最近、冷凍食品・菓子・加工食品などのメーカーさんからのご相談が増えています。
「商談の場で、どの商品をどの順番で出せばよいか分からない」
「せっかくバイヤーに会えたのに、反応がいまいちだった」
このようなお悩みは決して珍しくありません。
そこで今回は、法人営業において提案は1つに絞るという考え方について、食品会社の営業現場に沿って解説します。
商品をたくさん出すほど、印象は薄くなる
よくあるのが、「うちは全部で10アイテムあるので、商談ではとにかく全部並べて説明する」というやり方です。
確かに商品の幅広さを見せたいという気持ちはわかります。
しかし、これはバイヤー側からすると「どれが主力なのか分からない」「結局なにを提案したいのか伝わらない」と
感じることが多いのです。
冷凍ピザ、スープ、スイーツ、総菜など、カテゴリをまたいで一度に説明しても、
商談の記憶には「いろいろ持ってきた会社」くらいしか残らないのが現実です。
クロスセルは食品営業には向かないこともある
マーケティングの教科書では、クロスセルやアップセルという考え方があります。
たとえば「こちらのジャムとセットでパンはいかがですか?」というような提案です。
ただ、これはスーパーの売場づくりやBtoCで有効な手法であり、
法人営業、特に食品卸や大手小売への営業ではうまく機能しないことが多いです。
バイヤーは「1商品1判断」が基本です。
その商品がどんな売場に合い、どれだけ売れそうかを1つずつ評価しています。
複数を一度に出すと、むしろ焦点がぼやけてしまい、商品ごとの良さが伝わりません。
バイヤーは「検討モード」で商談をしている
営業側としては「今日中に何か決めてくれないかな」という期待を持って商談に挑みます。
けれど現実には、即決するバイヤーはほとんどいません。
むしろ「持ち帰って社内で検討」「棚の空き状況を見て判断」など、検討モードで会っているのが通常です。
この時に複数商品を提案されると、「一度持ち帰りますね」で終わる可能性が高くなります。
そして、何も決まらずそのまま音沙汰なしになる、というパターンも少なくありません。
一番売りたい商品を1つに絞ることが大事
だからこそ、まずは「1回の商談で提案する商品は1つに絞る」ことが大切です。
最初の訪問で総菜を出す。次の訪問でスープを出す
。
このように1商品ずつ提案していくことで、商品に対する説明も深くなり、
なによりも「真剣にこの商品を売り込みたいんだな」という印象を与えることができます。
商品単体での売り込みに集中することで、バイヤーとの信頼関係も築きやすくなります。
商談は関係構築の場と考える
食品の商談は、価格や仕様を詰める場であると同時に、「信頼を育てる場」でもあります。
いきなり注文が出るよりも、「またこの会社と商談してみたい」と思ってもらえるかどうかが重要です。
あれもこれも持ち出すより、あえて1つだけ提案して、反応を見ながら次の打ち手を考える。
この余白が、次の商談につながります。
食品業界では、味見やサンプル提出、企画書の作り直しなど、手間がかかる分、商談が分散しがちです。
だからこそ、「ひとつずつ着実に提案する」という姿勢が信頼を生むのです。
小さな提案が、大きな成果につながる
私が支援してきた中でも、成功している食品メーカーの多くは、提案の順序と深さをとても丁寧に設計しています。
急がず、焦らず、まずは一品。
そこで成果が出れば、自然と次の商品もバイヤーから「何か他にありますか?」と聞いてくるようになります。
販路開拓はスピードよりも「信頼と継続性」。
提案はあくまで、その第一歩です。
食品営業は、提案の“出し方”次第で大きく成果が変わります。
あなたの会社の魅力を伝えるためにも、1商品をしっかり語ることから始めてみてください。
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