「販路開拓で、すぐに結果が出ますか?」
この質問をされるたびに、胸の奥が少しだけ苦しくなる。
なぜなら、“長年コツコツやってきた人がようやく花を咲かせる”姿を何度も見てきたからです。
そして逆に、「すぐ売れる話ない?」と軽く聞いてくる会社が、
1年後に音沙汰なくなっていることも、何度も経験しました。
この記事は、そういう“今すぐ”を求める社長にこそ、
「それは危ない」と伝えたくて書いています。
きつい言葉もあるかもしれません。でも、本気で届けたい言葉です。
■ 簡単・短期で結果が出るなら、すでに大企業になっている
販路開拓って、努力の割に報われるまで時間がかかる仕事です。
すぐに成果が出るなら、みんな成功してるし、大手になっています。
10年かけて販路をじわじわと広げてきた会社は、実はかなり多い。
でも現場ではこういう言葉がよく飛んできます。
「3ヶ月やってダメだったから撤退します」
「2回DM送ったけど、反応なかったから意味ないですね」
「展示会に出たけど、バイヤーは来なかった」
…いやいや、それで結果が出るなら、みんなやってます。
販路は“育てる”ものなんです。
■ 「すぐ成果が出る方法」は、どこにもない
展示会に1回出ればバイヤーがつく
商談会に行けば必ず受注できる
SNSを毎日更新すれば売れる
そんな都合のいい話があるなら、誰も苦労しません。
販路開拓は、人と人の信頼の積み重ね。
関係づくりができていないうちに「いくらで取ってくれるの?」と
攻め込んでも、相手は引いてしまう。
「で、何件売れるの?」「来月には成果出る?」
その発想が、販路の芽を摘んでいることに気づいていない社長が多すぎます。
■ 去年、3年前、5年前――何をしていたか?
こう聞きたい。
「去年、なにをしましたか?」
「3年前、販路の種まき、してましたか?」
「5年前、誰かと会ってますか?何を渡しましたか?」
販路が“今”ないのは、過去に動いてこなかった結果です。
営業も、販促も、仕掛けもせずに、いきなり「売れませんか?」と聞くのは、
畑に種をまかずに「収穫させてくれ」と言っているようなもの。
■ やるなら、本気で「3年続ける」覚悟を
販路開拓は「育てる営業」です。
時間がかかってあたりまえ。
最低でも1年、理想は3年。
そういう意識でやらないと、途中で疲れます。
ある地方のジャム工房の社長は、最初の2年はまったく結果が出なかった。
でも、3年目の春、展示会で出会ったバイヤーからの紹介がきっかけで、
一気に県外の小売店へ展開が決まりました。
「やってきたことに意味があったと、やっと思えた」と言っていました。
■ それでも「すぐに結果」がほしいなら、販路開拓はやめたほうがいい
厳しいようだけど、本音で言います。
すぐ売りたい人には、販路開拓は向きません。
販路は「仕込み」です。
今動いたことが、来年、3年後に成果になります。
“先の未来を変えるために今動く”という意識がないなら、
チラシやクーポン、WEB広告などの即効施策の方が向いているかもしれません。
販路開拓は、地味で、面倒で、時間もお金もかかる。
でも、だからこそ他社と差がつく。
それでも続けられる会社が、最終的に選ばれていくんです。
■ 利益が出ないと、会社は潰れる。そのとおりです。
「利益が出ないとやっていけない」
その通りです。現場でずっとそう思ってきました。
でも、だからこそ“未来の利益”をつくる販路づくりが必要なんです。
今日何もしなければ、1年後も同じ売上に苦しみます。
販路開拓は未来への投資。
「今、売る」ためではなく、「未来に売れ続ける仕組み」を育てること。
その意識が持てる社長だけが、続けていける。
■ 最後に。販路開拓に向いている社長とは?
結果が出るまで、あせらず、くさらず、続けられる人
一見ムダに見える行動にも意味があると信じられる人
「売りたい」ではなく、「届けたい」という気持ちがある人
派手な成功じゃなくていい。
でも、地に足のついた売上を本気で作りたいなら、
販路開拓は絶対にやるべきです。
そういう社長の一歩を、本気で支えたい。
この想いが、ほんの一人でも届けばうれしいです。
正直に言えば、
この記事の考え方に共感できる社長とだけ、関わっていきたいと思っていました。
でも──
「短期で結果がほしい」
そう焦ってしまう社長こそ、今ほんとうに支えが必要だとも、心から思っています。
誰だって、会社を守るために必死です。
だからこそ、“いま焦っているあなた”にも、
未来をつくる販路開拓の現実を、正しく届けていきたいと思っています。
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