日々の業務で「売る」という行為にどう向き合っていますか?
もしかしたら、そのアプローチ方法が、意図せず顧客を遠ざけているかもしれません。
今回は、販路開拓を成功させるために不可欠な「売る」と「売り込む」という二つの行為について、
その本質的な違いを掘り下げ、御社のビジネスにどう活かすべきか具体的に解説します。
「売る」とは顧客の心に寄り添うこと
多くの人が「売る」と聞くと、商品を勧めることや契約を取ることを想像します。
確かに間違いではありません。本当に大切なのはその過程です。
「売る」という行為は、顧客のニーズや課題を深く理解することから始まります。
顧客がまだ気づいていない潜在的な欲求を見つけ出し、それを満たすための手段として御社の商品を提示することです。
想像してみてください。ある消費者が「毎日の食卓にもっと手軽に、本格的な味を取り入れたい」と考えているとします。
御社の冷凍食品は、まさにその悩みを解決するものです。
この消費者は、スーパーで商品を見かけたり、SNSで評判を目にしたりするたびに、これ、おいしそうだな、
便利そうだなと感じるでしょう。
この段階では、まだ購入には至っていません。この消費者の心の中には、
すでに御社の商品に対する好意的なイメージが芽生えています。これが「売る」の第一歩です。
そして、最終的に「今日は疲れたから、あの冷凍食品にしよう」と決めた瞬間、御社の商品が選ばれるのです。
このように「売る」とは、顧客が「ほしい」と思ったその瞬間に、御社の商品を思い出してもらうための
日頃からの関係構築なのです。
「売り込む」とは顧客の気持ちを無視すること
「売り込む」とは、顧客の状況や気持ちを考慮せず、とにかく買ってほしいという一方的な感情で商品を押し付ける行為です。
例えば、ある食品会社の営業マンが、スーパーのバイヤーに対して「新商品です!すごく売れます!ぜひ置いてください!」と、
商品のメリットばかりを熱心に語っているとします。
そのバイヤーは、ちょうど棚の配置変更で手いっぱいの状況かもしれませんし、
すでに類似商品の仕入れを決めた後かもしれません。
このとき、バイヤーは「今それどころじゃないんだけどな」「なんでこちらの都合も聞かずに話を進めるんだろう」と
感じてしまいます。
こうした状況での「売り込み」は、バイヤーの不信感を生み、最悪の場合、その会社との取引そのものが
なくなることにもつながります。
「売り込む」行為は、まさに「欲しくない」「必要ない」という相手の気持ちを無視した、非常に失礼な行為なのです。
「売る」ための具体的なアクション
では、どうすれば「売り込み」ではなく「売る」ための関係を築けるのでしょうか。
食品会社の販路開拓において有効な、いくつかの具体的なアクションをご紹介します。
1. 顧客の声を徹底的に聞く
販路開拓の最初のステップは、御社のターゲットとなる小売店や飲食店、消費者といった顧客の「生の声」を
徹底的に聞くことです。
「どんな商品に困っているか」「どんな課題を抱えているか」「どんな商品が求められているか」
展示会や商談会で名刺交換をするだけでなく、その後の定期的な訪問やオンラインでの面談を通して、
顧客の現状を深く理解しましょう。これにより、御社の商品がどのように役立つかを具体的に提案できるようになります。
2. 価値ある情報を提供する
メルマガやニュースレター、ブログ、SNSなどを活用して、御社の商品情報だけでなく、
顧客にとって有益な情報を提供しましょう。
例えば、食品業界の最新トレンド、消費者の食生活の変化、季節ごとの販促アイデア、
商品の活用レシピやアレンジ方法など。
こうした情報発信は、御社を「単なる仕入れ先」ではなく、「頼れるビジネスパートナー」として
認識してもらうきっかけになります。顧客は、御社から得られる情報に価値を感じ、自然と関心を寄せるようになります。
3. 定期的な接触を維持する
日頃から顧客と接触を保ち、顔と名前を覚えてもらいましょう。直接会う機会がなくても、メールや電話、
オンラインツールをうまく活用することで、関係を維持できます。
特に重要なのは、何かを売り込む目的ではなく、「最近どうですか?」という軽い気持ちで連絡を取ることです。
これにより、顧客は「この会社は、私たちのことを気にかけてくれている」と感じ、信頼関係が深まります。
販路開拓の成功は「売る」という行為の積み重ね
「売り込む」は、一時的に売上を上げることはできても、長期的なビジネスの成長にはつながりません。
一方、「売る」というアプローチは、顧客との強固な信頼関係を築き、安定した売上を継続的に生み出す土台となります。
社長は、今、どちらのスタンスで顧客と向き合っているでしょうか。
もし「売り込み」が中心になっているのであれば、そのアプローチを「売る」ための関係構築へと
シフトさせる時期かもしれません。
- 「売る」とは、顧客のニーズを理解し、日頃から関係を築くことで、自然な形で商品を選んでもらうこと。
- 「売り込む」とは、バイヤーの状況を無視して、一方的に商品を買うよう迫ること。
- 販路開拓を成功させるには、「売る」という行為を意識し、顧客に寄り添うことが不可欠です。
御社の強みを活かした商品が、より多くの人の手に渡り、たくさんの食卓を笑顔にできるよう、
ぜひ今日から「売る」ためのアプローチを実践してみてください。
販路開拓は一朝一夕にはいきませんが、一歩ずつ着実に信頼を積み重ねていくことで、必ず成果はついてきます。
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