孤独に気づいたとき、すでに誰にも相談できなくなっていた
会社の経営というのは、誰かに相談すれば答えがすぐ出るようなものではありません。
ましてや、社長という立場になればなるほど、その重さや決断の責任を人に説明すること自体が難しくなります。
社員には言えない。家族にも言いづらい。金融機関には弱みを見せたくない。
そうやって、いつのまにか誰にも話せないという壁に囲まれてしまうのです。
地方の食品会社を経営する社長にとって、その孤独はさらに深まります。
地元の関係性が濃い分、下手なことを言えば噂になりかねません。
商工会や組合に出ても、業績の話は互いに本音を出しません。どこかみんな、表情だけで耐えているように見えます。
経営判断の不安は、誰も代わってはくれない
原材料費は上がる。人件費も上がる。でも値上げはできない。売上は横ばい。競合も増える。
そんな状況の中で、次に何をすればいいのかという問いに、明確な答えが出せないまま一日が過ぎていく。
夜中に目が覚めて、今日の対応を反省しながら、明日が怖くなる。
その感覚は、経験した人でなければわかりません。そしてそのわかる人が、
身の回りにいないことが、さらに孤独を深めてしまうのです。
一人で悩むことをやめるだけで、見える景色が変わる
経営者にとって一人で考えることは当たり前です。でも一人で抱え込むことは違います。
社長業を長くやっている方ほど、自分の感情や迷いを人に見せることにためらいを感じています。
相談すること自体が弱さだと感じてしまう。
でも、実際に経営を立て直している社長は、必ずどこかで誰かに一言、気持ちを聞いてもらっているのです。
それは家族かもしれません。信頼できる幹部かもしれません。
あるいは、利害関係のない外部の相談相手かもしれません。
誰でもいいのです。ただ、自分の気持ちを口に出してみる。それだけで、霧が晴れる瞬間があります。
弱さを見せることは、甘えではない
社長は強くなければいけないと思っている人は多いです。でも、それは孤独を深める危険な思い込みです。
強さとは、弱さを見せられる人間のことです。自分の限界を知り、
それでも前に進もうとする姿が、人の心を動かします。
社員は、完全無欠な社長に従いたいのではありません。
本音で悩みながら、それでも責任を果たそうとする姿に信頼を寄せるのです。
相談することは、逃げではありません。むしろ、よりよく経営するための勇気ある行動です。
まとめ
経営者は孤独です。それは逃れようのない現実かもしれません。
ですが、その孤独を誰にも見せず、一人で抱え込み続ける必要はありません。
小さな一言でもかまいません。今日あったことを誰かに話す。
感情を吐き出す。そうやって少しずつ、自分の中の重さを軽くしていくことが、経営を続ける力になります。
社長は一人で悩まなくていいのです。必要なのは、誰かに少し心を開く勇気です。
それでも、責任は社長にあるという現実
結局、何があっても最終的な責任は社長が取ることになります。
たとえ社員がミスをしても、取引先と問題が起きても、
外部からの批判を受けても、その矢面に立つのは社長です。
その責任の重さを理解しているからこそ、人に頼ることに慎重になるのだと思います。
でも、だからといって何もかもを自分一人で判断し、処理しようとするのは、経営そのものを不安定にしてしまいます。
孤独に慣れすぎると、視野が狭くなります。周囲の声が聞こえなくなり、リスクや機会にも鈍感になってしまうのです。
それこそが、会社を危機に追い込むきっかけになりかねません。
一人で背負いすぎないための具体的な習慣
では、どうすれば一人で悩まない状態を作れるのでしょうか。
おすすめなのは、毎日五分でも良いので今日の気づきやモヤモヤを書き出す習慣です。
それを誰かと共有できるならベストですが、たとえ誰にも見せなくても、頭の中を整理する効果があります。
また、月に一度でも立ち止まって話せる時間を作ることも大切です。
それは商談の合間かもしれませんし、信頼できる知人との食事の場でも構いません。
経営の数字ではなく、自分の感情について話せる場を意識的に持つだけで、孤独感は大きく変わります。
今日からできる一歩を決めておく
たとえば、週に一度だけでも悩みを話す場を作ると決めてみてください。
それは形式ばった相談会でなくても構いません。コーヒーを飲みながらの雑談でも、日記に近いメモでもかまいません。
大切なのは、自分が一人で抱え込みすぎていないかを定期的に見つめ直すことです。
経営は孤独な仕事ですが、孤独を感じすぎる必要はありません。少しでも心を開き、声を出す。
その繰り返しが、あなた自身と会社の未来を変えていきます。
今日という日に、何か一つ、自分の思いを外に出してみませんか。そこから道がひらけるかもしれません。
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