営業とは、お客様の困りごとを解決すること。
そう教えられることが多いし、自分もそう思っている。
でも実際の現場では、こんな疑問の声にぶつかる。
「うちのしょうゆが“困りごと”を助けてるのか?」
「お菓子で困ってる人なんているのか?」
そんなふうに、社長たちはポカーンとする。
あるとき、お菓子をつくっている会社の社長にこう言った。
「この商品、ちゃんと“困ってる人”を助けてますよ」
すると、間髪入れずに返ってきた言葉が
「なに言ってんだよ、かっこつけんな」
この反応、実はすごく正直だと思う。
営業は“役に立つこと”だって言われても、ピンとこない。
そう思ってる社長は、たぶん少なくない。
でも、そこで「ですよね」で終わってしまったら、支援する意味がない。
だから、こんなふうに言い直した。
「少しおなかが空いたときに、なにかちょっとだけ食べたい」
「でも、がっつり食べたいわけじゃない」
そんなときに“ちょうどいい”お菓子。
これ、立派にお困りごとを解決してると思いませんか?
しょうゆだって同じです。
「味が決まらない」
「刺身に何かつけたい」
「あとひと味、足したい」
そういう小さな“味の迷い”に応えてくれるのがしょうゆ。
使ってる本人は困ってるなんて意識してないけど、
それを放っておくと「うーん…なんかイマイチ」で終わってしまう。
困りごとというと、大きな問題や深刻な悩みを思い浮かべがちだけど、
本当に多くの“困りごと”は、こんなふうに日常の中に転がってます。
ちょっとしたモヤモヤを、商品がスッと解決してくれる。
これが営業の本質なんです。
営業という言葉に、ちょっと抵抗を感じてる人も多い。
特に営業が苦手だという社長の多くは、
「押し売りはしたくない」とか「うちには売り込むような武器がない」と言う。
でも、営業って“助けること”だとしたら?
無理やり売るんじゃなくて、
「それ、あると少しラクになりますよ」とそっと差し出すことだったとしたら?
そのほうが、しっくりくる社長も多い。
以前、販路開拓の相談を受けた調味料メーカーの社長に、
「どんなときに、その商品が“役に立つ”かを一緒に整理しませんか」と話した。
最初は自信なさげだったけれど、何度かやりとりするうちに、
「たしかに…これ、魚の臭みが気になる人には助かるって言われたことがあるな」
と語り出した。
そこから先は早かった。
「お魚の臭み、気になる方へ」という切り口にしただけで、反応が変わった。
営業の言葉が“売りたい側の論理”から“買いたい側の気持ち”に変わった瞬間だった。
だから、こう思ってます。
営業ってのは、商品を説明することじゃない。
相手の“ちょっとしたつまずき”を想像すること。
そして、そのつまずきをやさしく拾い上げてあげること。
たとえば、こんな日常。
甘いものが食べたいけど、ケーキは重たい
何か口に入れたいけど、糖分は控えたい
疲れているけど、自分を甘やかす言い訳がほしい
お菓子は、そういう気持ちに寄り添うものだ。
そう思えば、「困りごとを助ける」なんて、決してカッコつけた話じゃない。
うちの商品は、お腹を満たすわけでも、命を救うわけでもない。
でも、誰かの“ああ、ちょっと助かった”をちゃんと支えている。
そう自信を持って言っていい。
営業とは、人を説得することじゃない。
人の気持ちに、ちょっと寄り添うことだと思う。
おなかが減ったときに、お菓子があったら助かる
味が決まらないときに、しょうゆがあったら助かる
困ってる人を助けるって、たぶんそういうことなんです。
営業という言葉に、もう一度、意味を考えてみましょう。
そうなんです、ちゃんとお客様のお困りごとに解決に役に立ってる。
すばらしいことです。
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