日々多くの社長とお会いする中で、「どうすればプレゼンで売上を上げられますか?」というご相談をよくいただきます。
新しい商品を開発したり、こだわりの食材を使ったりして、いざ商談に臨んでも、なかなか結果に結びつかず、
悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
プレゼンの資料づくりに何日もかけて、パワーポイントのスライドを何枚も作成し、完璧な準備をしたはずなのに、
商談は不発に終わり、あっさりと失注してしまう。「いったい何が悪かったのだろう?」
「どんなプレゼンをすれば売れるようになるのだろうか?」そう自問自答を繰り返す日々かもしれません。
売れるプレゼンの正解は一つではありません
正直にお伝えすると、「こうすれば必ず売れる」という魔法のようなプレゼンのコツや正解は存在しません。
なぜなら、プレゼンはあくまで、御社の商品を売るための手段の一つだからです。顧客に商品の魅力や価値、
価格を伝えるためのコミュニケーション手段に過ぎないのです。
これはスポーツに例えると分かりやすいかもしれません。野球で言えばバットの振り方、サッカーならドリブルのテクニック、
ラグビーならパスの仕方と同じです。バットの振り方も、ドリブルの仕方も、パスの出し方も、
選手一人ひとりの個性やプレースタイルによって異なります。正解は一つではなく、
自分に合ったやり方を見つけることが大切です。
プレゼンも同じで、会社や商品の強み、そして何より、あなた自身の考え方によって最適な方法は変わってきます。
つまり、テクニックや方法論だけを追い求めても、本当に顧客の心に響くプレゼンはできないのです。
プレゼンで最も大切なことは「目的」を明確にすること
多くの社長が陥りがちな間違いは、プレゼンのテクニックや資料の見栄えばかりに意識が向いてしまうことです。
どんなに美しいパワーポイントの資料を作成しても、それが顧客に伝わらなければ意味がありません。
大切なのはデザインではなく、その内容です。パワーポイントの発表大会ではありません。
そして、その内容を決定づけるのが、「プレゼンの目的」です。あなたのプレゼンは何のために行うのでしょうか?
顧客に商品の良さを理解してもらうため?競合他社との差別化を納得してもらうため?
自社の情熱やこだわりを知ってもらうため?この「目的」がはっきりしていれば、
自ずとプレゼンの構成や伝えるべき内容が見えてきます。
商談の相手は、パワーポイントのスライドの枚数やアニメーションの凝り具合を見ているのではありません。
彼らが本当に求めているのは、「この商品が自社の課題をどう解決してくれるのか」
「この会社と取引することで、どんなメリットが得られるのか」といった、具体的な価値なのです。
プレゼンで受注が取れないと感じている社長は、一度、原点に立ち戻り、「このプレゼンは何のために行うのか?」と
自問してみてください。その問いかけに真摯に向き合うことが、成功への第一歩になります。
「伝える」から「伝わる」へ顧客の心をつかむプレゼン
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。テクニックではなく、目的を意識したプレゼンにするために、
いくつかのポイントをご紹介します。
顧客の課題を徹底的にリサーチする
プレゼンは、一方的な商品説明の場ではありません。商談相手である顧客がどのような課題を抱えているのか、
何を求めているのかを事前に徹底的にリサーチしましょう。例えば、「販売チャネルを拡大したい」のか、
「新商品を開発したい」のか、それとも「既存商品のリニューアルを検討している」のか。
顧客のニーズを深く理解することで、彼らが抱える悩みに寄り添った提案が可能になります。単なる商品紹介ではなく、
「御社のその課題、私たちが解決できます」というメッセージを伝えることができれば、プレゼンの説得力は格段に高まります。
伝えたいことはシンプルに絞り込む
あれもこれもと情報を詰め込みすぎると、本当に伝えたいことがぼやけてしまいます。
あなたの会社や商品の最も強力な「強み」や「差別化ポイント」は何でしょうか?例えば、
「独自の製法」や「希少な原料」、「環境に配慮した取り組み」など、他社にはない突出した魅力を一つか二つに絞り込み、
それを中心にプレゼンを構成しましょう。シンプルで力強いメッセージは、相手の記憶に残りやすく、
行動につながりやすくなります。
ストーリーで魅力を伝える
数字やデータだけでなく、「なぜこの商品が生まれたのか」「この商品にどんな想いが込められているのか」と
いったストーリーを語ることで、顧客の感情に訴えかけるプレゼンになります。ストーリーは、単なる事実の羅列ではなく、
人々の共感を呼び、記憶に深く刻まれます。あなたの会社の情熱や哲学を伝えることで、顧客との間に信頼関係を築き、
「この会社と一緒に仕事をしたい」と思ってもらえるきっかけになります。
プレゼン後を見据えた準備を怠らない
プレゼンの場で「伝える」ことに集中するあまり、商談が成功した後のことまで考えていないケースも見受けられます。
商談はプレゼンが終わって終わりではありません。むしろ、そこからが本当のスタートです。
顧客が意思決定を行う上で、どのような情報が必要になるのかを事前に予測し、準備しておきましょう。
例えば、具体的な納品までの流れ、価格表の詳細、サンプル提供の可否など、
質問されそうな内容をあらかじめ整理しておくことで、商談後の対応がスムーズになります。
また、商談の最後に必ず「次のアクション」を確認するようにしましょう。
「いつまでに、誰が、何を決定するのか」を明確にすることで、商談が曖昧なまま終わることを防ぎ、
次のステップへと確実に進めることができます。小さなことのように思えますが、このような細やかな気配りが、
信頼関係を深め、最終的な契約につながるのです。
まとめ
プレゼンの成功は、テクニックやパワーポイントの作り方ではなく、「誰に、何を、何のために伝えるのか」という
明確な目的を持つことから始まります。顧客の課題を深く理解し、伝えたいことをシンプルに絞り、
そして想いを込めたストーリーを語る。
これらのアプローチは、小手先の技術を超えた本質的な力となり、あなたの会社の売上を伸ばすための強力な武器になるはずです。
もし、プレゼン資料づくりや商談の進め方にお悩みでしたら、いつでもご相談ください。
● 顧問契約をご検討中の企業さまへ
貴社の商品に合った販路開拓戦略をご提案し、バイヤーへの営業活動を行います。
● セミナーを企画中の支援機関・団体さまへ
展示会営業や販路づくりをテーマに、全国各地で講演実績があります。
● メディア・取材ご担当者さまへ
中小企業の営業現場を事例とともに紹介できます。ご相談はお気軽に。
