日常つかい、お土産として高い人気を誇るのが「崎陽軒のシュウマイ」です。
横浜を代表する名物として観光客に親しまれ、地元の人々の食卓にも根付いています。
昭和から令和に至るまで世代を超えて売れ続けている商品は決して多くありません。
なぜこのシュウマイはここまで長く支持されてきたのか。
その理由を探ることは、地域に根ざした中小食品会社にとって大きな学びになります。
ここでは崎陽軒の事例をきっかけに、食品会社が売れる商品をつくるための視点を整理し、今すぐ取り組めるヒントを紹介します。
地域ブランドと物語性
消費者は味そのものだけでなく「どんな背景を持つ商品か」を重視します。
崎陽軒のシュウマイは、横浜港の発展や街の歴史と結びついて語られてきました。
包装紙には港の風景が描かれ、観光客にとっては旅の思い出、地元の人にとっては郷土の誇りとなっています。
このように商品そのものが地域ブランドと一体化しているからこそ、強い支持を得られているのです。
中小食品会社にとっても「物語を込める」ことは可能です。地元食材の歴史、伝統料理の復活、地域イベントとの連携など、
小さなストーリーで十分です。商品に「地元らしさ」を織り込み、消費者にとっての記憶や体験と結び付けることが重要です。
利用シーンを設計する発想
シュウマイが駅弁やお土産で支持されている理由のひとつは「冷めてもおいしい」ことです。
長時間持ち歩かれる状況を想定し、温め直さなくても美味しく食べられるように工夫されました。
この「利用シーンを前提にした設計」が商品寿命を延ばす決め手になっています。
食品会社の商品も「どの場面で食べられるか」を想定すべきです。家庭の夕食、昼食のお弁当、ギフトとしての贈答、
あるいは観光客向けのお土産。それぞれの場面で顧客が不満を感じないように作り込むことが長期的な売上につながります。
単に「おいしい」だけでなく「便利」「贈りやすい」「持ち運びしやすい」といった付加価値を加えることが求められます。
小さな差別化がブランドを生む
シュウマイの上に乗るグリンピースは、味に大きな影響を与えるわけではありませんが「崎陽軒のシュウマイ」と聞けば
多くの人が思い浮かべる象徴的な存在です。この小さな差別化が消費者の記憶に残り、他社との差を際立たせています。
食品会社もこうした小さな違いを意識すべきです。パッケージの形状や配色、ネーミング、付属する調味料や食べ方の提案など、
少しの工夫で商品は一気に際立ちます。競合が多い市場では、味の差は小さくとも「見た目の違い」「体験の違い」が
購買の決め手になります。
販路を広げる戦略
崎陽軒が成功しているのは販売場所の工夫も大きな要因です。新幹線の駅や繁華街、百貨店、スーパー、さらにオンラインショップ。
観光客から地元住民まで、幅広い層が手に取れる環境を整えています。
中小食品会社でも同じ考え方は活かせます。まずは直売所や地元スーパーでの販売を確立し、
次に観光施設や道の駅といった集客拠点に広げる。そのうえで、ECサイトやSNS販売を導入すれば地域外の顧客も取り込めます。
販売チャネルが1つだけだと売上の波に振り回されますが、複数のチャネルを組み合わせることで安定した基盤を
築くことができます。
価格と信頼感
崎陽軒のシュウマイは「安さ」で勝負していません。一定の価格を維持し、品質と信頼を重視してきました。
消費者は「安いから買う」よりも「間違いないから買う」と考えるものです。
中小企業がよく陥るのは値下げ競争です。しかし短期的な売上増にはつながっても、長期的にはブランド価値を傷つけます。
大切なのは「この価格には理由がある」と顧客に納得してもらえること。原材料の質、手作業へのこだわり、
地域産食材の利用など、価格を支える背景をきちんと伝えればむしろ高値でも選ばれる商品になります。
時代に合わせて進化する姿勢
伝統を守るだけでは商品は廃れます。崎陽軒も味の基本は守りつつ、
真空パックやオンライン販売など時代に合わせた工夫を積み重ねてきました。
コロナ禍では家庭向けに「お取り寄せセット」を用意し、新しい顧客層を獲得しています。
食品会社も同じく「変えない部分」と「変える部分」を見極めることが重要です。基本の味や品質は守りつつ、
保存性や包装の利便性、ヘルシー志向やアレルギー対応などは進化させる。この柔軟さが長期的な顧客との信頼関係を築きます。
SNSと口コミを活かす
近年はSNSの投稿が商品認知に直結します。シュウマイのように「見たら分かる特徴」があると写真映えし、
自然に口コミが広がります。中小食品会社も意識的にSNSと連動させる工夫が必要です。
Instagramで盛り付け例を紹介したり、Xで地元イベントと絡めた発信を行ったりすれば、
広告費をかけずとも拡散力を得られます。顧客に「写真を撮って投稿したくなる要素」を商品に組み込むことで、
口コミが広がり販路開拓の武器となります。
地域との連携が販路を広げる
シュウマイが横浜の名物となったように、商品は地域とともに成長します。中小食品会社も自治体や観光協会と連携し、
イベントや地域キャンペーンで商品をアピールするチャンスを増やすべきです。
地元の祭りやフェスティバルで提供すれば知名度は一気に高まります。さらに金融機関や商工会と協力すれば、
新しい取引先を紹介してもらえる可能性も広がります。
まとめ
崎陽軒のシュウマイが売れ続ける理由は、地域性、利用シーンを前提にした設計、小さな差別化、多様な販路、価格戦略、
時代に合わせた進化、そしてSNSや地域連携の活用にあります。これらは決して大企業だけが実現できる要素ではなく、
中小食品会社でも小さな工夫から始められるものです。
商品はただ作れば売れるわけではありません。背景にある物語、利用する場面を想定した工夫、顧客が手に取りやすい環境、
そして長期的な信頼構築。これらを積み重ねることで、やがて地域を代表するブランドへと成長します。
食品会社の社長にとって今すぐできることは、自社の商品を見直し、どの要素を強化できるかを明確にすることです。
小さな改善が未来の大きな成功につながります。
●顧問契約をご検討中の企業さまへ
御社の商品に合った販路開拓戦略をご提案し、首都圏を中心に
百貨店・高級スーパーなどのバイヤーへ営業活動を行います。
●セミナーを企画中の支援機関・団体さまへ
展示会営業や販路づくりをテーマに、全国各地で講演・研修実績があります。
実践的な事例を交えながらお話しいたします。
●メディア・取材ご担当者さまへ
中小食品メーカーの営業現場を、豊富な具体事例とともにご紹介できます。
専門的な解説や取材対応もお気軽にご相談ください。
▶ ご相談・お問い合わせはこちら
●社長が読むべき販路開拓PDF教材の販売
いまならオンライン無料相談30分サービス。
詳細は下記ページからご覧いただけます。
▶食品会社の販路開拓PDFシリーズはこちら
