食品会社の社長にとって、展示会は新しい販路をつくるための最前線です。
多くの企業が出展して商品をアピールしていますが、展示会の本当の価値は「出展すること」だけではありません。
来場者として動く「逆営業」こそ、販路開拓の新しいチャンスになります。
わたし自身、食品関連の展示会で逆営業を実践してきました。
展示会を「情報収集の場」として終わらせず、「販路開拓の現場」として使うことで、
出展者側に負けない成果を上げることができます。
訪問営業や電話営業が難しくなった今こそ、展示会を攻めの営業に変える発想が重要です。
展示会の会場には、食品バイヤー、卸会社、ホテルやレストランの購買担当、包装資材メーカーなど、
御社が取引したい相手が一堂に集まっています。
会場をうまく使えば、広告費も営業経費もかけずに新しい販路を広げられます。
まず大切なのは、事前準備です。
展示会は準備で成果が決まると言っても過言ではありません。
事前に出展者リストを入手し、訪問すべき企業を10社前後に絞ります。
その中から「どうしても取引したい3社」を重点ターゲットに設定しましょう。
次に、各社の出展テーマを把握します。
展示会の公式サイトや出展者資料には、出展の目的や展示品の情報が掲載されています。
その企業がどのような製品を扱っているのかを調べ、自社との共通点を見つけておくと、会話がスムーズになります。
この下準備があるかどうかで、展示会当日の動きがまったく変わります。
計画を立てずに会場を歩いても、名刺は集まりません。
成果を上げる人は、事前に訪問ルートまで決めています。
会場に入ったら、まず遠くからブースの雰囲気を観察します。
スタッフの動きや来場者の対応を見れば、責任者や役職者がどの人かがわかります。
名刺交換を狙うのは、その「決裁権を持つ人物」です。
担当者レベルに名刺を渡しても成果は限られます。
声のかけ方はシンプルで構いません。
「以前から御社の商品に関心がありまして」「展示内容を拝見し参考になりました」
など、相手を立てながら会話を始めます。
目的はあくまで名刺交換です。
その場で取引を迫る必要はありません。
展示会でよくある失敗は、自社のパンフレットを開いて長々と説明してしまうことです。
出展者は自社のPRで手一杯のため、長話は迷惑になります。
展示会での逆営業は「短く印象を残す」ことが鉄則です。
名刺を受け取ったら、軽くお礼を伝えて退きます。
滞在時間は一社につき1分以内が理想です。
名刺をもらったら、展示会後にすぐ整理します。
役職・会社名・会話内容・印象をメモに残し、Aランク(決裁者)Bランク(担当者)
Cランク(応援スタッフ)に分けましょう。
翌日から3日以内にメールや電話でフォローを入れます。
展示会の印象が残っているうちに連絡することで、返信率が上がります。
メールの内容は簡潔に、「展示会でお話しした○○です」「御社のブースで拝見した○○が印象的でした」と
書くだけで構いません。
営業資料や提案書はその後に送れば十分です。
展示会での逆営業は「きっかけづくり」であり、「信頼づくり」でもあります。
短期的な成果を求めすぎると、相手との関係を壊すことになります。
食品業界では、展示会から生まれた縁が数年後に取引に発展することもあります。
展示会は即効性よりも、継続接点のスタートラインと考えてください。
焦らず、関係を育てていく姿勢が結果につながります。
さらに、展示会は営業活動の場であると同時に、情報収集の宝庫です。
他社のブースを観察すると、包装デザイン、試食の演出、価格設定など、多くのヒントが得られます。
他社の強みを知ることで、自社の課題が明確になります。
営業担当者を連れていき、実際の現場で感じたことを共有すれば、チーム全体の販路開拓意識が高まります。
また、展示会には行政・金融機関・支援機関の担当者も多数来場しています。
彼らに顔を覚えてもらうことで、補助金、展示会支援、マッチング事業などの情報が得られる可能性があります。
特に、地域ブランドを発信したい食品会社にとっては、こうした支援ルートとの接点づくりが重要です。
展示会での逆営業を続けていると、「顔を覚えてもらう効果」も大きくなります。
一年に一度の展示会でも、毎回名刺を交換すれば相手の記憶に残ります。
次の商談会やバイヤーマッチングで再会したとき、「前に展示会でお会いしましたね」と言われれば、
すでに第一印象はクリアしています。
営業は一回の会話より、何度の接点で信頼を積み重ねるかが勝負です。
展示会で成功している食品メーカーの多くは、「売る前に信頼をつくる」を徹底しています。
パンフレットやサンプルよりも、担当者自身の印象を大切にしています。
その誠実な印象が、後のバイヤー商談につながっていくのです。
食品会社の社長に伝えたいのは、展示会を単なるイベントではなく、
「市場を学び、販路を広げ、人脈を築く総合舞台」として活用する発想です。
逆営業は一見地味ですが、長期的には確実に効果を出す手法です。
展示会で得た名刺一枚が、未来の大口取引につながることもあります。
焦らず、誠実に、一歩ずつ。
食品展示会での逆営業は、販路開拓の基本姿勢そのものです。
*出展者はお金、時間を投資して参加されるていることを忘れてはいけません
取引先を増やすのではなく、信頼関係を増やす。
その積み重ねが、結果的に売上とブランドを伸ばす最短ルートになります。
ありがとうございました。
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