗まれる”よりも“埋もれる”ほうが怖い
「相談すると真似される」という心配を口にする社長がいます。
ですが、食品業界でそんなケースはほとんどありません。
どんなジャンルの商品にも類似はあります。
勝負を分けるのは、アイデアそのものではなく「どこで」「どう売るか」です。
つまり、真似ではなく“動き方”が価値を生む。
怖いのは、誰にも知られずに終わること。
せっかくのアイデアも、情報を出さなければ市場に届きません。
相談を避けた結果、せっかくの新商品が“存在しないもの”になるのです。
相談することで、バイヤーの“現場目線”が入る
私が全国の商談会や百貨店バイヤーと関わって感じるのは、
「相談してくるメーカーほど売れるようになる」という事実です。
バイヤーは日々、数百の食品を見ています。
「お客様が求めている味」「価格のライン」「パッケージの印象」など、
現場の生の情報を持っている。
この意見を開発段階で取り入れると、商品の精度が一気に高まります。
「この味なら東京より九州のスーパーが合う」
「この価格帯ならギフトより惣菜コーナー向け」
そんな現実的な方向修正ができる。
自社だけでは見えない“売れる温度感”を知ることができるのが、相談の大きな価値です。
相談する相手を間違えなければ、リスクはゼロ
もちろん、誰にでも相談すればいいわけではありません。
相手の選び方が大切です。
・信頼のあるバイヤーや既存取引先
・地域の支援機関(商工会・信用金庫など)
・食品販路開拓の専門家
この3つに限定すれば、情報漏えいのリスクはほぼゼロ。
逆に、販売を知らない人に相談しても意味がありません。
現場を知る人の意見こそ、修正や方向づけのヒントになります。
スピードが最大の防御
商品開発では「先に出した者勝ち」が原則。
相談している間に真似されるより、動かない間にチャンスが消えるほうが圧倒的にリスクです。
仮に似た商品が出ても、売り方とタイミングで結果は変わります。
最初に市場へ出した人だけが、最初の信用を取れる。
スピードは最大の防御であり、最強の営業力です。
試作品を“見せる勇気”が、販路を開く
ある地方の味噌メーカーでは、展示会前に試作品を持ってバイヤーに意見を求めました。
「もう少し塩味を抑えた方が都市圏で動く」との指摘を受け、すぐに改良。
結果、展示会初日で百貨店バイヤーから取引オファーが入りました。
別の例では、冷凍スイーツメーカーが信用金庫経由で商談機会を得た際、
「包装を透明に変えた方がSNS映えする」というアドバイスを採用。
それがヒットの決め手となり、今では全国10店舗の量販店に並んでいます。
相談とは、修正の機会であり、売れる方向へ“舵を切る場”なのです。
メディアや支援機関は、動く会社を探している
新聞・テレビ・行政・金融機関、どれも「動いている企業」に注目しています。
相談し、実践している会社は話題が生まれやすく、取材や連携につながります。
黙っている会社より、外へ発信する会社のほうが自然にチャンスを呼び込む。
これは販路開拓だけでなく、広報・採用・地域連携にも効果があります。
まとめ:アイデアは出すほど強くなる
食品会社の新商品アイデアは、出すほど強くなる。
相談すれば、意見が入り、磨かれ、売れる形に変わる。
守るより動く。
黙るより話す。
相談した社長のほうが早く成果をつかむ。
「見せる勇気」がある社長が、これからの時代に勝ち残ります。
新商品づくりや販路の方向に悩んでいる社長、
一度、話してみてください。
動けば道が開けます。
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