補助金はありがたい制度だ。
とくに食品の販路開拓においては、展示会出展費や販促ツールの制作費、
時にはオンライン化の支援など、使える場面が多い。
ところが現場を見ていると、補助金を使って“売れるようになった会社”と、
“まったく売れないまま終わった会社”が、はっきり分かれる。
なぜこんなにも差が出るのか。
その違いは「補助金の使い方」にある。
補助金は、もらった瞬間に目的を達成したわけではない。
販路開拓の“起爆剤”として機能させるには、社長の視点と行動がカギになる。
販促物を作っただけで終わる会社
よくあるのが、「補助金でチラシを作って終わり」「動画を撮って終わり」になってしまうパターンだ。
たしかにパンフレットやチラシは必要だ。
でも、それは“道具”にすぎない。配る先が決まっていなければ、結局は倉庫に眠るだけ。
展示会出展も同じ。
補助金で小間代を出してもらい、ビッグサイトに出展。
でも、名刺交換だけして、その後のフォローは一切なし──。
こういう会社が、現場には本当に多い。
社長は「展示会に出た」「動画を作った」という事実に満足してしまい、
「売れる流れ」を作るところまで行っていない。
補助金を使って“何かやった”ことで、安心してしまっているのだ。
成功している会社の共通点
一方で、補助金を“うまく使っている”会社は、補助金をゴールにしていない。
むしろ「補助金はあてにせず、続けるためには自社で費用を出す」と社長は割り切っている。
たとえば展示会出展なら、
・事前に「どんな声かけをするか」を明確にしている
・会場でのトーク内容や資料も“来場者の目線”で作りこんでいる
・展示会後に必ずフォローを入れるしっかりした事前準備を行っている。
つまり、補助金を「販路開拓を支えていただくもの」として使い、
動きだしたら自社の力で続ける──という考え方だ。
その差は、実行する社長自身の考え方にある。
補助金で販路を広げた会社の具体例
たとえば、ある地方の漬物メーカーは、補助金で展示会に出展した。
最初の出展では成果ゼロ。
でも「課題は、パンフレットに商品の魅力が伝わっていないことだ」と気づき、
翌年はデザイナーと組んで資料を一新。
さらに、商談後のフォロー手紙やサンプル発送のタイミングも工夫した。
結果、3年目には大手小売との契約につながった。
この会社の社長は、はっきりと言っていた。
「補助金で売れたんじゃない。補助金のおかげで“試行錯誤できた”のが一番大きかった」
つまり、一度やって終わりではなく、何度も振り返って改善する
“本気の姿勢”が結果を生んだということだ。
補助金で“行動した人”だけが得られる学び
販路開拓は、答えのない取り組みだ。
正解はないし、すぐには成果が出ない。
だからこそ、補助金を使って「とにかく動いてみた会社」だけが、次の課題を見つけられる。
逆に、「最初からうまくやろう」として、動かない会社は、ずっと停滞したままだ。
実は、売れる会社と売れない会社の一番の違いは、
“補助金を使って行動したかどうか”にある。
実践して初めて、改善点が見えてくる。
その繰り返しこそが、販路開拓の本質だ。
補助金=神様からのプレゼント
補助金を受けたら、必ず成果を出さなければ…とプレッシャーに感じる社長も多い。
でも、最初から100点を取る必要はない。
大事なのは、「まず動いて、何がうまくいかないかを知ること」。
そして、次の動きを社内でどう仕組みにしていくか。
規約とおり事務局の報告書を提出するのは当たり前。
補助金は、“失敗できるチケット”でもある。
会社のお金ではできなかったチャレンジを、補助金で一度やってみて、
うまくいったら“本番は自社予算で続ける”──
この視点を持っているかどうかで、長期的な差がついてくる。
補助金は魔法じゃない。自分で動ける会社だけが活かせる
最後にひとつ、はっきり言っておきたい。
補助金は、会社を変える“魔法”ではない。
どんなにうまく書類を書いて、制度を活用できても、
「自分の足で販路を作る意思と行動」がなければ、売上にはつながらない。
*申請書は自社で書くこと
販路開拓は、道具ではなく人がやるもの。
補助金はあくまでその“後押し”にすぎない。
社長が動く、その先にしか成果はない。
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