「うちの商品は、とにかく美味しいんです!」 「食べてもらえれば、その良さがわかります!」
御社の商品の特徴を尋ねると、多くの社長から、こうした言葉が返ってきます。
もちろん、御社の商品が本当においしいことは間違いありません。心を込めて作った商品だからこそ、
その味に絶対の自信があるでしょう。
しかし、立ち止まって考えてみてください。世の中に出回っている他の食品は、本当においしくないのでしょうか?
ある食品バイヤーは言います「食べればわかると言われても、私たちは1日中サンプルを食べているわけではないんです。」
残念ながら、今の時代、「おいしい」だけでは商品は売れません。なぜなら、現代において「おいしい」は、
もはや商品の強みではなく、「当たり前」の基準になっているからです。
「おいしい」が差別化にならない3つの理由
食品会社にとって、「おいしい」を強みとして打ち出すことが難しいのには、明確な理由があります。
- 「おいしい」は主観的で伝わりにくい
味の好みは人それぞれです。「おいしい」という感覚は、個人の経験や文化、その日の体調によっても変わります。
そのため、「この商品は本当においしいです!」と伝えても、それがお客様にとって同じ「おいしさ」であるとは限りません。
客観的なデータや具体的な根拠がない限り、言葉だけで「おいしさ」を伝えるのは非常に難しいのです。 - 競合商品も「おいしい」のは当然
現代の食品市場は、品質が高く、味の良い商品で溢れています。大手企業はもちろん、多くの中小食品会社も
味にはとことんこだわって商品を開発しています。お客様の視点から見れば、どの商品も「おいしい」のが当たり前。
「おいしい」だけでは、数多ある競合商品の中から御社の商品を選んでもらう理由にはなりません。 - 「試す」までのハードルが高い
バイヤーも消費者も、実際に商品を口にするまでに、さまざまな情報から購入を判断します。
特にスーパーや小売店に並ぶ数多くの商品の中から、無名の御社の商品を「おいしいかどうか試してみよう」と
手に取ってもらうのは至難の業です。「食べればわかる」と言っても、その「食べる」という行動自体が、
お客様にとっては高いハードルなのです。
「おいしい」のその先へ!中小食品会社が本当に売れるための差別化戦略
では、「おいしい」が当たり前の時代に、御社の商品をどうやって売っていくべきでしょうか?
味以外の具体的な価値を見つけ、それを明確に伝えることが、販路開拓と売上アップの鍵を握ります。
- 「なぜおいしいのか」を具体的に伝える
単に「おいしい」と言うのではなく、その「おいしさ」がどこから来るのかを掘り下げてみましょう。- 原材料へのこだわり: 〇〇産の特別な素材を使っている、無農薬野菜を使用、契約農家から仕入れている、など。
- 製法へのこだわり: 〇〇時間かけて熟成させている、職人が手作業で丁寧に作っている、独自の特許製法がある、など。
- 歴史や伝統: 創業〇〇年の老舗の味、代々受け継がれてきた秘伝のレシピ、など。
お客様は「なぜおいしいのか」というストーリーに興味を持ち、それが購入の決め手になることがあります。
- 「誰の、どんな悩みを解決できるか」を明確にする
御社の商品は、どんなお客様の、どんな困りごとを解決できますか?- 時間がない共働き世帯に: 温めるだけで本格的な味が楽しめる時短ミールキット
- 健康志向の方に: 糖質オフ、無添加、アレルギー対応、特定保健用食品(トクホ)など
- 子育て中の親に: 子供も安心して食べられる安心・安全な食材、野菜嫌いを克服する工夫 「おいしい」に加えて
「便利」「健康的」「安心」といった具体的な価値を伝えることで、特定のお客様に深く響かせることができます。
- 「どんなシーンで活躍するか」を提案する
お客様が御社の商品を使うことで、どんな新しい体験ができるかを具体的にイメージさせましょう。- 「毎日の食卓がちょっと贅沢になる」
- 「ホームパーティーで手軽に主役になれる一品」
- 「頑張った自分へのご褒美スイーツ」
- 「アウトドアで手軽に本格的な味が楽しめる」 具体的な使用シーンを提案することで
お客様は自分ごととして商品の魅力を感じやすくなります。
味のこだわりを「伝わる価値」に変える
食品会社の社長にとって、「おいしい」は情熱の源であり、商品の根幹です。
しかし、それがそのまま「売れる理由」にはなりません。
「おいしい」を「当たり前」と捉え、その上で「なぜおいしいのか(品質・製法)」、「誰の何を解決するのか(機能性・利便性)」、
「どんな体験ができるのか(利用シーン)」といった具体的な価値を掘り下げ、分かりやすく伝えることが重要です。
御社の商品が持つ真の魅力を言語化し、お客様に「買いたい」と思わせる理由を明確にすることで、
販路開拓は必ず成功します。
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