商品知識の理解度で顧客は発注先を決める


営業で選ばれる人が「語っていること」

食品会社が販路を広げようとするとき、価格や納期、品質だけでは決まりません。バイヤーや取引先が最終的にどこへ発注するかを判断する材料は、実はもっと身近で、もっとシンプルなところにあります。

それが「営業担当者の商品知識の深さ」です。

営業の場では、自然と質問が飛び交います。「この商品の保存温度は?」「添加物は?」「他社との違いは?」といったやりとりの中で、スムーズに答えられる人と、そうでない人とでは、信頼の積み重ねに大きな差が出てきます。

商談のその場で、商品を語れる人が、選ばれる。これは食品業界の現場で、何度も目にしてきた事実です。


顧客は、無意識に「どれだけ詳しいか」を見ている

営業担当者の説明力が問われるのは、最初の商談からです。特に食品の分野では、商品に対する質問がとても多く、しかも細かい内容に及びます。

たとえば、以下のような質問は日常茶飯事です。

  • この商品の原料はどこの産地か
  • 賞味期限は製造から何日か
  • アレルゲン表示はどうなっているか
  • 同じジャンルの商品と何が違うのか
  • ロットや出荷可能数は柔軟に対応できるのか

こうした問いかけに対して、「すみません、あとで確認します」と答えてしまうと、相手は不安を感じます。

話している本人にとってはちょっとしたことでも、相手の目線では「この人は自社商品に詳しくない」「一緒に仕事しても頼りないかもしれない」と受け取られてしまうからです。

たったひとつの「わかりません」で、商談の空気が変わることすらあります。


どんなに人柄が良くても、知識がない営業は選ばれない

営業マンの第一印象や人柄の良さは、もちろん大切です。でも、それだけで継続的な取引が決まることはありません。

商品知識に乏しい営業に対して、顧客はこう感じます。

  • 商品の本質をわかっていない
  • 価格や納期など表面的な話しかできない
  • いざという時の対応も不安だ
  • 質問してもすぐに答えが返ってこない

逆に、的確に、わかりやすく商品を説明できる営業には、安心感が生まれます。「この人は信頼できる」「この会社なら任せられそう」そんな印象を与えるのは、実はプレゼン力や資料のデザインではなく、商品への理解度と説明力なのです。


顧客の課題を、商品知識で解決する

バイヤーや店舗の担当者は、「この商品を扱ったら、売れるかどうか」「自社の客層に合うか」「トラブルがあったときにどう対応してくれるか」といった現実的な視点で商品を見ています。

つまり、営業担当者に求められているのは、商品情報の丸暗記ではなく、「この顧客にとってどう役立つか」を語れること。商品知識は材料であり、それを使って提案ができるかどうかが問われているのです。

たとえば、賞味期限の話をするにしても、「常温で120日あります」だけで終わらせるのではなく、「店舗の在庫管理がしやすく、廃棄ロスが出にくいです」まで伝えられる営業は、やはり強いのです。


商品知識の浅さは、会社全体の課題にもなる

厳しい言い方になりますが、商品知識の乏しい営業マンが現場に出ている時点で、会社全体の課題が浮き彫りになっているとも言えます。

これは個人の問題ではありません。

  • 教育体制が整っていない
  • 商品説明が社内で共有されていない
  • 社長自身が現場に商品理解を伝えていない

こうした会社では、営業がバイヤーの質問に詰まるたびに、企業全体の評価も下がってしまいます。顧客は営業の姿勢を通じて、会社全体の姿勢を見ているのです。


現場に立つほど、商品を語れるようになる

商品知識は、単にパンフレットを読んだだけでは身につきません。

大事なのは、自分自身が商品に触れ、食べ、現場を見て、開発者や製造者と話をすること。そこから得た実体験があるからこそ、自分の言葉で語れるようになります。

ある地方の食品会社では、製造部門の社員が兼任で営業を担当する仕組みに切り替えたところ、商談成約率が大幅に上がったという事例がありました。

その理由は明快で、「現場を知っているから説明が強い」「説得力があるから信頼される」という流れが生まれたからです。


売れる営業は「商品を武器にしている」

商品知識を持っている営業は、それを武器として活用しています。

  • 商談で比較されたときに、自信を持って差別化できる
  • クレームや不安への対応にも、すばやく納得感のある説明ができる
  • 販売促進や店舗提案など、次の提案につなげられる

結果として、顧客との会話が深まり、関係性が強くなり、長期的な取引へとつながっていきます。営業活動における商品知識とは、単なる知識ではなく、信頼を生み出す力なのです。


今こそ「語れる営業」に育てるべきとき

食品業界では今、営業の役割が変わりつつあります。
訪問してカタログを渡すだけでは、バイヤーは動きません。

社長や営業担当者が、「どれだけ商品を理解しているか」「どれだけ顧客目線で語れるか」が問われています。

売れる営業を育てるためには、

  • 現場体験の機会をつくる
  • 製造や開発部門と定期的に情報共有する
  • 商品説明ロープレを社内で行う
  • よく聞かれる質問とその答えを事前に整理する

といった取り組みが、実はとても効果的です。商品知識は、営業ツールのなかでもっとも費用対効果が高い投資だと言えるかもしれません。


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  • 商品はいいはずなのに営業が決まらない
  • 社員の商品理解が浅くて困っている
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