小ロットでも自社商品を作りたい社長へ 食品OEMを成功させる3つのカギ


中小企業にとって、自社商品を作りたいという思いは強くても、
「ロットが多すぎて現実的じゃない」と悩む場面は多い。

とくに食品業界では、OEMに出すとなると「最低ロット3,000個から」といった
大きなハードルがあり、最初の一歩を踏み出せない会社も少なくない。

だが最近では、小ロット対応のOEM業者が増えており、
地元企業でも新商品の立ち上げが可能になってきている。

今回は「小ロット食品OEM」の実態と、失敗しないための視点についてまとめる。

小ロットでもOEMは可能なのか?

結論から言えば、「可能」である。

もちろん制限はある。すべてのアイテムで1ケースだけ作る、
というわけにはいかないが、

常温・瓶詰・レトルト
冷凍食品(スープ・惣菜・スイーツ)
ドレッシングやタレ、調味料類

など、一部カテゴリでは300〜500個程度から対応してくれる業者も出てきている。

また、クラウドファンディングでのテスト販売や、道の駅などでの小売りを
前提とした商品づくりに対応する柔軟なOEMメーカーも増えており、
初期リスクを抑えた取り組みが現実的になってきた。

なぜ小ロット対応が進んできたのか?

背景にはいくつかの理由がある。

OEMメーカー側の生産余力
コロナ禍以降、大口案件が減少し、小口案件を柔軟に受ける傾向が強まった。

個人や中小企業の「自社商品ニーズ」の高まり
InstagramやYouTubeを通じた販売、ECでの販売など、“売る場所”が増えた。

補助金の活用
ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金で、パッケージ制作や
初回製造コストを一部カバーできるようになった。

つまり、マーケットの流れと制度の変化が、中小企業の小ロット開発を後押ししているのだ。

小ロットOEMでよくある失敗

現場を見ていると「小ロットで作ったけど、全然売れない」という声も多い。
その原因の多くは、つくる前の戦略不足だ。

具体的には、
「つくりたいもの」だけを考えて、「誰に売るか」がターゲットが明確ではない
商品設計が不明確で、OEM先との打ち合わせが進まない
コストをかけすぎて、利益が出ない価格設定になる
など、つくる前のマーケティング不在が大きい。

逆に言えば、「売り方の設計」がしっかりしていれば、小ロットは大きな武器になる。

成功事例:200本のドレッシングから始まった道の駅ブランド

ある農家は、収穫後に余った野菜を使ってオリジナルドレッシングを作った。
最初はたった200本。
道の駅で「農家直送ドレッシング」として販売したところ、地元のお客様から高評価。
SNSでも紹介され、取材依頼も増加。

結果的に、地元スーパーにも並び、年間5000本以上を売り上げるブランドへと成長した。

この事例のポイントは、小ロットだからすぐ試せた
顧客の声を反映してパッケージや味を調整できた、自社の“らしさ”を反映した手作り感
つまり、少量だからこそ機動力がある=小ロットの強みなのだ。

小ロットOEMを成功させるための3つの視点

「誰に売るか」を最初に決める
ターゲットが明確であれば、味やパッケージの方向性もブレない。
お土産、普段食べる、通販、ギフトなど

「商品の特徴」を決める
他社との違いが明確であること、こだわりポイントが最低3つ

「価格と原価のバランス」を意識する
小ロットは単価が高くなるため、「高くても売れる理由」を作っておく。

これはOEMに限らず売れる商品には欠かせないポイントですね。

小ロットOEMは、中小企業にこそチャンス

大ロットが出せないからOEMは無理、とあきらめるのはもったいない。
むしろ、小さく試して、すばやく改善することができるのは、中小企業の強みだ。

店舗を持たない
宣伝費をかけられない
営業マンがいない

…そんな会社こそ、「いい商品があるなら、まずは少量でつくって売ってみる」という発想が大切。
中小企業の“熱意”と“地元力”を活かすためにも、小ロットOEMは大きな武器になる。

まずは、小さく始めてみよう。


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