はじめに
食品会社の社長にとって販路開拓は最大の課題です。どれほど良い商品を開発しても、
買ってくれる取引先がいなければ売上にはつながりません。
展示会や商談会、ホームページ、SNSなど営業の場は多様化していますが、最終的に成果を決めるのは人間関係です。
昔から営業の世界で語られてきた「GNP営業」は、時代が進んだ今でも活用できる普遍的な手法です。
GNPとは義理(Giri)、人情(Ninjou)、プレゼント(Present)の頭文字を取った言葉で、
かつて保険営業の世界で広まった考え方です。古く感じられるかもしれませんが、
食品会社の社長にとって学ぶ価値は十分にあります。
GNP営業の基本
義理
義理とは、相手とのつながりを大切にし、約束を守る姿勢を指します。
食品業界では、展示会で名刺を交換した相手へのお礼や、紹介してもらった方への感謝の連絡など、
ちょっとした行動が義理にあたります。
一度取引をしてくれたバイヤーに対しても、丁寧なフォローを続けることで「この会社は誠実だ」と評価されます。
義理を大切にする姿勢は、長期的な信頼関係を築き、安定的な取引につながるのです。
人情
人情とは、相手の立場や気持ちに寄り添う心です。食品のバイヤーは日々膨大な商品を提案されます。
そこで心に残るのは、人として共感できる相手です。
商品の特徴や価格を語るだけでなく、「生産者の想い」や「開発の背景」を伝えることが重要です。
食品は人の生活に直結するため、感情に響くメッセージが効果を発揮します。
「消費者に笑顔を届けたい」「子どもたちに安心して食べてもらいたい」といった思いは、
数字の説明以上に相手の心を動かします。
プレゼント
プレゼントは、相手への小さな心配りです。かつて保険営業ではアメ玉を配る例が有名でした。
食品会社であれば展示会での試食や、訪問時に持参する小さなお菓子、
季節のご挨拶として送るサンプルが当てはまります。
心理学の返報性の法則によって、人は何かをもらうと「お返しをしなければ」と感じます。
たとえ小さなプレゼントでも、会話や商談のきっかけになります。
食品会社にとっての効果
食品会社がGNP営業を取り入れることで、次のような効果が期待できます。
- 展示会や商談会での成果が高まる
短時間で多くの人と出会う場面では、義理を果たすフォロー、人情を込めたストーリー、
ちょっとしたプレゼントが効果を発揮します。 - 地方ブランドの価値を高められる
地域色のある食品は人情と相性が良く、生産者や地域の物語を語ることで差別化につながります。 - 価格競争を避けやすい
義理や人情を通じて築いた信頼があれば、「安さ」で選ばれるのではなく「この会社から買いたい」という理由で
取引が続きます。
心理学的な裏付け
GNP営業には心理学的な根拠もあります。
- 返報性の法則:プレゼントをもらうとお返しをしなければと感じる心理。
- 単純接触効果:会う回数が増えるほど好意を持ちやすくなる心理。
- 初頭効果:最初の印象が強く残る心理で、初回訪問や展示会での一言が重要。
これらを自然に活かすのがGNP営業の強みです。
デジタル時代との融合
現代はホームページやSNS、メールマガジンなどデジタルの活用が欠かせません。ここでもGNPを応用できます。
- 義理:展示会後に必ずメールやLINEでお礼を伝える
- 人情:ブログやSNSで社員や生産者のストーリーを紹介する
- プレゼント:フォロワー限定で試食キャンペーンや特典を提供する
デジタルとアナログを組み合わせることで、効率的かつ温かみのある営業活動が実現します。
社長が社員に浸透させる方法
GNP営業を実践するには、社長一人の理解では不十分です。社員全体に浸透させる工夫が必要です。
- 朝礼やミーティングでGNP営業の事例を共有する
- 成功体験を褒め合い、モチベーションを高める
- チェックリストを作成し、営業活動の基準にする
習慣化することで、会社全体が「義理・人情・プレゼント」を自然に体現するようになります。
実践チェックリスト
- 名刺交換をしたら24時間以内にお礼を送る
- 商談後には一言の手書きメッセージを添える
- 季節の変わり目に小さなサンプルを送る
- 相手企業のSNSをフォローして反応する
- 生産者や開発者のストーリーを積極的に伝える
一つずつ実践するだけで、取引先との関係性が確実に深まります。
食品会社の社長へのメッセージ
食品会社の社長は日々の業務に追われ、営業の工夫に手が回らないことも多いものです。
けれども販路を広げたいのであれば、まずはGNP営業から始めてみてください。
大きなコストや特別なスキルは不要です。小さな心配りや一言の感謝が積み重なり、信頼関係となって返ってきます。
その結果として販路開拓が進み、売上の増加につながります。
まとめ
- GNP営業は義理・人情・プレゼントを重視した人間関係型の営業手法
- 食品業界においては展示会や地方ブランドの強化、価格競争の回避に有効
- 心理学的な裏付けがあり、現代でも十分に通用する
- 社員教育やデジタル活用によって組織全体に浸透させることが可能
営業の基本は人間関係です。義理を果たし、人情を大切にし、プレゼントで笑顔を届ける。
このシンプルな姿勢を忘れずに実践することが、食品会社の販路開拓を成功させる近道になります。
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