小さな食品メーカーが販路を広げるために、最初にやるべき3つの王道ルート


「うちの商品、味には自信がある。でも売り先がない」
これは、多くの中小食品メーカーの社長が抱える共通の悩みです。

実際、こういう声をよく耳にします。
「知り合いに配るとすごく喜ばれるけど、どこに売っていいかわからない」
「展示会に出ても、話だけで終わってしまう」
「地元スーパーに行ったけど、誰と話せばいいのかわからず帰ってきた」

中には、「昔は問屋さんが全部やってくれた。でも今は全部自分でやらないと…」と嘆く社長も。
問屋(帳合)も存在価値が問われる時代です。
販路開拓の役割がどんどん社長の肩にのしかかっているのが、いまです。

どれも、商品自体は良いのに“売る場所”が定まっていない典型例です。

今回は、営業担当がいなくても実行できる、
王道の販路開拓ルート3選をご紹介します。

どれも派手さはありませんが、
「小さな会社だからこそ成果が出る」現実的な方法です。

■1. 地元の「スーパー・直売所」とつながる

最初に狙うべき販路は、地元のスーパーや直売所です。
理由はシンプルで、「地元の新商品は応援されやすい」から。

中小スーパーや直売所は、大手チェーンと違い、
「地元」「手づくり」「限定」といった文脈に強く反応します。

特に、以下のような食品は相性が良いです。

・地元食材を使った加工品(例:柚子ぽん酢、郷土料理ベースの惣菜)
・少量生産で個性がある商品
・季節やイベントに合わせた限定商品

実際に現場では、「これ試食で人気でしたよ」
「お客さんが“地元って書いてあったから”って買ってくれたよ」など、売場の声がダイレクトに反映されます。

まずは、店舗のバイヤーではなく「売場担当者」に会うこと。
顔を覚えてもらい、商品のサンプルと簡単な資料を持参するだけで、道は開けます。

【ワンポイント】
週末の店頭試食・試販も検討しましょう。
「売れた実績」を作ると、他店舗への横展開がしやすくなります。

■2. 信用金庫や商工会を“販路の仲人”として使う

地元の信用金庫、商工会・商工会議所は、販路開拓の心強いパートナーです。
実際、食品メーカーのマッチング支援を行っている支援機関は数多くあります。

活用できるポイントは次のとおり:

・首都圏や地域のバイヤーとの商談会情報を教えてくれる
・マッチングイベントで紹介してくれる
・商品パンフレットを他の企業に配布してくれることも

ある地域では、「商工会で紹介されたから安心した」と言って取引が決まるケースがありました。
支援機関からの紹介は、“無名の会社”という壁を一気に超えるチャンスになります。

これらの支援機関を訪ねるときのコツは、“相談ベース”で行くこと。

「うちの商品、どんな販売先に向いてますか?」
「紹介できそうなところ、ありますか?」
といった聞き方をすると、職員の方も動きやすくなります。
こっちは会員だから売れるところ紹介しろ!という態度は絶対NGです。

【ワンポイント】
支援機関の紹介があると、バイヤーからの信頼度もアップします。
「どこの会社?」ではなく、「◯◯商工会から紹介された会社」になるのが大きな武器です。

■3. 他社のOEMや詰め替え製造を受ける(BtoBの販路)

意外かもしれませんが、他社ブランドの商品を作る(OEM)ことも販路開拓の王道のひとつです。

たとえば:

・旅館や道の駅向けの「オリジナル商品」
・地元農産品とのコラボ商品(例:地元トマトを使ったソース)
・飲食店やイベントの“ノベルティ食品”

こうした需要に応えられると、「売るのは相手」で「つくるのは自社」になります。

ある小さな惣菜屋さんでは、「近所の人気ベーカリーのジャム製造を
請け負ったことで月商が倍増した」という事例もあります。
「自分の名前で売る」だけではなく、「人のビジネスを支える側」に回ることで、
自然に売上が伸びるケースは少なくありません。

【ワンポイント】
自社の強みを伝える1枚資料を作っておきましょう。
「どんな商品がつくれて」「どのくらいのロット対応可能か」だけで、商談がスムーズになります。

■まとめ:王道には理由がある。地味な販路が実は強い

販路開拓と聞くと、ネット通販、SNS、海外進出など、派手な施策を想像しがちです。
ですが、小さな食品メーカーにとって、まず狙うべきは“手の届く王道”です。

・地元スーパー・直売所で信頼を作る
・信用金庫や商工会を通じて紹介を得る
・BtoB、OEMなど“売る側”のサポート役に回る

これらの道は、実績を積み重ねれば「次の販路」が自然に見えてきます。

一発逆転ではなく、地道な積み上げこそが王道。
そして、その王道こそが、あなたの会社を長く支えてくれる販路になります。

派手さではなく、堅実さ。
“見えない信用”を地元で積み上げた会社だけが、ある日ふいに大きなチャンスをつかみます。

まずは動くこと。
完璧な準備より、今日1件アプローチすることが、販路開拓のはじまりです。


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