コロナをきっかけに、食品をECサイトで販売する会社が一気に増えました。
一方で、「サイトを作ったけれど売れない」という相談も急増しています。
理由は簡単です。
“販売の準備”ではなく、“売れる仕組み”を整えていないからです。
この記事では、初めてネット販売を始める食品会社の社長が、最初におさえるべき基本を7つに整理しました。
どれもすぐ実践できる内容です。
- 写真で「おいしさ」を伝える
ネット販売では、香りも味も伝わりません。
代わりにお客様が判断の基準にするのが「写真の印象」です。
明るい自然光のもとで撮る。
背景は白か木目調でシンプルにする。
パッケージ、開封後、盛り付けの3パターンを撮る。
たったこれだけで、印象は大きく変わります。
さらに、商品の質感が伝わるアップ写真も必須です。
餃子なら焼き目の照り、ジャムなら光沢、スイーツならクリームの滑らかさ。
プロのカメラでなくても構いません。
スマートフォンでも自然光さえ意識すれば十分きれいに撮れます。
- 商品説明は「自分の言葉」で書く
食品の説明は、味や素材よりも「なぜ作ったか」を伝えることが重要です。
どんな想いで作ったのか、どんなお客様に食べてほしいのか。
その背景を具体的に書くだけで信頼度が上がります。
例をあげます。
「国産素材を使用しています」よりも、
「三重の契約農家で育てたトマトを、完熟後24時間以内に加工しています」
の方がはるかに印象に残ります。
原材料・製造方法・保存方法はわかりやすく。
そして「他社との違い」を必ず一文入れる。
たったこれだけで、購入率は2〜3倍変わります。
- SEOは「買う人の気持ち」で考える
キーワードを詰め込むより、検索する人の気持ちを読むことです。
「無添加」「手作り」「地元名物」など、
自社商品を探す人がどんな言葉を使うかを想像します。
商品名には必ず「特徴+用途」を入れましょう。
例:「無添加トマトソース|パスタにも煮込みにも使える万能ソース」
説明文には、自然に地域名や製法などを盛り込みます。
Googleは「自然に書かれた説明」を高く評価します。
機械的なSEOではなく、「買う人を思い浮かべて書く」ことが一番のSEO対策です。
- 顧客レビューを「商品説明の一部」にする
レビューは“お客様の声”ではなく“販売ページの説得材料”です。
購入者の実体験ほど強い言葉はありません。
特に、写真付きや具体的な感想は非常に効果的です。
レビューを集めるコツは、購入後のフォローメールです。
「お味はいかがでしたか?ご感想をお聞かせください」と丁寧に聞く。
クーポンを添えてお礼する。
その積み重ねで、自然に良いレビューが増えていきます。
もし悪い評価が入ったときもチャンスです。
誠実に対応することで、ほかの人からの信頼が上がります。
「対応が丁寧だった」というレビューは、商品以上に会社の評価を上げます。
- リピーターを増やす「仕組み」をつくる
ECは一度買って終わりではありません。
二度目・三度目の購入があって初めて利益が出ます。
そのために次の3つを整えましょう。
①定期購入コースを設定する。
②お試しセットや季節セットを用意する。
③購入後メールで次の提案をする。
たとえば、「前回ご購入いただいたジャムと相性の良いクラッカーを紹介します」といった提案。
押しつけにならず、自然な形でのリピート促進になります。
リピーターが増えれば広告費も減り、安定した売上が作れます。
ECサイトの利益の7割はリピーターが支えています。
- SNSで「ファンづくり」から始める
ECサイトの集客は、まず“知ってもらうこと”です。
特に食品は「見て」「おいしそう」と思われる瞬間が勝負です。
InstagramやFacebookで、製造の様子・スタッフの日常・商品ができるまでを紹介してみましょう。
販売よりも“信頼の積み重ね”を優先します。
投稿のテーマは「宣伝」ではなく「共感」。
たとえば、「今日も手作りで瓶詰めしています」「試作で味を調整中です」。
こうした裏側の発信がファンを生みます。
SNSとECサイトを連携し、投稿からすぐに購入できる導線を作る。
これだけで、サイトのアクセス数は確実に上がります。
- モバイルで見やすく、買いやすく
いまECサイトの7割以上がスマートフォンからのアクセスです。
そのため、スマホで見づらいサイトはすぐに離脱されます。
文字サイズ、ボタンの位置、購入手順をすべてスマホ基準で設計しましょう。
また、ページの読み込み速度も重要です。
写真データを軽くするだけで、離脱率は大きく下がります。
お客様が「ストレスなく買える」状態が理想です。
送料や配送についても、分かりやすく書いておきます。
「〇〇円以上で送料無料」「冷凍便は翌営業日発送」など、
安心できる情報があると購入率は上がります。
- 最後に ― ファンをつくることが目的
ECサイトは技術ではなく「信頼」で成り立ちます。
きれいなサイトより、誠実な運営。
派手な広告より、丁寧な対応。
食品会社にとって、ネット販売は“売り場”ではなく“出会いの場”です。
自社の考え方や想いに共感したお客様が、リピートし、応援してくれる。
その積み重ねがブランドになります。
ネット販売の成功とは、商品を売ることではなく、ファンを増やすこと。
ファンをつくれば、ECは自然に伸びます。
小さな会社こそ、顔の見える丁寧な販売で勝てる時代です。
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