食品の中小企業が販路を広げるために、まず最初にやるべき3つのこと


「販路開拓」と聞くと、まず何から手をつければいいか分からない──
そんな社長の声を、現場で何度も耳にしてきました。

商談会に出る?SNSをやる?ネット通販を始める?
たしかに、どれも間違いではありません。
でも、販路がうまく広がらない会社には、共通する“つまずきポイント”があります。

それは、「最初にやるべきことが、曖昧なまま始めてしまう」こと。

ここでは、私がこれまで食品の中小企業を支援してきた経験から、
販路開拓を“確実に前に進めるための最初の3ステップ”をお伝えします。

1 売り場を決める(どこで売るかを明確に)

最初に決めるべきは、「売る場所」です。
逆に言えば、売り場が決まっていない状態で営業しても、結果はついてきません。

たとえば、あなたが手作りのジャムをつくっているとします。

・百貨店で売りたいのか
・地元スーパーなのか
・道の駅・産直コーナーなのか
・通販で広く売りたいのか

これによって、価格帯もパッケージも営業先もまったく変わります。

実際に、私は「この商品、どこで売るつもりですか?」と聞いたとき、
「どこでもいいです」という答えが返ってきたことが何度もあります。
いや、何度と言うよりほんとです。

でも、“どこでもいい”は、どこでも売れないと同じです。
お客様によって食べるものは全然違うんです。

販路を広げるには、まず「売り場の一点集中」が必要です。

2 誰に食べてもらいたいかを絞る(ペルソナを立てる)

売り場が決まったら、次に考えるのは「お客様像」です。
これも曖昧なまま販路を広げようとすると、相手に刺さらない営業になります。

ある食品メーカーさんは、自社のお惣菜を「若者向け」として出していましたが、
実際に売れていたのは、中高年男性層でした。

つまり、売れていたのに、「誰に売れているのか」が分かっていなかったのです。

販路開拓は、「誰にどう届けるか」がすべてです。
そのためには、以下のような問いを明確にする必要があります。

どの年代か?
どのエリアか?
どんなタイミングで使う商品か?
競合商品は何か?

答えが曖昧なままでは、チラシも提案書も通用しません。

3 最初の“一社”に集中する(数より、接触の深さ)

売り場もお客様像も明確になったら、次は営業活動です。

ここでやりがちなのが、「10社に一気に送る」というやり方。
たしかに広く打つのは悪いことではありません。

でも、販路開拓の初期で大事なのは、「最初の1社に全力を注ぐこと」です。

その1社の商談に向けて、
試食用の提案セットをつくる
その会社の商品棚を事前に見に行く
バイヤーの好みや方針をリサーチする

ここまでやることで、「うちは本気です」というメッセージが伝わります。

私はこれを「一点突破・多点展開」と呼んでいます。
まず1社としっかり関係を築く。そこから実績をつくり、横展開する。

これが、売れる会社がやっている販路開拓の王道です。

販路が広がらない“共通の原因”とは?

私が支援する中小企業で、販路が広がらない会社にはある共通点があります。
それは、「営業が動いていないこと」です。

忙しい、時間がない、何から手をつければいいか分からない──
いろんな理由はあると思いますが、結局のところ、動かないと何も変わりません。

販路開拓というのは、情報を集めて、相手と会話して、提案する。
この「三つの動き」を回していかないと、チャンスは来ません。

よく「うちは紹介が多いので、営業はしてません」という会社もあります。
たしかに紹介は強い。でも、紹介だけでは広がりません。
“紹介が止まったとき”の対策として、今のうちに営業の仕組みをつくる必要があります。

まとめ:拡げるより、まず“定める”

販路開拓というと、「広げること」に目が向きがちです。
でも、最初にやるべきことは、「定めること」です。

どこで売るのか
誰に売るのか
最初に誰とつながるのか

この3つが定まるだけで、販路開拓は迷わず動けるようになります。
どんなにいい商品でも、「売り方」や「魅せ方」がずれていれば、売れません。

逆に言えば、「魅せ方」が定まるだけで、商品の価値が伝わるようになるのです。

私はこれまで、全国の中小企業の社長と一緒に、
この“最初の3つ”を整理することで、営業の一歩を後押ししてきました。

ぜひ、あなたの会社でもこの3つをじっくり見直してみてください。
新しい販路は、そこから開けていきます。


● 顧問契約をご検討中の企業さまへ
貴社の商品に合った販路開拓戦略をご提案し、営業の動き方までサポートします。
● セミナーを企画中の支援機関・団体さまへ
展示会営業や販路づくりをテーマに、全国各地で講演実績があります。
● メディア・取材ご担当者さまへ
中小企業の営業現場を事例とともに紹介できます。ご相談はお気軽に。

▶ ご相談・お問い合わせはこちら