食品の取引先が増えない理由は単価にある 安い仕事を続ける会社が消耗する構造


売上を増やしていくためには、新しい取引先との商談を成功させることが大切ですよね。
そのすべてが実を結ぶわけではありません。時には、期待外れの商談に時間や労力を費やしてしまうこともあります。

私はこれまで、多くの食品会社の販路開拓を支援してきましたが、その中で「絶対に手を出してはいけない仕事」があると
確信しています。それは、「安い仕事」です。

目先の売上に飛びついて安い仕事を引き受けてしまい、結果的に会社を疲弊させてしまうケースを数多く見てきました。

この記事では、なぜ安い仕事が危険なのか、そしてどうすれば高単価の仕事を選べるようになるのかについて、
経験をもとにやさしく、そして具体的に解説します。この記事を読んで、会社の価値を高め、
本当に大切にすべき顧客との関係を築くためのヒントを見つけていただけたらうれしいです。

安い仕事が会社を蝕む3つの理由

「仕事があるだけありがたい」という考えから、単価の安い仕事でも引き受けてしまう気持ちはよくわかります。
その行為が会社の未来を危うくする可能性があるのです。

1. マナーの悪い顧客との関係が続く

安い仕事を発注する顧客は、往々にして「安いレベル」で物事を考えがちです。具体的には、無理な納期を要求したり、
細かな仕様変更を頻繁に依頼したり、クレームが多くなったりと、マナーの悪い顧客が少なくありません。

彼らは、適正な対価を支払うという意識が低いため、サービスや製品に対して過度な要求をしてくる傾向があります。
その結果、対応に追われ、本来もっと大切な仕事に使うべき時間と労力が奪われてしまいます。

2. 貴重なリソースが無駄になる

社長ご自身や、貴重な社員の皆さんが、単価の低い仕事に時間を費やすことは、会社にとって大きな損失です。

たとえば、100万円の売上を達成するために、単価10万円の仕事を10件こなすのと、
単価50万円の仕事を2件こなすのとでは、どちらが効率的でしょうか。単価が低い仕事は、
当然ながら件数を多くこなさなければなりません。それに伴い、打ち合わせ、書類作成、納品、請求といった事務作業も
増えてしまいます。

結果的に、会社の生産性は下がり、本当に利益を生み出すための活動がおろそかになってしまいます。

3. 会社の価値を自ら下げてしまう

「安い価格で仕事を受けてくれる会社」というイメージが定着してしまうと、そこから抜け出すのは非常に困難です。
顧客は「安くしてくれるのが当たり前」だと考え、適正な価格での交渉が難しくなります。

これは、自社の製品やサービスの価値を自ら過小評価していることと同じです。せっかく時間と手間をかけて開発した
こだわりの商品も、安い価格で取引されてしまえば、その価値は正当に評価されません。

会社の未来を守る「仕事の選び方」

では、どうすれば安い仕事から抜け出し、会社の価値を正当に評価してくれる顧客と出会うことができるのでしょうか。

1. 「顧客を選ぶ」という意識を持つ

すべての顧客を相手にする必要はありません。自社の理念や強みを理解し、しっかりと対価を支払ってくれる顧客だけを
相手にすると決めることが大切です。

「この顧客は、長期的に付き合っていけるか?」 「この仕事は、当社の技術や強みを活かせるか?」こうした問いを
自分自身に投げかけ、安易に仕事を引き受けない判断基準を持つことが重要です。

2. 価値を伝えるための営業戦略を立てる

高単価の仕事を受注するためには、ただ商品を並べるだけでは不十分です。なぜその価格なのか、なぜ当社の商品を
選ぶべきなのかを、論理的かつ情熱的に伝える必要があります。

たとえば、単に「この商品はおいしいです」と伝えるだけでなく、「この商品は、手間ひまかけた製法で、
他社には真似できない品質を実現しています」「この商品を導入することで、御社の顧客満足度が上がり、
リピーター獲得につながります」といったように、顧客にとっての具体的なメリットを提示することが不可欠です。

3. 高単価の顧客とつながるための行動を起こす

単価の高い仕事を発注する顧客は、一般的に「質の良い取引」を求めています。
彼らは、価格だけでなく、信頼性、品質、サポート体制などを重視します。そうした顧客とつながるためには、
以下のような行動が有効です。

  • 業界の展示会やセミナーへの参加: 高品質な製品を求めるバイヤーや決裁者と直接会う機会を増やす。
  • 専門的な情報発信: 自社のブログやSNSで、製品開発へのこだわりや、業界のトレンドに関する専門的な情報を発信し、
    会社の信頼性を高める。
  • 紹介を増やす: 現在の優良顧客に、同じような考えを持つ取引先を紹介してもらう。

単価の高い仕事がもたらす好循環

単価の高い仕事を受注できるようになると、会社には良い循環が生まれます。

質の高い仕事に集中できる: 無理な要求やクレームが少なくなるため、製品開発やサービス向上にじっくりと時間を
かけられるようになります。

顧客との関係が深まる: 互いの価値を尊重しあう関係が築けるため、長期的なパートナーシップにつながります。
社員のモチベーションが向上する: 自分たちの仕事が正当に評価されることで、社員の皆さんのやる気も高まります。

これは、会社の成長にとって非常に重要なことです。目先の売上ではなく、会社の未来を見据えた仕事選びが、
結果として大きな成功につながるのです。

まとめ

御社は、これまでの努力と情熱によって築き上げられた、かけがえのない価値を持っています。
その価値を安売りする必要は一切ありません。

目先の売上に惑わされず、「顧客を選ぶ」「仕事を選ぶ」という意識を強く持つこと。
そして、自社の価値をしっかりと伝え、正当な対価を支払ってくれる顧客だけを相手にすること。

これが、会社を疲弊させずに成長させていくための、最も重要な戦略です。いますぐ安い仕事から距離を置き、
高単価の仕事に集中することで、会社の未来はきっと大きく変わります。

もし、高単価の仕事の探し方や、そのための営業戦略について詳しく知りたい場合は、いつでもご相談ください。
長年の経験で培ったノウハウを活かし、皆さんの販路開拓を全力でサポートさせていただきます。


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