食品バイヤーは何を見ているのか 本音を知らずに営業すると商談が進まない理由


中小の食品会社が販路開拓に苦戦する背景には、共通する営業の落とし穴があります。
それは、自社の売りたい気持ちが先行しすぎてしまい、バイヤーの立場や本音を理解できていないことです。

たとえば、展示会や商談会の場で、バイヤーがうなずいてくれた、メモを取ってくれた、
美味しいと言ってくれたという反応を好意的に受け取り、これは脈ありだと期待してしまう。

けれども、その後に連絡がない、返事がこない、話が進まない。
そんな経験をされたことはないでしょうか。

商談でのリアクションは好意ではなく礼儀かもしれない

バイヤーは日々、多くの営業担当者や新商品と接しています。
そのため、よほどでない限り失礼な態度はとりません。
うなずきながら話を聞き、丁寧な相槌を打ち、時にはほめ言葉すら返してくれるでしょう。

しかし、これは必ずしも気に入った、導入したいというサインではありません。
実際のところは、すでに同じカテゴリーで棚が埋まっている、過去に似た商品で失敗した経験がある、
価格が折り合わない、物流が複雑になりすぎるといった事情が水面下にあることも多いのです。

つまり、営業の現場では言葉に出ない断り文句が多数飛び交っています。
その空気を読まずに、売り込み続けてしまうと、熱意はあるが空気が読めない会社という印象を
残してしまう可能性もあります。

バイヤーは何を見ているのか

では、バイヤーはどこを見て導入の可否を判断しているのでしょうか。
味や見た目、ブランドのこだわりが伝われば十分と思っていないでしょうか。

実際には、バイヤーの視点は非常に現実的です。
どれだけ商品が魅力的であっても、それが売れる理由を明確に示せなければ、導入の判断は難しくなります。

以下のような基準で評価されていることを意識する必要があります。

現在の売り場の棚割りに収まるか
既存商品の中で競合しないか
回転率は見込めるか
販促や試食などの展開は可能か
粗利は確保できるか

つまり、商品の良さではなく、売れる理由があるかどうかが問われているのです。

事前準備で八割決まる営業

バイヤーの信頼を得るには、商品力だけでは足りません。
何よりも大切なのは、御社の売り場で、なぜこの商品が必要なのかを説明できるだけの材料を揃えておくことです。

そのために必要な事前準備の例として、以下のような調査をおすすめします。
※提案先のお店や飲食店には絶対行ってくださいね。

その企業の主力商品のラインナップ
販売価格帯の傾向とボリュームゾーン
季節やテーマに応じた売り場展開
過去のプレスリリースや新商品情報

これらをもとに提案する際には、単に商品の特徴を伝えるだけでなく、相手の売り場や戦略とどう重なり合い、
どんなメリットがあるかを明確に言語化することが求められます。

たとえば、
「御社の主力商品とは購買層が異なるため、新しい客層の取り込みが期待できます」
「今年の夏フェアのテーマである涼味・手軽という流れに合致しています」
「同価格帯の商品が少ない売り場なので、新たな選択肢として提案できます」

といったように、相手がその場でイメージしやすいよう、
相手の事情に即した具体的な説明に変換することが大切です。
ですから提案前には必ずお店を訪問するんです。

パンフレットを渡すだけ、商品の説明をするだけの営業では、次につながることはほとんどありません。
あくまで、その会社にとってなぜ今この商品なのかという問いに答えられているかがすべてです。

営業資料の質が商談の印象を左右する

バイヤーが興味を持っても、持ち帰った営業資料が分かりづらければ、その時点で検討は終わります。
商品の特徴や原材料、こだわりといった情報が並ぶだけではなく、
導入した場合の売り方まで含めた設計図になっているかが鍵です。

資料には以下のような情報も盛り込むと効果的です。

想定される販促企画の例
他社での売上実績
店舗や顧客層に合わせた提案パターン
導入後のサポート体制

これらが整理されていれば、たとえ即採用に至らなくても、
きちんと売り方まで考えている会社として記憶に残ります。

まとめ 売り込みから設計提案へ

販路開拓において成果を出すためには、バイヤーの視点で提案できる営業力が不可欠です。
売りたい気持ちは大切ですが、それだけでは成果につながりません。

商談の勝負は、営業トークの巧さではなく、準備の深さと相手理解の精度で決まります。

売れる理由を言語化し、売る仕組みまで見せる。
それが、選ばれる食品会社になるための最短ルートです。


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